7.幼雛
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果たして何が私にとっての幸せなのか、考えれば考える程分からなくなってしまってきた。
そうして歩みも遅くなり考え黙り込んで難しい顔をしているであろう私に、行冥は些か心配になったのだろう。
どこか困ったような声色で話し掛けてきた。
「……真尋、何もすぐに答えを出さなくても…」
「…んん~~分からんッ!!とりあえず!」
"幸せについて"の考えが限界まで煮詰まり、思わず行冥の言葉を遮った私は一旦頭を空にして、自分が思った事を素直に吐き出すことにした。
「子供が出来たのなら、産む!やっぱり好きな人との間に出来た子って考えたら嬉しいし!」
「……ならば、柱からは退くのか」
「うん、それで子供が手がかからなくなった頃にまた復帰する!」
「…は」
大人しく家庭に入ると思っていたのだろう、行冥は私の後からの発言に訝しげな表情を浮かべた。
「子供も柱という立場も、私にとってはどっちも幸せに繋がるものだからさ。…それにどちらか諦めたら、きっと後悔するだろうし」
柱を退き子供と共に平穏に過ごせば、鬼殺隊や鬼に殺される人をもっと救えたかもしれないのに、という後悔。
子供を諦めれば、好きな人との幸せの形を残せなかったという後悔。
それらをどちらか諦めるという選択肢は、私には存在しなかった。
「…どっちの幸せも掴みたいとか、さすがに欲張りかな」
私が苦笑しながらぽつりとそう言うと、行冥は少しだけ笑ったような声色で返してきた。
「……いや、真尋らしい考え方だと私は思う」
「…ふふ、ありがと。まあ、子供は授かりものだからいつどうなるかは分からないけどね」
そればかりはどうなるのか予測のしようも何も無い、運任せのようなものだ。
まあ、元々行き当たりばったりな生き方をしてきたから、今更どうと言うこともないが。…いや、それよりも、だ。
「…というか、そもそも子供ができるような行為すらして無いのにこの話は気が早すぎでは!?」
「む…」
私の言葉に、隣の人物は気まずそうながらも照れた様子で閉口した。
未だ一線を越えていない私達にとってこれらの話はどうもまだ先の事で、これ以上の話は杞憂というものだろう。
(ま、いっか…)
行冥にこちらの意向を伝えただけでも今は十分だろう。
そう思い、私は隣の人物の手をそっと握り、そのまま並んで歩く。
突然手を繋がれた相手は少し驚いた様子が見受けられたが、そのまま何も言わずに柔く握り返してくれた。
今はただ、愛しく思うこの人と過ごす幸せを享受していたい。
そして、与えられるこの幸福感をそのまま相手にも返したい。
そんな想いを抱きながら、私は繋いだ手の確かな温もりを感じていた。