空翔けるうた~02~
「あ!ここの免税店も!パンフに載ってたお店だわ!翼宿!ここも、寄っていい!?」
LAの繁華街の中を歩く、日本人の美男美女。
パンフを片手にはしゃぐ女の後ろでは、買い物の荷物を大量に持たされて迷惑そうな顔をしている男の姿。
それは、昨夜LAに着いたばかりの空翔宿星のメンバーでもあり恋人同士の二人だった。
「なあ…これで、6軒目なんやけど」
「いいじゃない!今日は、一日オフなんだから♡あんたとも、こんなにゆっくり日中にデートした事なんてないじゃない!」
「………………」
「じゃあ…ここで、最後にする」
それでもさすがに相手の不機嫌さに堪え兼ねた柳宿は、この店で最後にする約束をする。
本当は、翼宿にとっても笑顔の絶えない柳宿を眺めているのは楽しいのだが。
「…あ」
店内に歩を進めていくと傍らに宝石が並ぶショーウインドウがあり、柳宿はそこで一瞬立ち止まる。
そこには、天使の羽をあしらった宝石がキラキラ輝いている指輪が飾られていた。
そう。本当は、女の柳宿がずっと憧れているもの…
しかし次には横からその様子を見守っていた翼宿に気付いて、すぐに目を逸らす。
こんなプレッシャーかけたらいけない…そんな風に、自分を叱咤しながら。
6軒目の買い物を済ませた二人は、足早に店を出た。
LAとはいえ、空翔宿星が来ている事は国民にも多少なりとも知れ渡っているだろう。
だから外出は変装はして、一ヶ所に長居はしないという夕城プロの条件付きだった。
平日の昼間にも関わらず、LAの歩道は渋谷並の人で溢れている。
大荷物を持っている翼宿と少しの荷物を持っている女の柳宿にとり、この状況は少し動きづらかった。
「翼宿…無理しないでよ?もう少し、あたしが持とうか?」
「大丈夫や。こんくらい…それより、はぐれるんやないで?」
「分かってる…」
ドン!
その時、華奢な柳宿の体を人混みが軽く押した。
「あっ…」
バランスを崩した柳宿の右手が、大きな手に掴まれた。
それは、翼宿の左手。
「ごめ…」
手を離そうとするが、いつもなら手を繋ぐなど絶対にしない翼宿がしっかりと自分の右手を握り締めている。
「翼宿…?」
「この方が…ええやろ」
初めて、手を繋いで街を歩ける…柳宿はこの状況を瞬時に悟り、顔が耳まで真っ赤になる。
「あ、ありがとう…」
既にキスもしたし、一緒に寝た仲でもあるのに…
まるでこの状況が初デートでもあるかのように、柳宿の胸は幸せに高鳴っていた。
『奎介!この度は、ありがとう!』
『マイケル!ご無沙汰してます!』
その頃、ホテルのロビーでは、夕城プロと現地の大手音楽会社のグローバルミュージック社長・マイケルが顔を合わせていた。
『日本での君の活躍を聞いて、是非とも君の子供達をお目にかけたいと思ってね…わたしが、今回の公演を主催会社に掛け合ったんだ』
『いや~まさか、こんなに早くLAに来られるなんて思ってなかったよ!僕も、嬉しいよ!マイケル!』
念のためと学んでいた英会話が功を奏して、夕城プロもマイケルとマトモな会話が交わせている。
『ところで…君の子供達の中のボーカル。翼宿くんといったかな?』
『ええ。うちのバンドの顔ですが…』
『彼の歌声、LAでは百年に一度の逸材だと言われているよ。彼は、才能の賜物に値する。わたしも、ずっと彼に興味を抱いていてね…』
『ハハハ!お褒めに預かり…嬉しい限り!』
そこでマイケルは少し身を乗り出して、声を潜めた。
『それでだね?奎介…ここだけの話なんだが…』
「夕城プロ?」
そこに聞こえたのは、女の声。
振り返ると、子供達の翼宿と柳宿がロビーに戻ってきていた。
