しっぽや(No.11~22)
テーブルにいるサトシの目の前でお茶を注ぎ、お茶漬けを完成させる。
「はい、どうぞ」
俺が勧めると
「いただきます」
サトシは嬉しそうに箸を手に取った。
「うん!美味い!羽生は凄いね!
お弁当も、とっても美味しかったよ」
お茶漬けを食べながら笑顔になるサトシに、俺も笑顔を向ける。
「しょっぱいのは体に良くないけど、お茶漬けにするときの鮭は大辛の方が良いんだ
ゴマはスリ胡麻の方が栄養吸収率が良くて、三ツ葉をのせると香りが良い
お野菜も、ちゃんと食べてね」
長瀞に教わったことを思い出しながら、一生懸命サトシにそう説明する。
「うん、うん」
サトシはニコニコしながら、俺の作ったお茶漬けを美味しそうに食べてくれた。
その笑顔に、俺は幸せで胸が一杯になる。
「そだ、お弁当箱洗わなきゃ
明日のおにぎりの中身は、残りの鮭にするね
卵は焼き過ぎないよう、ウインナーは焦がさないよう気を付ける
あ、洗い物してる間、サトシはシャワーを浴びてきて
その方が『効率が良い』んだって
俺はもう、先に浴びといたから」
俺の言葉に、サトシは真っ赤になる。
「え?俺、変な事言った?
順番、変だった?」
長瀞に教わった通りに言ったはずだけど、と俺はオロオロしてしまう。
「ああ、いや、じゃあそうさせてもらうよ」
サトシは慌ててそう言うと、シャワールームに消えて行った。
『お酒の後って、お茶とコーヒーどっちが良いのかな
冷たい方が良いの?温かいの?』
洗い物を片付け終わり、俺はそんな事を考える。
『サトシに聞いてみよう』
俺がシャワールームに入ると、サトシは腰にタオルを巻いただけの状態で、ドライヤーで髪を乾かしていた。
「サトシ、何か飲む?
冷たいのもペットボトルで買ってあるんだ
ブロンディと右衛門茶が今日の特売だったから
『特売』って、いつもより安いの
『お得』だって長瀞が言ってたよ」
俺がそう声をかけると、振り向いたサトシはまた赤くなって少し慌てている。
『あれ?』
何も着てないサトシを見ていたら、何故か俺もドキドキして顔が赤くなってきた。
サトシと離れたくなかった。
もっと、側にいたかった。
俺は思わず、サトシに抱きついてしまう。
「羽生、どうした?
具合が悪いのか?」
サトシが焦ったように俺を抱き締めてくれた。
俺は首を振り
「俺、長瀞に発情してるって言われた
それって、病気なのかな
最近サトシを見てると、胸が苦しくなるの…
俺、また先に死んじゃったらどうしよう…
もう、サトシと離れ離れになりたくないのに」
サトシの胸に頬をスリ寄せながら、そう告白する。
自分の体に起きている事が、怖かった。
「羽生…不安だったんだね
もう大丈夫だよ、待たせてごめんな」
サトシは優しく頭を撫でてくれて、そっとキスをしてくれた。
いつもよりもっと長い、時間をかけたキス。
サトシの舌が俺の舌を絡めようとする。
いつもと違うキスに戸惑うが、俺もそれに応えようと自然と舌を動かしていた。
「サトシ…」
俺の体の中で、サトシへの想いが溢れそうになる。
サトシが俺を抱き上げて、そのままベッドに運んでくれた。
俺達はまだ、唇を重ねあっていた。
「ん…はあ…」
そんな吐息が、お互いの口からもれる。
サトシが俺のシャツのボタンを外し、服を脱がせていく。
サトシの唇が俺の首筋を辿り胸に移動していくと、触れられている部分に電流が走ったような感覚になった。
「あっ…サトシ、サトシ」
たまらずに、俺は何度も名前を呼んだ。
体の中心が、とても熱くなっていた。
「羽生、好きだよ、愛してる」
サトシの言葉が、胸の奥に染み込むように心地好く響く。
「サトシ、俺も大好き、愛してる
一緒にいて、ずっと、ずっと一緒に…」
俺はサトシに抱きつきながら、夢中でそう言っていた。
「うん、羽生、ずっとずっと一緒だよ」
サトシの言葉は、涙が出るほど嬉しかった。
サトシの体が俺の中に入ってくる。
サトシの想いが俺の中に注がれる。
俺も、サトシへの想いを解放していた。
その儀式は、何度も何度も繰り返された。
『これが、契るということ…』
それはとても崇高で、とても心地好いもので、やがて俺とサトシは安らぎのまどろみの中に落ちていった。
翌朝、サトシの腕の中で目覚めた俺には世界がいつもと違って見えた。
世界はとてもクリアーで、幸福に満ち溢れている。
サトシの安らかな寝息が、天上の音楽のようであった。
『サトシ、俺、絶対サトシの事守るからね』
朝日で輝くベッドの中でサトシの腕に抱かれながら、俺はその胸に頬をスリ寄せ、そう決意する。
俺はこの時改めて、サトシの飼い猫としての自覚をし、この上ない幸福感に包まれるのであった。
「はい、どうぞ」
俺が勧めると
「いただきます」
サトシは嬉しそうに箸を手に取った。
「うん!美味い!羽生は凄いね!
