FIRE BOYS

「どうやったんや?ばあちゃんの反応~」
寮に戻った張宿と、六人は共に湯船に浸かる
「はい。とても喜んでいてくれました」
「そりゃ、あんな可愛い柳宿ちゃんが彼女じゃあ、誰だって喜ぶわな~」
前々から柳宿狙いだった堺は、羨ましそうに言う
「はい・・・柳宿さんには、ご迷惑をおかけしました」
「いやいや!あいつも、内心は嬉しい筈やで~ホンマに付き合ったらどうなん?」
「・・・・・・・・・・・それは、遠慮しておきます」
翼宿以外の六人は柳宿の気持ちに気づいていた為、小さく溜息を洩らす
「・・・・・・・・・・僕、皆さんにお会い出来て、よかったです」
「へ???」
「僕、幼い頃に、両親を火事で亡くしました」
「・・・・・・・・・・・・・」
「それからは、ずっと祖母に育ててもらっていました。祖母は、本当に僕を可愛がってくれて・・・少しずつ、両親の死から立ち直らせてくれました。だけど、僕は・・・人に頼り過ぎていた。何をするにも誰かに甘えて生きてきました。だからこそ、自立したい。憧れていた救命士の世界に飛び込めたんです」
「・・・・・・・・そうか」
「だけど・・・僕、こうして皆さんに会えただけで、十分です。例え、救命士になれなくても・・・」
「お前頑張ってるやん!もしかしたらもあるかもしれんでv」
翼宿が張宿を茶化した
張宿は、笑った

採用試験まで、後一週間
張宿は買い出しをしながら、ガイドブックを読んでいた
「張宿君!」
「あ・・・柳宿さん!」
そこで、同じく買い出しをしていた柳宿と会った
「この間は・・・ありがとうございました」
「ううん。あたしも、おばあさんの嬉しそうな顔見たら、嬉しくなっちゃった」
「後から、僕からきちんと事情を説明しておきます」
「ふふ・・・もうすぐ、採用試験なんでしょ?」
「はい・・・僕、一番落ちる確率高いです」
「そんな事ないわよ!張宿君、頑張ってたじゃない!頑張って!」
「はい!」
その時だった

ガラガラガシャーン

「誰かーーーーーーーーーーーーーーー!!誰か来てくれーーーーーーーーーーーーーー!!!」
工事現場付近で、悲鳴があがった
見ると、鉄筋の下に工事員が挟まれている
「おい!田中!大丈夫か!?」
「大変だ・・・柳宿さん、早く救急車を!」
「わ・・・分かった!」
張宿は、駆け寄る
「大丈夫ですか!?朱雀消防の者です!手伝います!」
「あ・・・お願いします!」
「いっせーの!!」
五人がかりで、工事員を引き出すが、びくともしない
「これ以上引っ張ると・・・傷口が広がります・・・何か方法は・・・」
そこで、張宿は頭上を見上げた
「あのクレーンで!鉄筋を吊りあげられませんか!?」
「やってみよう!おい!」

クレーンがゆっくりと鉄筋を持ち上げる
「そのまま・・・そのままでお願いします!」
徐々に、工事員が引き出されていく
「や・・・やった!田中!大丈夫か!?」
「ああ・・・」
「あ・・・ありがとうございます!」
「いいえ・・・すぐに救急車が来ますから・・・」
皆に支えられ、工事員は救出された

「張宿君!」
「柳宿さん!僕・・・今、人を助けたんですか?」
「そうだよ・・・凄いよ、張宿君!」
張宿の笑顔が見えた
ガラガラ・・・
その時、頭上から物音がした
次の瞬間
張宿の姿は、鉄筋の落下と共に消えた
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