揺らぐことのない太陽へ/フロイド夢
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「私も、いつかは陸に行ければいいんだけど」
ミドルスクールの頃、私は将来の細やかな夢の一つを呟いた。その頃は確かフロイドやジェイド、アズールが陸の学校へ行くことが決まった時だったか。その名前は、ナイトレイブンカレッジ。
そこは優秀な魔法士の素質を持つ者だけが行ける場所であり、そのことを知った私は最初、自分のことのように喜んだ。しかし、私が行くことになったのは海の中の女子学校であり、彼とは全く違った道を歩もうとしていた。
「なんで? 行けばいーじゃん」
彼は肩をすくめて私の言葉に反応するが、私にはどうしても乗り越えられない壁のようなものがあった。それは勇気の一種か、はたまた冷たい現実のことなのかは、まだ幼い私にはわかりやしなかった。
「……私は魔法薬の材料を集められるほどお金はないし」
バイトをしようにも、頭数の多い兄弟達を食べさせていくだけで財布は空っぽだった。具合の悪そうな弟を看病したり、食欲のない妹がいれば別に食事を用意してやったり。一般的な人魚の持つ、儚くて冷酷な死生観とは違う生き方をしていると、やはりお金と手間はかかる。
ぷか、とため息の詰まった泡を浮かべていると、フロイドがそれを指先で弾く。思いついた、とでも言わんばかりに、こちらを見つめて。
「じゃあオレが脚あげよっか?」
「いいの? ケースの中でしか見たことないけど、脚を生やす薬って高いんじゃ……」
「カレッジ行ったら、薬の作り方ぐらい習うだろーし。もしかしてオレが作った薬じゃあ、嫌なの?」
海の揺らぎが彼の金色に滲んだ、ような気がした。目を少し伏せて、こちらを見やるあの我の強い視線だ。
「や、そういうわけじゃないけど…」
「オレは(名前)が脚で歩いてる姿って、どうなのかなーって気になったからさあ」
少し弱気になった私を見て、フロイドはにやりと笑った。オレ、こういうのは忘れないタイプだから。そうも得意げな表情を見せる彼につられ、
「なら、期待だけしとく」
私も微笑み返したのを今も憶えている。
ミドルスクールの頃、私は将来の細やかな夢の一つを呟いた。その頃は確かフロイドやジェイド、アズールが陸の学校へ行くことが決まった時だったか。その名前は、ナイトレイブンカレッジ。
そこは優秀な魔法士の素質を持つ者だけが行ける場所であり、そのことを知った私は最初、自分のことのように喜んだ。しかし、私が行くことになったのは海の中の女子学校であり、彼とは全く違った道を歩もうとしていた。
「なんで? 行けばいーじゃん」
彼は肩をすくめて私の言葉に反応するが、私にはどうしても乗り越えられない壁のようなものがあった。それは勇気の一種か、はたまた冷たい現実のことなのかは、まだ幼い私にはわかりやしなかった。
「……私は魔法薬の材料を集められるほどお金はないし」
バイトをしようにも、頭数の多い兄弟達を食べさせていくだけで財布は空っぽだった。具合の悪そうな弟を看病したり、食欲のない妹がいれば別に食事を用意してやったり。一般的な人魚の持つ、儚くて冷酷な死生観とは違う生き方をしていると、やはりお金と手間はかかる。
ぷか、とため息の詰まった泡を浮かべていると、フロイドがそれを指先で弾く。思いついた、とでも言わんばかりに、こちらを見つめて。
「じゃあオレが脚あげよっか?」
「いいの? ケースの中でしか見たことないけど、脚を生やす薬って高いんじゃ……」
「カレッジ行ったら、薬の作り方ぐらい習うだろーし。もしかしてオレが作った薬じゃあ、嫌なの?」
海の揺らぎが彼の金色に滲んだ、ような気がした。目を少し伏せて、こちらを見やるあの我の強い視線だ。
「や、そういうわけじゃないけど…」
「オレは(名前)が脚で歩いてる姿って、どうなのかなーって気になったからさあ」
少し弱気になった私を見て、フロイドはにやりと笑った。オレ、こういうのは忘れないタイプだから。そうも得意げな表情を見せる彼につられ、
「なら、期待だけしとく」
私も微笑み返したのを今も憶えている。