お弁当も、とっても美味しかったよ」
お茶漬けを食べながら笑顔になるサトシに、俺も笑顔を向ける。
「しょっぱいのは体に良くないけど、お茶漬けにするときの鮭は大辛の方が良いんだ
ゴマはスリ胡麻の方が栄養吸収率が良くて、三ツ葉をのせると香りが良い
お野菜も、ちゃんと食べてね」
長瀞に教わったことを思い出しながら、一生懸命サトシにそう説明する。
「うん、うん」
サトシはニコニコしながら、俺の作ったお茶漬けを美味しそうに食べてくれた。
その笑顔に、俺は幸せで胸が一杯になる。
「そだ、お弁当箱洗わなきゃ
明日のおにぎりの中身は、残りの鮭にするね
卵は焼き過ぎないよう、ウインナーは焦がさないよう気を付ける
あ、洗い物してる間、サトシはシャワーを浴びてきて
その方が『効率が良い』んだって
俺はもう、先に浴びといたから」
俺の言葉に、サトシは真っ赤になる。
「え?俺、変な事言った?
順番、変だった?」
長瀞に教わった通りに言ったはずだけど、と俺はオロオロしてしまう。
「ああ、いや、じゃあそうさせてもらうよ」
サトシは慌ててそう言うと、シャワールームに消えて行った。
『お酒の後って、お茶とコーヒーどっちが良いのかな
冷たい方が良いの?温かいの?』
洗い物を片付け終わり、俺はそんな事を考える。
『サトシに聞いてみよう』
俺がシャワールームに入ると、サトシは腰にタオルを巻いただけの状態で、ドライヤーで髪を乾かしていた。
「サトシ、何か飲む?
冷たいのもペットボトルで買ってあるんだ
ブロンディと右衛門茶が今日の特売だったから
『特売』って、いつもより安いの
『お得』だって長瀞が言ってたよ」
俺がそう声をかけると、振り向いたサトシはまた赤くなって少し慌てている。
『あれ?』
何も着てないサトシを見ていたら、何故か俺もドキドキして顔が赤くなってきた。
サトシと離れたくなかった。
もっと、側にいたかった。
俺は思わず、サトシに抱きついてしまう。
「羽生、どうした?
具合が悪いのか?」
サトシが焦ったように俺を抱き締めてくれた。
俺は首を振り
「俺、長瀞に発情してるって言われた
それって、病気なのかな
最近サトシを見てると、胸が苦しくなるの…
俺、また先に死んじゃったらどうしよう…
もう、サトシと離れ離れになりたくないのに」
サトシの胸に頬をスリ寄せながら、そう告白する。
自分の体に起きている事が、怖かった。
「羽生…不安だったんだね
もう大丈夫だよ、待たせてごめんな」
サトシは優しく頭を撫でてくれて、そっとキスをしてくれた。
いつもよりもっと長い、時間をかけたキス。
サトシの舌が俺の舌を絡めようとする。
いつもと違うキスに戸惑うが、俺もそれに応えようと自然と舌を動かしていた。
「サトシ…」
俺の体の中で、サトシへの想いが溢れそうになる。
サトシが俺を抱き上げて、そのままベッドに運んでくれた。
俺達はまだ、唇を重ねあっていた。
「ん…はあ…」
そんな吐息が、お互いの口からもれる。
サトシが俺のシャツのボタンを外し、服を脱がせていく。
サトシの唇が俺の首筋を辿り胸に移動していくと、触れられている部分に電流が走ったような感覚になった。
「あっ…サトシ、サトシ」
たまらずに、俺は何度も名前を呼んだ。
体の中心が、とても熱くなっていた。
「羽生、好きだよ、愛してる」
サトシの言葉が、胸の奥に染み込むように心地好く響く。
「サトシ、俺も大好き、愛してる
一緒にいて、ずっと、ずっと一緒に…」
俺はサトシに抱きつきながら、夢中でそう言っていた。
「うん、羽生、ずっとずっと一緒だよ」
サトシの言葉は、涙が出るほど嬉しかった。
サトシの体が俺の中に入ってくる。
サトシの想いが俺の中に注がれる。
俺も、サトシへの想いを解放していた。
その儀式は、何度も何度も繰り返された。
『これが、契るということ…』
それはとても崇高で、とても心地好いもので、やがて俺とサトシは安らぎのまどろみの中に落ちていった。
翌朝、サトシの腕の中で目覚めた俺には世界がいつもと違って見えた。
世界はとてもクリアーで、幸福に満ち溢れている。
サトシの安らかな寝息が、天上の音楽のようであった。
『サトシ、俺、絶対サトシの事守るからね』
朝日で輝くベッドの中でサトシの腕に抱かれながら、俺はその胸に頬をスリ寄せ、そう決意する。
俺はこの時改めて、サトシの飼い猫としての自覚をし、この上ない幸福感に包まれるのであった。