6.睦語
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それ以降、私達の恋仲関係に進展らしい進展は無く、また鍛錬と任務、私の場合は鎹鴉の育成の日々が訪れた。
そんな日々の中で、あるとき数日間任務先に赴いた後、休暇を与えられた私は何気無く行冥の家をふらりと訪れてみた。
すると、中庭のいつもの位置にあったはずの大きい岩が少しずれた場所に移動しており、その周りには太い木の枝や腰掛けに丁度よさそうな大きさの岩などが転がっている。
「んん…?」
いつもと少し違う中庭の様子に首を捻っていると、後方から声を掛けられた。
「…真尋、何故表から入ってこない」
「あ、お邪魔してるよ。中庭からだけど」
縁側から声を掛けたのは、この屋敷の主である行冥だった。
訝しげな表情を浮かべながら、手にはこれから畳むのであろう着物を持っている。
私はその人物がいる縁側まで行き、そこに腰を下ろした。
相手も私の隣に座り、その場で手にあった着物をたたみ始める。
「何だか岩とかの配置が変わった気がするけど…何かあった?」
「…あれか」
手は止めずにその物がある方を見遣りながら、その人はこの屋敷での出来事を聞かせてくれた。
以前、鬼に襲われていた一家を助けに入った際に、両親を亡くした子供の姉妹達が鬼殺隊に入りたいと志願してきたそうだ。
行冥はそれを諌めたそうだが、その二人姉妹は頑として諦めなかったらしい。
困り果てた彼が提示した試練は、あの岩を動かせれば育手を紹介するといったもので、最終的にその二人の姉妹は機転を働かせて見事にその課題を達成した、との内容だった。
「へー、すごいなその子達!」
「しかし…鬼殺隊に入らずともやはり別の生き方があったのではないかと、今でも思い悩んでいる」
どうやら行冥としては、その姉妹達が入隊する事に未だに反対する気持ちがあるらしい。
両の目からは、少し涙が零れ落ちていた。
しかしもう既に育手に紹介してしまったのなら、後はなるようになるだけだ。
「まあまあ、まだ本格的に入隊すると決まった訳じゃないし。今後どうなるかは見守るしかないよ」
「む…」
私の言葉に納得したのか、軽く頷いたものの顔色は不安感を払拭仕切れない様子だった。
「それにしてもその子達、随分と
「ああ、二人とも芯の強さはあるが特に妹の方は…」
そこで行冥は不意に口を噤んだ。
妹の方の性格か何かに問題があったのだろうか。
不思議に思い、私は眉間に少し皺を寄せているその人物に問いかけた。
「妹の方に何か問題あった?」
「いや……"おじさん"呼びされたことを思い出した」
「は」
予想外過ぎる返答に、私は一瞬呆気にとられた後お腹を抱えて笑い転げてしまった。
げらげらと大笑いする私を尻目に隣の人物は黙々と洗濯物を畳んでいたが、こちらのあまりの笑いっぷりに苦言を呈してきた。
「…少し笑い過ぎではないか」
「ごっ、ごめ……でも行冥、まだ十九歳なのにおじさん呼びは…ふふっ…」
まだ笑いが込み上げてくるのを堪えるも中々治まらない。
またひとしきり笑った後、ある程度可笑しさが落ち着いた頃にようやく私はその場に座り直した。
「はー、おかしかった……まあ、その子からすれば大分歳上なんだろうし、貫禄もあるように見えたんじゃないかな」
「物は言いようだな…」
私に大笑いされたせいか、はたまたその子の発言をまだ引きずっているのか、隣の人物は心無しか少し不貞腐れ気味の様子だった。
そんな表情などすらも愛おしさを感じてしまい、また笑みが溢れてしまう。
「ふふ、まあ私から見たら"かっこいい素敵な恋人"だから!気にしない気にしない!」
少なからず敬称を気にしているであろう隣の人物を励まそうとそう声を掛けると、一瞬手が止まり少し驚いたような表情の後、やや照れた様子で手元の作業を再開していた。
そんな穏やかで愛おしい空気を私は満喫していたが、後の行冥の発言でそれは一変した。