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キイ、と画面の向こうから、腐った木が音を立てる。これはあくまでホラー映画、とは分かっていても、その向こうから音が鳴る度に肩を震わせてしまうのだ。
『この奥に、件の幽霊がいるはずなんだ』
と言って、勇敢にもドアを開ける主人公。次に何かが来ますと言わんばかりの展開に、私は思わず手元のクッションを抱きしめた。
「……やっぱり、こわい」
帰りたいけど、帰れない。そんな状況になってしまったのはいつからだろうか。
とある日、スカラビア寮で開かれた、とある宴。不幸にも、時期はハロウィーン真っ只中だった。ランプの光や煌びやかな装飾のもと、この宴に招かれた私はのんびりとその雰囲気を楽しんでいた。しかし、そんな宴の途中で、折角ハロウィーンの季節なのだから、とカリム君が1本のホラームービーを取り出してきたのだ。ホラーはちょっと苦手で、と口にしても、彼は
「怖いと思ったら、俺が手を握ってやるからな!」
といつものように笑っていた。それはそれで緊張する、と言いかけたが、それよりも前に、促されるがまま画面の前へと導かれたのだった。
がたん、という物音に驚き、我に返ると、カリム君が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「もしかして、怖いのか?」
囁くような声色と、息がかかるほどの互いの距離。このままでは、画面の向こうの超常現象より、目の前の状況のせいで心臓が破裂しそうだった。
黙ったまま頷くと、カリム君は私の手を約束通りぎゅっと握った。
「言っただろ、お前が怖くなったら手を握るって」
手を握りやすいようにと、彼がもっと近くに寄ってくる。数センチほど空いていた隙間が、今ちょうど0センチに縮まった。
「ほら、俺はお前の隣にいるからさ」
吊り橋の上にいるみたいな、くらくらくるような気分が抜けきらない。ばくばくと忙しない心臓の音をホラーの世界に押し付けてしまいたくなるほどだった。
その時。ガシャン!と窓ガラスが割れる音が、モニターの方から私の耳へと突き刺さる。間髪を入れずに聞こえてくるのは、ヒロインの甲高い悲鳴。予想してはいたものの、すっかり油断していた時にちょうど来たホラーシーンにびくりと身体を震わせる。思わずカリム君の手を強く握ると、彼も驚いた様子で体を強ばらせていた。
「……悪い。俺もやっぱり、怖くなってきた」
なんて、彼に申し訳なさ半分、恐怖半分に呟かれたものだから。
「ちゃんと、握っておいて」
と、薄暗い闇の中、二人の目を合わせた。
「吊り橋の先に」
『この奥に、件の幽霊がいるはずなんだ』
と言って、勇敢にもドアを開ける主人公。次に何かが来ますと言わんばかりの展開に、私は思わず手元のクッションを抱きしめた。
「……やっぱり、こわい」
帰りたいけど、帰れない。そんな状況になってしまったのはいつからだろうか。
とある日、スカラビア寮で開かれた、とある宴。不幸にも、時期はハロウィーン真っ只中だった。ランプの光や煌びやかな装飾のもと、この宴に招かれた私はのんびりとその雰囲気を楽しんでいた。しかし、そんな宴の途中で、折角ハロウィーンの季節なのだから、とカリム君が1本のホラームービーを取り出してきたのだ。ホラーはちょっと苦手で、と口にしても、彼は
「怖いと思ったら、俺が手を握ってやるからな!」
といつものように笑っていた。それはそれで緊張する、と言いかけたが、それよりも前に、促されるがまま画面の前へと導かれたのだった。
がたん、という物音に驚き、我に返ると、カリム君が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「もしかして、怖いのか?」
囁くような声色と、息がかかるほどの互いの距離。このままでは、画面の向こうの超常現象より、目の前の状況のせいで心臓が破裂しそうだった。
黙ったまま頷くと、カリム君は私の手を約束通りぎゅっと握った。
「言っただろ、お前が怖くなったら手を握るって」
手を握りやすいようにと、彼がもっと近くに寄ってくる。数センチほど空いていた隙間が、今ちょうど0センチに縮まった。
「ほら、俺はお前の隣にいるからさ」
吊り橋の上にいるみたいな、くらくらくるような気分が抜けきらない。ばくばくと忙しない心臓の音をホラーの世界に押し付けてしまいたくなるほどだった。
その時。ガシャン!と窓ガラスが割れる音が、モニターの方から私の耳へと突き刺さる。間髪を入れずに聞こえてくるのは、ヒロインの甲高い悲鳴。予想してはいたものの、すっかり油断していた時にちょうど来たホラーシーンにびくりと身体を震わせる。思わずカリム君の手を強く握ると、彼も驚いた様子で体を強ばらせていた。
「……悪い。俺もやっぱり、怖くなってきた」
なんて、彼に申し訳なさ半分、恐怖半分に呟かれたものだから。
「ちゃんと、握っておいて」
と、薄暗い闇の中、二人の目を合わせた。
「吊り橋の先に」
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