Sunshine*Rainbow

「実は、私・・・夫に逃げられたんです」
「え?」
女性の玄関の前まで荷物を運んであげた時、女性は翼宿にふとそんな事を漏らした
「明日が結婚式でした。だけど、一週間前に彼は・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「親の反対を押し切って新居も借りた私には、もうここしか帰る場所がなくて・・・」
「そ・・・でしたか」
「すみません。初対面でこんなお話・・・しかも、お仕事中でしたよね?」
「あ~・・・や。いいんですわ!気にせんといてください!」
「あの・・・私、玲麗っていいます。よろしければ、お仕事のついでに家に休憩にいらしてください」
「・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「あ・・・営業の方でしたよね?私、契約します!」
「ホ・・・ホンマですか?」
「あの・・・電話番号教えていただいてもよろしいですか?」
玲麗は、必死にすがっていた
次なる愛する人に

「ただいま~」
「あ。お帰り!遅かったじゃないの!」
「翼宿~お帰り~v」
「コラ!ひっついてくんな!クタクタなんや~」
「残業?」
「あ~ま、契約取れたからえぇんやけどな」
ワン!
なりふり構わずまとわりついてくる柚子とユウを横目に、翼宿はそう告げる
「そっか。ゆずも、今日は特に目立ったトラブルには巻き込まれてないみたいだし」
「そら・・・よかったわ」
やはり、翼宿も父親
その言葉には安堵する
「ご飯すぐに食べましょう!」
「今日ね~翼宿の好きな唐揚げなんだよ~」
「あ!お前も好きなもんやないか!俺にきちんと残してくれてたんやろな!?」
「3個くらい~」
「おいっ!!ゆず、お前っ!!」
和やかな風景だった
その筈だった

「ねぇ~?」
「何やねん」
「今度の日曜日、みんなで久々にお出かけしたいと思ってるんだけど、どう?」
「あ~休日出勤じゃなければなあ」
「今日、契約取れたんなら大丈夫なんじゃないの~?」
「多分」
鏡台の前で髪をとかす柳宿の後ろで、湯浴みを済ませた翼宿がベッドの上で橙色の髪の毛をタオルで擦っている
「じゃあ~海行きましょうよ!」
「は~?また、何で海やねん!」
「あたしがあんたにプロポーズされた海!子供が出来たら、連れていきたかったの!」
柳宿は翼宿の後ろから飛びつく
「それに・・・その・・・あんたと久々に・・・昔に戻りたくなったっていうか・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・阿呆」
翼宿は、やんわりと柳宿を払うと立ちあがった
結婚してから、こいつは中々素直になってくれない
たまに、それを不満に思っていた柳宿
プロポーズまでそんなに長い期間付き合っていなかった二人
だからこそ、結婚後も翼宿の色々な面が見たかったのに

♪♪♪
翼宿の携帯が鳴る
「え・・・?こんな時間に、誰?」
翼宿は携帯のウインドウを見て顔色を変える
「・・・・・・・・・・・すまん。ちょっと」
「え~?翼宿ー?」

「もしもし?」
『・・・もしもし』
「玲麗さん・・・どうなさったんですか?」
『すみません・・・夜分遅くに。明日・・・お時間ありますか?』
「え・・・何か・・・?」
『寂しいんです・・・私』
「え・・・」
『結婚式の日に一人ぼっちでいる事が・・・耐えられない』
その言葉にハッとなる

本当は優しすぎるくらい優しいこの男は
利用されやすい男でもあった
7/12ページ
スキ