ありふれた生活
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左手が痛い。勢いをつけ過ぎた、と私は後悔する。私は香織を抱きしめた。いや抱きしめるというより飛びついた、と言った方が正しいかもしれない。私はもう香織が愛しい気持ちが走って、心のままに勢いよく抱きしめた。そして、バランスを壊して左手を床についたのだ。
「.........大丈夫?」
「...だいじょばない」
「...そっか」
香織が心配してくれる。ここは「大丈夫だよ!」と言いたい物だが、痛いものは痛い。それはそうとして、香織はいつから私の事が好きなのだろうか。そしていつから私が香織を好きだと気づいていたのだろうか。
「香織。.........ねえ香織いつから私の事好きだった?」
「さあ...良くわかんないや。でも確実に中3の時には好きだった。」
「...そっか。.........ありがと」
本当にずっと前だった。同性ゆえ、言いづらかったのだろうか。しかし、香織の口ぶりからして、かなり前から私が香織を好きで、両想いであると言うことに勘づいている。どうして告白しなかったのか、その事を聞こうとして口を少し開いた時、香織から
「衣織は............?衣織は、いつから?」
「自覚したのは4ヶ月前くらいだけど、多分もっと前から好きだったと思う」
「ああ、自覚無かったんだ...あの頃」
「あの頃?」
「中1の冬頃。」
なんと。私は想像以上に早くから香織に惹かれていたというのか。確かにあの頃から可愛い人だなあとは思って、尊敬してはいたけれど。
「中1の時さ...衣織、凄く私の事慕ってくれてたじゃん」
「そうだね...同級生なのにもう神様の如く敬ってた」
私は少し微笑んで言った。今となってはいい思い出かもしれないけれど、あの時の私は酷く周りに対しての劣等感を抱いていた。そんな時に同室になった香織には、もう迷惑を掛けないように、香織の役に立てるように、いつも神経を張り巡らせていた。私なんかが同室にさせて頂いているのだから、なんて事を本気で思っていた。今のこの打ち解けた雰囲気からは想像もつかないだろう。
「私が話しかけたり、ちょっとくっついてみたりしたらさ、衣織、花が綻ぶように微笑むの。」
「あー」
「でもさ、中1の冬頃。唐突に抱きしめられたりするの、嫌がるようになったじゃん、でもさ、相変わらず私を慕ってくれてるし、嫌いになった訳じゃないよなあとか、色々考えた。」
「うん」
「何かがある度に私を褒めてくれてたもんね...そのおかげで、かなり救われた部分もあったんだよ...」
香織も人間だから、色んな悩みを抱える。そんな時に絶対的に好きと言ってくれる私はかなり支えになっただろう、と私は図々しい事を考える。
「まあ、それは置いといて、結構好きとか、言ってくれたじゃん。何度も言われていくうちに、なんか私までも意識し始めちゃってさ」
「なるほど?」
「もしかして、急にひっつくの嫌がるようになったのも、私を好きだからじゃないかとか...。最初はまあ自惚れだと思ってたんだけどさ、もうそういう風に考えると行動一つ一つがそういう風に思えてきて...」
「うん」
「色々考えたんだよ?私。告白しようかな、とか。間違いだったら後々気まづいなーとか。それで、悩んで、悩んで、悩んで。」
「そんなに...」
「うん。そんなに。でもね、高一の時、確信がついた。自分の気持ちに。衣織の気持ちは...何となく雰囲気でもう、好き なんだろうなって。」
「私、そんなに分かり易かった?」
「うん、分かり易かった。」
私は、香織が私を好きになった経緯を聞く。こう聞いていると、何か特別な事があった訳ではなくて、日々の積み重ねがこういった奇跡を起こしたんだなあと思う。香織は、本当に色々考えてくれていたらしい。もしかしたら、衣織が実は告白する用意をしていて、今ここで告白したら迷惑になるんじゃないかとか、そもそも衣織が香織を好きなんて勘違いじゃないのか、等。そして、私も、香織を好きになった経緯を話す。そんな会話を続けていると、幸せで涙が零れそうになる。幸が過ぎると、泣きたくなるというのは本当だったらしい。
「わ、もう11時半だ」
