短編
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悪友、もとい宇髄天元が音柱になったと噂で聞き、私は隠から場所を聞き出し祝いの品を手にその人物の屋敷へと訪れていた。
「はい、おめでとー」
「何かやる気のねぇ言い方だな。もっとド派手に祝えよ」
玄関先で祝いの品を差し出し挨拶するも、屋敷の主は訝しげに眉根を寄せていた。
まあ仕方ない、私がここに訪れたのはもう一つ理由があり、どちらかと言えばそちらの方が今回の一番の目的だからである。
「心の中ではすごく祝っているよ。あと宇髄は爆薬扱ったりしてると聞いてさ、それ少し分けてくれない?」
「お前は祝いに来たのか
「それはもちろん集っ……祝いにだよ」
「今本音出そうになっただろお前」
宇髄からじとっとした眼差しを向けられ、私は口元に作り笑いを浮かべつつも自然と視線を外方に向けていた。
「あー、まあいい。けど爆薬っつっても何に使うんだ?」
「うん、行冥から藤の花の香を分けてもらってさ。それを火薬玉に上手く混ぜて、鬼との戦いとかで使えないかなって」
「へぇ、中々良さそうな物思いつくじゃねぇか。お前のことだから悪戯か何かに使うもとだとばかり思ってたぜ」
「…私を何だと思って…」
今度はこちらがじとっとした眼差しを向けるも、宇髄はからからと楽しそうに笑うばかりだった。
そんな雑談を交えながら立ち話をしていると、彼の背後の廊下から誰かがこちらを覗き見ているのを私の視界は捉えた。
その瞳と視線が合うと、今まで身を隠していたその人物は勢い良く廊下に乗り出すと、宇髄の背後から突進していた。
「天元様、誰ですかその女の人ー!?」
背後から宇髄に勢いのまま抱き着いたのは、黒髪を結わずにそのまま伸ばした可愛らしい少女だった。
どこかあどけなさの残る顔立ちのその子は、嫉妬混じりの眼差しをきっとこちらに向ける。
「須磨…こいつは」
宇髄が言いかけたその時、背後からまた新たな声が上がった。
「あ、須磨!あんた客人の前で何してんの!」
言うや否や、ばたばたと慌ただしくこちらに駆け寄り宇髄に引っ付いているその須磨と呼ばれた少女を引き剥がそうとするのは、後ろ髪は黒髪、前髪だけ金髪の活発そうな少女だった。
その少女はふと私の存在に気付くと、驚いたように目を丸くしていた。
「鳥柱様!何でここに!?」
「宇髄が音柱に就任したと聞いてね。祝いの品を持ってきたんだ」
私の猫被りが発動し、にこりと爽やかに微笑みながらそう返答するとその子は恐縮した様子で「ありがとうございます」と礼を述べ一礼した。
しかし顔を上げたその眼差しは、どこか疑い混じりのあるものだった。
恐らく黒髪の子と同じく、私と宇髄の仲を不審に思っているのだろう。
すると須磨という子は、まだ宇髄に抱き着いたままわあわあと騒ぎ立てる。
「だからって忙しい柱の方が隠の人達に頼まずにわざわざ届けに来るなんて怪しいです!天元様、もしかして鳥柱様を四人目のお嫁に…!?」
「いやそいつは絶対無ぇ。だってコイツ俺の好みじゃねぇし」
「…奇遇だな、私も宇髄のことは全然好みじゃないよ」
「だろうな、あの旦那と俺じゃ真逆だしな」
宇髄の言葉通り、行冥とこの男とでは雰囲気も性格も全くの相反するものである。
宇髄が華やか、煌びやかという言葉であるならば、行冥は静謐、荘厳というところだろうか。
そうして宇髄と私は互いに好みが相容れないと分かり二人で苦笑いしていると、今まで騒いでいた須磨は唖然とした表情になり私を見つめた。
「……え?天元様、"あの旦那"って…?」
「コイツにはちゃんと男がいるってことだ。だからお前らの思ってるような関係には絶対ならねぇよ」
「おい、簡単にばらすな…」
「この二人は俺の嫁だからよ、身内に話すくらいなら良いだろ?」
そう悪びれなく話す宇髄に対し、仕方ないなと返してため息をついていると、その嫁の二人は呆然とした様子で固まっていた。
すると今まで嫉妬心剥き出しだった須磨という子は途端にぱっと表情を明るくして、私に笑いかける。
「なぁんだー!それならそうと言ってくださいよー!」