「おお!二人とも!戻ったか!」
「はい!何とか、周りにもバレずに…」
「上出来上出来!さすがは、プロ根性だ!」
「あ…お打ち合わせ中でしたか?」
そこで、柳宿はマイケルの存在に気付く。
「ああ!二人とも。紹介するよ!彼は、うちの会社と取引のあるグローバルミュージック社長のマイケルだ」
「あ!初めまして!」
柳宿に続いて、翼宿も会釈をする。
「お前らの活躍を、ここでずっと見守っていたらしい。この2days、期待してるってよ!まずは、明日のリハーサルから見学に来てくれるそうだ」
「が…頑張ります!」
夕城プロの通訳に生真面目に答えているのは柳宿だけで、翼宿は特に反応を示さない。
「じゃあ、明日からはしっかり働くようにな!二人とも!」
「はーい!じゃあ、失礼します!」
最後にもう一度会釈をすると、柳宿と翼宿はその場を離れた。
『すみません…翼宿の奴、人見知りでして』
『いや…』
それでも、マイケルの瞳の輝きは失われなかった。
『ますます、興味を持ったよ…』
「なあ?鬼宿」
「何だよ?」
「どうして、俺達はLAに来てまでいつものように麻雀打ってるんだろうな?」
「この国では、俺もお前も独り身だからだよ」
その頃、鬼宿と天文は街中のバーで麻雀を打っていた。
「今頃、あの二人、楽しんでるかな…」
「そりゃあ、今日くらいは楽しんでくれないとな。日本での頑張りが、なくなる」
「ったく…鬼宿。お前は、大人だな。今でも、健気にあの二人を応援して…」
天文の言葉に、鬼宿は穏やかに微笑む。
「あの二人は、俺にとって何よりも大事な仲間だからな。もうインターンシップのような事には巻き込まれないでほしいし、二人にはもっともっと幸せになってほしい」
それは、空翔宿星リーダーの切なる願い。
「あー買った買った♡あたし、初めてあんなに買い物したかも!日本じゃこんなに街中うろつけないからね~LAに来ればこんなに自由になれるなんて、思わなかった!」
翼宿と柳宿は荷物を部屋に入れた後、ホテルの最上階のテラスのベンチに来ていた。
眼下には、LAの宝石箱のような夜景が広がっている。
「………………」
「どうしたの?翼宿。怖い顔して…」
「元々の顔や。ったく…女の買い物に付き合うと、これやから…」
翼宿は、先程まで荷物で塞がっていた両腕を交互に大きく回す。
「ごめんごめん!明日のリハーサルから、あたしの高尚なピアノテクニックで恩返しするから!」
「あーへいへい。期待しとるわ」
大きくため息を吐きながら、一服を始める翼宿。
そんな彼の姿に、柳宿の顔にも自然と笑みがこぼれる。
こんな風に簡単に二人きりになれるのも、先程のように手を繋げるのも…外国ならでは。
叶うなら、ここに永住してもいい。柳宿は、そんないけない事も考えつつあった。
「せや」
思い出したように、翼宿は煙草を灰皿にかける。
「柳宿。目、瞑れ」
「え?何で?」
「ええから!ちょっとだけ、目、瞑れ」
言われるがままに、柳宿は目を瞑る。
少しすると、手元に何かが置かれた感覚があった。
「もう、ええで」
その合図に目を開けると、掌に小さな箱が収まっている。
横を見ると、翼宿は煙草の続きを吹かしている。
「これ…」
「…せやかて、お前、たまに溢してたんやろ?あたしも指輪がほしい~とかって」
その言葉に瞬時に顔が赤くなり、慌てて手元の箱を開ける。
その中央には、先程チラリと見たショーウインドウに飾られていた指輪が収まっていた。
まさか先程荷物を部屋に入れて整理している短時間の間に、わざわざ買いに行ってくれたんだろうか?
