眠れぬ夜に
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あとりは先程までの不安やプレッシャーが少しずつ和らいでいくのを感じていた
が、やはりまだ胸の苦しさは残ったまま…
「…………」
「あとり」
隣に座っているアーサーに、マグカップを取られ、代わりに手を緩く握られる
「あとり、君は頼りになるいいマスターだ。
僕らサーヴァントが不自由のない様に、立香の良き先輩となれる様に、日々努力しているのも知っている。……彼を優先させて、自分を蔑ろにしがちなのもね」
あとりというマスターはいつもそうだ
アーサー達サーヴァントの負傷や、マスターとしても、魔術師としても後輩の立香やマシュの負傷や不調には機敏に処置を促すくせ、いざ自分の事になるといつも後回しにするか平気な様に振る舞い、後から自分で簡単な処置をして終わらせてしまう
「僕はね、あとり。そんな君が心配なんだ。弱音を吐かず、平気そうにしているけれど…その心には重くのし掛かっているのだと思う。……確かに強く在ろうとする君の姿は立派だけれど、それでも僕らは…僕は、君に弱い部分を見せて欲しいと望んでいる。
君のその不安や恐怖を、僕達に吐き出して欲しい」
「…………な、んで………」
「皆あとりの事を大事に思っているからだよ」
「!!…っ、……………」
「…あとり、」
なんだろうこれは
この胸の奥から込み上げてくるものは
気づかれていた、恥ずかしい、嬉しい、泣きたい…………
いろんなものがぐちゃぐちゃになって、頭がパンクしそうだ
でも、そんな頭でも分かることが1つ
「…………アーサー…………」
頼って、いいのだ
「うん」
「眠れる、まで…傍にいてくれる…………?」
「ああ、傍にいるよ」
「……で、出来れ、ば………手を、握っていてほしい………」
「勿論、君が望むなら喜んで」
何を言っても肯定してくれる
どうしようもない我儘でも叶えてくれる
……どうして、こんなにも………
「アーサー」
「ん?」
「…………ありがとう」
ああ、今日はよく…眠れそうだ………
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