3.鳳声
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はあ…立派な鷲ですねぇ…」
驚いたような声で、隠しの人は颯をまじまじと眺めていた。
しかしふと、その人は目元しか見えないのにはっきりと分かるくらい、何か思いついたような表情を浮かべる。
「あの、その鷲を手懐けているということは鳥の扱い大分慣れています?」
「え。ああ、まあ…」
鳥の言葉が分かるので、とはさすがに言えなかった。
今までそれを誰かに言うと、馬鹿にされたり頭がおかしい奴を見るような反応ばかりで、おかげで今となってはその事実は誰にも打ち明けないようになっていた。
私の返答に、隠の人は顎元に手をやり何か考え込んだ様子の後、ぱっとこちらを見た。
「羽把岐さんは、暫し此処でお待ちいただけますか。悲鳴嶼さんは石の選別後、そのまま鎹鴉の案内に従い移動してください」
(…なんだろう、鳥に関する事で何かあるのかな)
疑問に思いながらも、その指示の通りに従う他は無かった。
隠の人は何やら報告作業のため一度その場を離れ、私は石の選別をした後、行冥に別れの挨拶をする事にした。
「六日間お疲れ様、一緒に戦えてすごく心強かったよ。ありがとう」
「いや、こちらも真尋には感謝している」
山で鬼と戦うのは確かに大変だったけれども、それでもこの人と共に過ごした時間は充実したものだった。
それもここで終わりなのだと思うと、何だか離れ難いような心持ちになる。
(これが"寂しい"って気持ちなのかな)
親に構って貰えずにいた頃は、もう最初から期待するのを諦めていた為か、不思議と寂しさは感じなかった。
それなのにまさか、今こうしてこんな気持ちになるなんて。
その感情からくるものなのか、私は無意識のうちに俯いてしまっていたようだった。
それを察知したのか、行冥は優しい声で呼び掛けてくれた。
「真尋」
名を呼ばれ、はっと顔を上げる。その声色と相応しいくらいの優しい表情が、そこにあった。
「…君の活躍と無事を、祈っている」
その言葉に、不意に目頭が熱くなった。
裏表のない真っ直ぐなその発言は、私の心に深く響いた。
思わず零れそうになる涙を堪え、私は努めて明るい声で返す。
「うん、そっちも誰かに騙されたりしないように気をつけてよ?頑張れ未来の岩柱!」
「……それはまだ、気が早すぎではないか」
勢い任せなこちらの発言に、彼の表情は困ったように少しだけ笑った。
それにつられて私もつい笑ってしまった。
そうして最終選別を終えた私達は、それぞれの道を歩み始めた。
同じ鬼殺隊に所属しているから、また再会することもあるだろうけれども、その時までには私の成長した姿を見せたい。
微かな寂しさをまだ胸に抱きつつも、新たな目標に私の心は意気込みをみせていた。