「翼宿…」
「仕事中は、あかんで?それ以外に付けるなら…まあ、許す」
照れ隠しでこちらを見ない彼の姿に、自然と涙が溢れる。
そのまま、そっと肩に顔を埋めた。
「ありがとう…」
「………………」
「あたし、めちゃめちゃ幸せだよ…」
「…こんなに規則的な交際でも…お前は、ええんか?」
それは、翼宿が密かに感じていた不安。
今日、柳宿がはしゃぐ姿を見て、彼は日本で彼女を自由にさせてあげられない申し訳なさを感じていたのだ。
そんな気持ちが伝わったのか、柳宿は静かに微笑む。
「いいの…あたしは、あんたの傍にいられるだけで、十分だから」
「柳宿」
「けど…たまには、あたしにも甘えてくれてもいいんじゃない?」
「は?」
「緊張してるんでしょ?今回の公演。買い物中も、たまに景色眺めながらボーッとしてた」
「んな訳、あらへんわ…何で、俺が…」
「………大丈夫?」
「…………っ」
いつものようにクールにかわす翼宿を、しかし柳宿は真剣な目で見つめ続ける。
その表情に核心をつかれてほんの少し頬を染める翼宿だが、次には観念したように灰皿に煙草を押し込む。
「ほんなら」
そのまま、優しい女のその体を胸元に引き寄せた。
「ほんの少し…体、貸してくれや」
「翼宿…」
「こうしてると…一番、安心すんねん」
自分がリードしようと試みた行動なのに抱き締められているその大きな腕に、体が熱くなるのはやはり柳宿の方。
それでも普段は気丈で感情を表に出さない翼宿に頼られていると思うだけで、柳宿の中に小さな自信が生まれた。
「あたしとたまが、一緒だよ」
「………………」
「ずっと、ずーっとね」
「…ああ」
そんな二人の絆、三人の絆が再び壊れてしまう機会が…すぐ傍にまで、来ていた。
LAの繁華街の中を歩く、日本人の美男美女。
パンフを片手にはしゃぐ女の後ろでは、買い物の荷物を大量に持たされて迷惑そうな顔をしている男の姿。
それは、昨夜LAに着いたばかりの空翔宿星のメンバーでもあり恋人同士の二人だった。
「なあ…これで、6軒目なんやけど」
「いいじゃない!今日は、一日オフなんだから♡あんたとも、こんなにゆっくり日中にデートした事なんてないじゃない!」
「………………」
「じゃあ…ここで、最後にする」
それでもさすがに相手の不機嫌さに堪え兼ねた柳宿は、この店で最後にする約束をする。
本当は、翼宿にとっても笑顔の絶えない柳宿を眺めているのは楽しいのだが。
「…あ」
店内に歩を進めていくと傍らに宝石が並ぶショーウインドウがあり、柳宿はそこで一瞬立ち止まる。
そこには、天使の羽をあしらった宝石がキラキラ輝いている指輪が飾られていた。
そう。本当は、女の柳宿がずっと憧れているもの…
しかし次には横からその様子を見守っていた翼宿に気付いて、すぐに目を逸らす。
こんなプレッシャーかけたらいけない…そんな風に、自分を叱咤しながら。
6軒目の買い物を済ませた二人は、足早に店を出た。
LAとはいえ、空翔宿星が来ている事は国民にも多少なりとも知れ渡っているだろう。
だから外出は変装はして、一ヶ所に長居はしないという夕城プロの条件付きだった。
平日の昼間にも関わらず、LAの歩道は渋谷並の人で溢れている。
大荷物を持っている翼宿と少しの荷物を持っている女の柳宿にとり、この状況は少し動きづらかった。
「翼宿…無理しないでよ?もう少し、あたしが持とうか?」
「大丈夫や。こんくらい…それより、はぐれるんやないで?」
「分かってる…」
ドン!
