4.孵化
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それ以降、私はその人物に出会ったりすれ違ったりする度に百人一首の番号を投げかけ、向こうはそれに答える、といった不思議な戯れが発生していた。
行冥にしてみれば、この行為はほんの些細な交流程度の意識なのかもしれないが、しかし私にとっては"最終選別の時に培った絆"の確認にも思えてきて、どうも止めようにも止められずにいた。
そんな奇妙な繋がりが途切れぬ中で、鬼殺隊に入隊してから一年が過ぎた頃。
行冥が岩柱になったと、
その時の言葉は勿論嘘偽りは無く、心からの祝いを込めた言葉だった。
同期に入隊した仲間が早々に柱に任命されるなど、喜ばしいことこの上無い。
それでも、私の心の奥底では"焦り"という感情が知らず知らずのうちに、ゆっくりと蝕み始めていた。
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行冥が岩柱になって以降、私の方はと言えば中々思うような活躍が出来ず、成果に伸び悩んでいた。
階級も途中からは中々上がらず、任務でも遅れをとることが起こるようになり、そうなると私の中の焦りは益々強まる一方だった。
風柱の継子という立場でありながら、その呼吸がどこか今一つ馴染めずにいたのが、自身の中に渦巻く
以前、育手から「違う呼吸が派生する可能性もある」と言われていたが、焦燥感に駆られる私はすっかりそれを忘れており、ただ我武者羅に鍛錬を重ねる一方だった。
眠る時間や休息時間を削り、その時間をひたすら訓練に費やす。
結果、芳しくない体調のままで任務に赴く。
そんな日々が続いていた。
師範からはその習慣を改めるよう苦言を呈されたが、少しでも早く強さを手に入れたい私は、それを聞き入れることは無かった。
そしてそんな不摂生な生活が続いていた所為だろうか、私はその日の鬼の討伐をしくじり、危機的状況を迎えていた。