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もう春だと言うのに凍った風が吹く夜の事だ。
小さな孤児院で火事が起きる。
幸い子供は全員無事であったのだが、炎の上がる孤児院をみて、
十に満たない子も居るだろうに泣く子供は一人もおらず、
ただパチリパチリと炎の音を静かに聞いていた。
私にはその姿が、頭から離れないほど不気味で異様な光景に思えた。
人混みの中軽快な笛の音が聞こえた気がしたが思い過ごしだっただろうか、
笛の音のした方に顔を向けたがその音を奏でた者は見当たらない。
ふ、と火事の方に顔を戻すと子供たちが居なくなっているではないか!

これだけ野次馬がいて道が塞がれているのに一体どこへ?

孤児院の大人が避難させたのかと思いきや、その大人たちは大声を上げて子供たちの名を叫んでいた。
私は、これから消えた子供たちの行方を追いたいと考えている、
そしてこの手記にそのすべてを記すことと―――――


フエフキについていってしまった子供たちがどこかの学園で大人になるまで囲われて暮らす。
学園側とフエフキの関係性や目的は謎。
 少年少女はこの学園で、笑い合い、恋をし、
また、会うことの出来ないおかあさまやおとうさまへ思いを馳せる。
いつしか、学園を去るときがくるまで…
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