その時、華奢な柳宿の体を人混みが軽く押した。
「あっ…」
バランスを崩した柳宿の右手が、大きな手に掴まれた。
それは、翼宿の左手。
「ごめ…」
手を離そうとするが、いつもなら手を繋ぐなど絶対にしない翼宿がしっかりと自分の右手を握り締めている。
「翼宿…?」
「この方が…ええやろ」
初めて、手を繋いで街を歩ける…柳宿はこの状況を瞬時に悟り、顔が耳まで真っ赤になる。
「あ、ありがとう…」
既にキスもしたし、一緒に寝た仲でもあるのに…
まるでこの状況が初デートでもあるかのように、柳宿の胸は幸せに高鳴っていた。
『奎介!この度は、ありがとう!』
『マイケル!ご無沙汰してます!』
その頃、ホテルのロビーでは、夕城プロと現地の大手音楽会社のグローバルミュージック社長・マイケルが顔を合わせていた。
『日本での君の活躍を聞いて、是非とも君の子供達をお目にかけたいと思ってね…わたしが、今回の公演を主催会社に掛け合ったんだ』
『いや~まさか、こんなに早くLAに来られるなんて思ってなかったよ!僕も、嬉しいよ!マイケル!』
念のためと学んでいた英会話が功を奏して、夕城プロもマイケルとマトモな会話が交わせている。
『ところで…君の子供達の中のボーカル。翼宿くんといったかな?』
『ええ。うちのバンドの顔ですが…』
『彼の歌声、LAでは百年に一度の逸材だと言われているよ。彼は、才能の賜物に値する。わたしも、ずっと彼に興味を抱いていてね…』
『ハハハ!お褒めに預かり…嬉しい限り!』
そこでマイケルは少し身を乗り出して、声を潜めた。
『それでだね?奎介…ここだけの話なんだが…』
「夕城プロ?」
そこに聞こえたのは、女の声。
振り返ると、子供達の翼宿と柳宿がロビーに戻ってきていた。
「おお!二人とも!戻ったか!」
「はい!何とか、周りにもバレずに…」
「上出来上出来!さすがは、プロ根性だ!」
「あ…お打ち合わせ中でしたか?」
そこで、柳宿はマイケルの存在に気付く。
「ああ!二人とも。紹介するよ!彼は、うちの会社と取引のあるグローバルミュージック社長のマイケルだ」
「あ!初めまして!」
柳宿に続いて、翼宿も会釈をする。
「お前らの活躍を、ここでずっと見守っていたらしい。この2days、期待してるってよ!まずは、明日のリハーサルから見学に来てくれるそうだ」
「が…頑張ります!」
夕城プロの通訳に生真面目に答えているのは柳宿だけで、翼宿は特に反応を示さない。
「じゃあ、明日からはしっかり働くようにな!二人とも!」
「はーい!じゃあ、失礼します!」
最後にもう一度会釈をすると、柳宿と翼宿はその場を離れた。
『すみません…翼宿の奴、人見知りでして』
『いや…』
それでも、マイケルの瞳の輝きは失われなかった。
『ますます、興味を持ったよ…』
「なあ?鬼宿」
「何だよ?」
「どうして、俺達はLAに来てまでいつものように麻雀打ってるんだろうな?」
「この国では、俺もお前も独り身だからだよ」
その頃、鬼宿と天文は街中のバーで麻雀を打っていた。
「今頃、あの二人、楽しんでるかな…」
「そりゃあ、今日くらいは楽しんでくれないとな。日本での頑張りが、なくなる」
「ったく…鬼宿。お前は、大人だな。今でも、健気にあの二人を応援して…」
天文の言葉に、鬼宿は穏やかに微笑む。
「あの二人は、俺にとって何よりも大事な仲間だからな。もうインターンシップのような事には巻き込まれないでほしいし、二人にはもっともっと幸せになってほしい」
それは、空翔宿星リーダーの切なる願い。