「須磨、あんたすごい手のひらの返しようだね…」
「そう言うまきをさんだって疑ってたじゃないですかー」
「それはっ…で、でもあんた程露骨では無いよ!」
軽く言い合いになる二人に挟まれ、宇髄は日常なのかそれを止めようともせず、ただなすがままになっている。
何だかんだで皆仲が良いんだろうなというのは伝わってきて、私はついつい微笑ましく思いながらそのやり取りを眺めていた。
すると須磨は私に向かって、思いもよらない事を言い出す。
「鳥柱様!私、鳥柱様の恋人の方がどんな方か知りたいです!」
「え」
「それは私も気になってた…ちょっと上がって、お話しません?」
まきをと呼ばれた少女も、須磨の言葉に同調して好奇心を含んた眼差しを向ける。
二人の興味がこちらに向けられ、私は思わずたじろいだ。
「いや、私は…」
「遠慮しなくて良いですから!ほらほら!」
二人に手を引かれ、私は返答する間も無くあれよという間にその屋敷の中へと転がり込んでしまった。
──────
客室に通され、私は卓を挟んで須磨、まきを、そしてもう一人の宇髄の嫁の雛鶴という少女に囲まれていた。
ちなみに宇髄は「ここからは女性陣だけで話すから、天元様は散歩でもしてきて下さい!」と追い払われていた。この屋敷の主だと言うのに、憐れである。
「へー、まさか鳥柱様と岩柱様が恋仲にあったなんてねぇ…」
「同期だから仲が良いって聞いてましたけど、それだけじゃなかったんですね!」
驚きつつも感心したように呟くまきをと、目を輝かせる須磨。
そんな二人を見て、申し訳なさそうにこちらに声を掛けるのは雛鶴。
「すみません、鳥柱様…この二人に無理して付き合わなくても良かったのに…」
「いや構わないよ。ただ、やっぱりその……恋愛関係の話をするとなると、ちょっと照れくさいものだね…」
三人に囲まれ、私は行冥との馴れ初めやら現在の関係に至るまでのあれこれを(主に須磨とまきをに)色々と聞き出されていた。
やはりくノ一というだけあって情報を聞き出すのが上手く、私はついついそれに乗せられて照れながらも行冥との今までの経緯の関係を吐露することとなった。
ただ、そこまでは普通の恋愛話でまだ良かったのだ。
次の須磨の質問に、私は飲んでいたお茶を吹き出すこととなった。
「ところで鳥柱様!その…恋人さんのアレって大きいんですかね?」
「須磨!!」
突拍子も無いその問いにお茶を噴き出し
「いひゃいー!ひゃめてふらひゃい!」
「あんたいきなりなんて質問をしてるんだい!………で、実際どうなんです…?」
どうしよう、まきをも便乗しちゃった。
ほんのりと頬を赤らめてにやりと笑うまきをを前に、私は冷や汗を滲ませながらしどろもどろになる。
「い、いや……それ、は……」
「……すみません、それは私もちょっと気になってます…天元様よりも上背がある岩柱様のあの大きい体格からして……ね?」
「ね?」じゃないが。
内心ではそう歯向かうも、横から雛鶴も質問に賛同する声が上がり、三人の好奇心はもう止められようが無い様子だった。
三つの眼差しがじっと向けられ、私はいよいよ追い詰められるが、そもそもだ。
「他の男の人のを見た事が無いから、比べようが無くて…だからその問いには答えられない、かな…」
我ながら
実際比較対象が無いのだから、大きい小さい云々の判断は出来ないのだ。
すると須磨が残念そうな声を上げた。
「そうですかぁ……あ、それじゃあ!手で大きさ示せますよね、こんな感じで!」
ぱっと閃いたような表情を見せる彼女は、中指と親指で輪を作り恐らく直径を示唆するであろう形を示す。
「ちなみに天元様はこれくら…」
「須磨ァ!!!」
「さすがにそれは生々しいから止めなさい!!」
須磨が無邪気に大きさを示す寸前に、まきをと雛鶴が咄嗟に制止していた。
二人とも止めてくれて良かった、私だってアイツの大きさなぞ知りたくもない。
…さて、問題は私の恋人の方なのだが。
初めて体を重ねた時にそれに触れたりしたから、大きさは把握している。
しかし果たして、この場で勝手に話して良いものなのだろうか?
