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すんすん、と誰かの声が聞こえる。オンボロ寮特有の隙間風や雨漏りとは違う、ほんの小さな音。やがてその音は寝静まったグリムの耳を揺らし、重たい目蓋をこじ開けた。
「…………んあ? こんな時間に…誰なんだゾ…?」
黒い耳をぴんと立てて、グリムはその声をよくよく聴いてみることにした。女のものらしいすすり泣きと、たまに混じる嗚咽が窓ガラスを震わせている。
「……まさか、ユーレイ…!」
嫌な予感がグリムの頭を過ぎる。しかし、すぐにその心配は杞憂に終わった。
「…っあ、ごめん…グリム。ぅう、なかなか、止まんなくって、さ…!」
振り返ると、そこには泣きはらし、目元を赤く染めた監督生がいた。その姿は、あまりにもか弱くて、あまりにも「ありのまま」であった。陽が登っている時とは違い、きつく縛られた胸元は解かれており、制服で傘増しされた肩幅は今は年相応の少女のものに違いなかったのだ。
「いいよ、寝てて。じきに泣き止むだろうし」
「……明日寝坊しても起こしてやらないんだゾ」
一度は迷ったものの、釘を刺すような視線と語気に引目を感じたグリムは、再び布団を被った。しかし、どうも寝つきが悪い。しばらくの間寝食を共に過ごしてきた仲であるからか、どうも情が移ってしまったようだ。どうすればいいんだ、と布団に深く包まるも、グリムの心証は悪くなるばかり。例えるなら、首のリボンを引かれるような気分だった。
──あー、もう。仕方のない子分なんだゾ。
グリムはわざと、大きな音を立てて布団を翻した。そして、その音に気がつく様子もなく、ただただ泣いている監督生の肩を叩いた。
「……オマエ、何かあったんならオレ様に言ってみるんだゾ」
ようやくグリムの方を向いた監督生は、酷く湿った顔をしていた。グリムは、そんな情けなくて、臆病そうな監督生の表情が気に入らなかった。
「いい、の…?」
そうして、また泣きそうになる姿はもっと気に入らなかった。
「…ちょっとだけなら、聞いてやらなくも、ない」
だって、いつもの自分なら絶対にしない行動をしてしまうから。
「……ありがと、ぐりむ」
そう告げる少女の声は震えていて、ますますグリムの心はかき乱されていく。いつものグリムなら、べたべた触られるのは嫌いなはずなのに、その夜は自ら監督生の膝に乗り監督生を抱きしめた。たまに監督生がしてくる行動の意味を、グリムは知らず知らずのうちに学んでいたのだ。
「…今日は、トクベツなんだゾ」
監督生の頰に、一筋だけ暖かな涙が流れた。
「…………んあ? こんな時間に…誰なんだゾ…?」
黒い耳をぴんと立てて、グリムはその声をよくよく聴いてみることにした。女のものらしいすすり泣きと、たまに混じる嗚咽が窓ガラスを震わせている。
「……まさか、ユーレイ…!」
嫌な予感がグリムの頭を過ぎる。しかし、すぐにその心配は杞憂に終わった。
「…っあ、ごめん…グリム。ぅう、なかなか、止まんなくって、さ…!」
振り返ると、そこには泣きはらし、目元を赤く染めた監督生がいた。その姿は、あまりにもか弱くて、あまりにも「ありのまま」であった。陽が登っている時とは違い、きつく縛られた胸元は解かれており、制服で傘増しされた肩幅は今は年相応の少女のものに違いなかったのだ。
「いいよ、寝てて。じきに泣き止むだろうし」
「……明日寝坊しても起こしてやらないんだゾ」
一度は迷ったものの、釘を刺すような視線と語気に引目を感じたグリムは、再び布団を被った。しかし、どうも寝つきが悪い。しばらくの間寝食を共に過ごしてきた仲であるからか、どうも情が移ってしまったようだ。どうすればいいんだ、と布団に深く包まるも、グリムの心証は悪くなるばかり。例えるなら、首のリボンを引かれるような気分だった。
──あー、もう。仕方のない子分なんだゾ。
グリムはわざと、大きな音を立てて布団を翻した。そして、その音に気がつく様子もなく、ただただ泣いている監督生の肩を叩いた。
「……オマエ、何かあったんならオレ様に言ってみるんだゾ」
ようやくグリムの方を向いた監督生は、酷く湿った顔をしていた。グリムは、そんな情けなくて、臆病そうな監督生の表情が気に入らなかった。
「いい、の…?」
そうして、また泣きそうになる姿はもっと気に入らなかった。
「…ちょっとだけなら、聞いてやらなくも、ない」
だって、いつもの自分なら絶対にしない行動をしてしまうから。
「……ありがと、ぐりむ」
そう告げる少女の声は震えていて、ますますグリムの心はかき乱されていく。いつものグリムなら、べたべた触られるのは嫌いなはずなのに、その夜は自ら監督生の膝に乗り監督生を抱きしめた。たまに監督生がしてくる行動の意味を、グリムは知らず知らずのうちに学んでいたのだ。
「…今日は、トクベツなんだゾ」
監督生の頰に、一筋だけ暖かな涙が流れた。