スパイス

Plllllllllllllllllll
「わっ!?」
家でゴロゴロしていた柳宿の携帯が鳴った
『着信:星宿』
「あ・・・」
そのまま、電話に出る
「もしもし?」
『もしもし。柳宿さん?起きてた?』
「う・・・うん!起きてたよ・・・」
ゴロゴロしていた態勢で、答える
「今、課長からファイルを貰ったよ。ありがとう。いいアイデアが浮かびそうだ」
「あ・・・課長、着いたんですか?よかった・・・」
「こんな事までしてくれなくてもよかったのに・・・」
「す!すみません!迷惑でしたか?」
「迷惑な訳ないじゃないか・・・」
電話の向こうの声は、穏やかだった
「あの・・・私・・・」
「ん?」
「ここまで他人の為に動いた事って、初めてでした」
「うん」
「だから・・・その・・・上手く言えないけど・・・多分・・・星宿さんの事が好きなんだと・・・思います」
「・・・ありがとう」
「思うだなんて・・・そんな失礼な答えないんですけど」
「いいんじゃないかな。これから2人で育てていけば」
2人で育てていくもの
それが恋愛

カランカラン
「いらっしゃいませ。お待ち合わせですか?」
「はい・・・あ。大丈夫です」
翼宿は、すぐに目的の人物を見つけた
「久しぶり。降られたの?」
清楚に整った装いのスーツ姿の女性が座っている席に、歩を進める
「心配せんでも結構」
そこに溜息混じりで座る
「何やねん。今更・・・何の用や?」
「随分、無視されていたようね」
「そらそうやろ・・・お前から出て行ったんやないか」
「最近・・・上手く行ってないのよ」
「そんなんの為に、俺呼ぶなや」
注文を取ろうとするウェイターを片手で制する
「もう連絡よこすなて、それだけ言いに来ただけやから」
立ちあがろうとする翼宿
すると、女性は翼宿を強引に向かせてキスをした
「・・・・・・・・・・・・・・・・つっ!!」
「まだ・・・私はあなたの事が・・・」
「えぇ加減にせぇ!!!!!」
公衆の面前にも関わらず、翼宿は声を張り上げた
キスの場面から、もう周りに見られていたが
そのまま、翼宿は喫茶店を出て行った

「課長・・・遅いな」
時刻は、23時。
もう、3時間は経っている
「報告しなきゃいけないのに」
携帯電話を握りしめる
鼓動は早まってはいるけれど
やっぱり何かが引っかかる
翼宿の事が気になるんだ
カタン
すると、門が開く音がした
「あ・・・課長!」
扉を開けると、びしょ濡れの翼宿が立っていた
「あ~こんなに濡れて・・・!課長・・・ごめんなさい・・・」
傍にある手ぬぐいを取り出して、翼宿の頭を拭く
すると、翼宿が柳宿の小さな体を抱きしめた
「つあ・・・!?」
手ぬぐいが落ちる
「・・・・・・・・・・すまん。ちょい・・・疲れた」
「課長・・・」
そこを通りかかった
星宿が見ていた
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