須磨を叱る二人を尻目に色々とあれこれ考えた後、私はきっぱりと断ることにした。
「……いや、やっぱり本人の預かり知らぬ所で勝手に暴露するのは良くないと思うから、この話は秘密にさせてもらうよ」
もし万が一本人にそれがバレたりしたら嫌な気分になるだろうし、それに何より勝手に暴露した私の心持ちがきっと罪悪感を抱くことになるだろう。
そう思い断ったところ、三人は了承しつつもちょっと残念そうな様子だった。
特に須磨は気になる気になるとまだ粘りを見せていたが、まきをに一喝されてしょんぼりとしていた。
三人とも性の話題を明け透けに話すな、とぼんやり思っていたが、そういえば皆くノ一だったことを思い出す。
本で読んだ知識だが、くノ一は諜報や潜入を主な生業としており、時には遊郭などで房中術を使い客の男相手に様々な情報を聞き出すこともあるようで、三人ともある程度の年齢になった頃にそれを教わり身につけたのだろう。
忍の世界は詳しくはないが、主にそれが一番の生きる術だとはいえ、彼女らも様々な苦労や葛藤などもあったかもしれない。
そして掟で宇髄の妻になるよう命令されたとも聞いていたが、宇髄の人柄もあってなのだろうが皆彼のことを慕い尽くしている。
置かれた境遇や運命を恨まず、時には喧嘩したり笑いあったりして、皆で支え合っているのだろう。
そう思うと、皆私よりも歳下なのに強かで立派な女性に思えた。
すると不意に、私は思いついたことが一つ頭に浮かんだ。
「ん……そういえば三人とも、くノ一なんだよね」
「?ええ、そうですが……それが何か?」
私の問いに、不思議そうに小首を傾げる雛鶴。
一つに結い上げた黒髪が、さらりとその動きに従い揺れた。
私は素早く座布団から降り、床に手を付き頭を下げた。
「お願いします!わ……私にくノ一の技術を教えてください…!」
「…え!?」
「ちょ、鳥柱様!?」
「どうしたんですかいきなり!?」
私の願い出に、三人ともひどく驚いた声を上げていた。
私は気恥しさを背負いながらも、何故教えを乞うているのか少しごにょごにょと口篭りつつもその説明をした。
行冥と初めて同衾した際、私には男性を悦ばせる技術が何一つ備わっていないのだと思い知った記憶はまだ新しい。
あのもどかしさを払拭するべく、私は恥を忍んで技術や知識諸々が豊富な方々に享受をお願いしたという経緯だ。
そんな私の話を聞いた雛鶴は、まだ不思議そうに話す。
「それは構いませんが…でもどうしていきなり房中術なんかを…」
「んー……ヤられたらヤり返す、的な?」
私のその返答に、須磨とまきをの二人は噴き出して笑っていた。
「あっはははは!鳥柱様のその精神良いねぇ!」
「羽把岐様って負けず嫌いなんですねぇ」
「まあ、後は…」
追加の理由を述べる事に照れくささが生じて私が一度押し黙ると、須磨とまきをは笑いを落ち着かせながらも二人とも好奇心を抱いた眼差しを向ける。
「………相手がそれで悦んでくれたら、嬉しい…かな、と……」
気恥しさに押し潰された私は視線は伏せて、最後は消え入るような声量になってしまった。
顔が熱く、頬が火照る感覚もしている。
するとそんな私の様子を見ていた三人は一呼吸置いた後、わっと沸き立った。
「やだ鳥柱様、可愛らしい~!」
「ふふ、健気なんですね」
「岩柱様も愛されてるねぇ!」
きゃあきゃあと色めき立つ三人の前で、私は益々顔が熱くなるのを感じながらも、ただ正座して俯くことしか出来なかった。
「よし!そこまで言われたら一肌脱ぐしかないね!」
「はいっ!私たちの技術、頑張って覚えて下さい!」
「あ、ありがとう…!」
顔の火照りはまだ冷めないものの、承諾を得て私は自然と顔が綻ぶ感覚がした。
それからくノ一三人からの指導の元、私は房中術のほんの一部を教わった。
途中、羞恥心や男性の身体の仕組み等で目から鱗のような話もありつつ、それなりの知識と技術は身に付いた…と思いたい。
果たしてそれを実践する時が来るかはまだ未定だが、これで恋仲の相手を手のひらで転がせると思うと、密かな楽しみにすら思えた。