「あー買った買った♡あたし、初めてあんなに買い物したかも!日本じゃこんなに街中うろつけないからね~LAに来ればこんなに自由になれるなんて、思わなかった!」
翼宿と柳宿は荷物を部屋に入れた後、ホテルの最上階のテラスのベンチに来ていた。
眼下には、LAの宝石箱のような夜景が広がっている。
「………………」
「どうしたの?翼宿。怖い顔して…」
「元々の顔や。ったく…女の買い物に付き合うと、これやから…」
翼宿は、先程まで荷物で塞がっていた両腕を交互に大きく回す。
「ごめんごめん!明日のリハーサルから、あたしの高尚なピアノテクニックで恩返しするから!」
「あーへいへい。期待しとるわ」
大きくため息を吐きながら、一服を始める翼宿。
そんな彼の姿に、柳宿の顔にも自然と笑みがこぼれる。
こんな風に簡単に二人きりになれるのも、先程のように手を繋げるのも…外国ならでは。
叶うなら、ここに永住してもいい。柳宿は、そんないけない事も考えつつあった。
「せや」
思い出したように、翼宿は煙草を灰皿にかける。
「柳宿。目、瞑れ」
「え?何で?」
「ええから!ちょっとだけ、目、瞑れ」
言われるがままに、柳宿は目を瞑る。
少しすると、手元に何かが置かれた感覚があった。
「もう、ええで」
その合図に目を開けると、掌に小さな箱が収まっている。
横を見ると、翼宿は煙草の続きを吹かしている。
「これ…」
「…せやかて、お前、たまに溢してたんやろ?あたしも指輪がほしい~とかって」
その言葉に瞬時に顔が赤くなり、慌てて手元の箱を開ける。
その中央には、先程チラリと見たショーウインドウに飾られていた指輪が収まっていた。
まさか先程荷物を部屋に入れて整理している短時間の間に、わざわざ買いに行ってくれたんだろうか?
「翼宿…」
「仕事中は、あかんで?それ以外に付けるなら…まあ、許す」
照れ隠しでこちらを見ない彼の姿に、自然と涙が溢れる。
そのまま、そっと肩に顔を埋めた。
「ありがとう…」
「………………」
「あたし、めちゃめちゃ幸せだよ…」
「…こんなに規則的な交際でも…お前は、ええんか?」
それは、翼宿が密かに感じていた不安。
今日、柳宿がはしゃぐ姿を見て、彼は日本で彼女を自由にさせてあげられない申し訳なさを感じていたのだ。
そんな気持ちが伝わったのか、柳宿は静かに微笑む。
「いいの…あたしは、あんたの傍にいられるだけで、十分だから」
「柳宿」
「けど…たまには、あたしにも甘えてくれてもいいんじゃない?」
「は?」
「緊張してるんでしょ?今回の公演。買い物中も、たまに景色眺めながらボーッとしてた」
「んな訳、あらへんわ…何で、俺が…」
「………大丈夫?」
「…………っ」
いつものようにクールにかわす翼宿を、しかし柳宿は真剣な目で見つめ続ける。
その表情に核心をつかれてほんの少し頬を染める翼宿だが、次には観念したように灰皿に煙草を押し込む。
「ほんなら」
そのまま、優しい女のその体を胸元に引き寄せた。
「ほんの少し…体、貸してくれや」
「翼宿…」
「こうしてると…一番、安心すんねん」
自分がリードしようと試みた行動なのに抱き締められているその大きな腕に、体が熱くなるのはやはり柳宿の方。
それでも普段は気丈で感情を表に出さない翼宿に頼られていると思うだけで、柳宿の中に小さな自信が生まれた。
「あたしとたまが、一緒だよ」
「………………」
「ずっと、ずーっとね」
「…ああ」
そんな二人の絆、三人の絆が再び壊れてしまう機会が…すぐ傍にまで、来ていた。