「時間経つの早いね......花札もう一戦する?」
「そうだね、ラスト1回!よし、今回こそは桐を奪う!」
「それだけに囚われて足元掬われないようにね」
私達は、また一風変わったルールで花札を始めるのだった。
続く
「.........大丈夫?」
「...だいじょばない」
「...そっか」
香織が心配してくれる。ここは「大丈夫だよ!」と言いたい物だが、痛いものは痛い。それはそうとして、香織はいつから私の事が好きなのだろうか。そしていつから私が香織を好きだと気づいていたのだろうか。
「香織。.........ねえ香織いつから私の事好きだった?」
「さあ...良くわかんないや。でも確実に中3の時には好きだった。」
「...そっか。.........ありがと」
本当にずっと前だった。同性ゆえ、言いづらかったのだろうか。しかし、香織の口ぶりからして、かなり前から私が香織を好きで、両想いであると言うことに勘づいている。どうして告白しなかったのか、その事を聞こうとして口を少し開いた時、香織から
「衣織は............?衣織は、いつから?」
「自覚したのは4ヶ月前くらいだけど、多分もっと前から好きだったと思う」
「ああ、自覚無かったんだ...あの頃」
「あの頃?」
「中1の冬頃。」
なんと。私は想像以上に早くから香織に惹かれていたというのか。確かにあの頃から可愛い人だなあとは思って、尊敬してはいたけれど。
「中1の時さ...衣織、凄く私の事慕ってくれてたじゃん」
「そうだね...同級生なのにもう神様の如く敬ってた」
私は少し微笑んで言った。今となってはいい思い出かもしれないけれど、あの時の私は酷く周りに対しての劣等感を抱いていた。そんな時に同室になった香織には、もう迷惑を掛けないように、香織の役に立てるように、いつも神経を張り巡らせていた。私なんかが同室にさせて頂いているのだから、なんて事を本気で思っていた。今のこの打ち解けた雰囲気からは想像もつかないだろう。
「私が話しかけたり、ちょっとくっついてみたりしたらさ、衣織、花が綻ぶように微笑むの。」
「あー」
「でもさ、中1の冬頃。唐突に抱きしめられたりするの、嫌がるようになったじゃん、でもさ、相変わらず私を慕ってくれてるし、嫌いになった訳じゃないよなあとか、色々考えた。」
「うん」
「何かがある度に私を褒めてくれてたもんね...そのおかげで、かなり救われた部分もあったんだよ...」
香織も人間だから、色んな悩みを抱える。そんな時に絶対的に好きと言ってくれる私はかなり支えになっただろう、と私は図々しい事を考える。
「まあ、それは置いといて、結構好きとか、言ってくれたじゃん。何度も言われていくうちに、なんか私までも意識し始めちゃってさ」
「なるほど?」
「もしかして、急にひっつくの嫌がるようになったのも、私を好きだからじゃないかとか...。最初はまあ自惚れだと思ってたんだけどさ、もうそういう風に考えると行動一つ一つがそういう風に思えてきて...」
「うん」
「色々考えたんだよ?私。告白しようかな、とか。間違いだったら後々気まづいなーとか。それで、悩んで、悩んで、悩んで。」
「そんなに...」
「うん。そんなに。でもね、高一の時、確信がついた。自分の気持ちに。衣織の気持ちは...何となく雰囲気でもう、
「私、そんなに分かり易かった?」
「うん、分かり易かった。」
私は、香織が私を好きになった経緯を聞く。こう聞いていると、何か特別な事があった訳ではなくて、日々の積み重ねがこういった奇跡を起こしたんだなあと思う。香織は、本当に色々考えてくれていたらしい。もしかしたら、衣織が実は告白する用意をしていて、今ここで告白したら迷惑になるんじゃないかとか、そもそも衣織が香織を好きなんて勘違いじゃないのか、等。そして、私も、香織を好きになった経緯を話す。そんな会話を続けていると、幸せで涙が零れそうになる。幸が過ぎると、泣きたくなるというのは本当だったらしい。
「わ、もう11時半だ」
「時間経つの早いね......花札もう一戦する?」
「そうだね、ラスト1回!よし、今回こそは桐を奪う!」
「それだけに囚われて足元掬われないようにね」
私達は、また一風変わったルールで花札を始めるのだった。
続く