紡歌

「鬼宿・・・柳宿、最近元気ないみたいだね」
次の日、美朱が自分の部屋を訪ねてこう言った
「そうだな」
「何かあったのかな?もうすぐ北甲国に出発なのに、柳宿が元気ないと張り合いがないよ」
柳宿は、朱雀七星士の大事なムードメーカーなのだ
「まあ、あいつにも色々あるんだろ。オカマの考えてる事はいまいち分からないからな。あんまり気にするなって。
あー美朱。俺、今からちょっと金稼ぎしてくるわ。夜には戻る」
「え・・・鬼宿?」
鬼宿は逃げるように去って行った
最近、美朱といるのが苦痛になった
自分の気持ちは、今別の人に・・・

コンコン
「はい」
「柳宿?あたし、美朱。入ってもいい?」
「いいわよ」
柳宿は、美朱が入ってくるとにっこりと微笑んだ
「柳宿・・・元気出た?」
「え?あたし、全然元気よv」
「そう?あんまり元気なかったように見えたから・・・」
「気のせいよぉ~あんたこそ元気ないじゃない?どうしたの?」
美朱には心配をかけてはいけない
柳宿は明るく振る舞った
「実は・・・鬼宿が最近あんまり相手してくれないんだ」
「え?だけど、あんたと鬼宿・・・きちんと話し合ったんでしょ?」
「そうなんだけど・・・あたしは巫女と七星の掟だから従ってるだけで、鬼宿を嫌った訳じゃないのに。あれがきっかけで、気まずくなっちゃったのかなって」
「そうなの・・・鬼宿も案外切り替えが悪いのね~分かったわ!あたしからあいつにガツンと言っておく!!」
大事な巫女を悩ませるなんて許せない

「ふぅ~こんくらいあれば、向こうの旅でも十分だろv」
お金を稼いできた後の鬼宿はいつも機嫌がいい
ある意味、これがストレス発散になるのだろう
もう、辺りは真っ暗になっていた
「腹減ったなあ~」
「腹ごしらえの前に、ちょっと来てくれない?」
「え?」
振り向くと、柳宿が立っていた
「柳宿・・・お前、どうしてここに・・・」
「あんたに話があるから、待ってたのよ」

裏庭に呼び出される
「あんた、最近美朱に冷たいそうじゃない?」
「え・・・?」
「昼間、あの子があたしを訪ねてきたのよ。どういうつもりなの?」
人一倍仲間思いの柳宿は、そう言って鬼宿に詰め寄る
「あんた達、ちゃんと話しあったんでしょ?
あんたと美朱は、朱雀を呼び出すまで一緒にはなれないって・・・それはしょうがない事じゃない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
鼓動は速まる
「あたしだって残念だけど、応援してるのよ?朱雀を呼び出した後には、あんた達はめでたく一緒になれるって信じて・・・」
「じゃあ、七星士同士なら・・・?」
「え?」
夜風が二人の間を吹き抜ける
「七星士同士なら、結ばれてもいいのか?」
「・・・・・・・・七星士同士って・・・?」
ザアッ
鬼宿は、柳宿を抱きしめていた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・鬼宿!?」
大木に追い詰められた
「嫌っ・・・何・・・ちょっとっ・・・鬼宿・・・!!」
「分かってくれよ・・・柳宿。俺・・・・・・・・・・・・・・・俺な。最低だって思ってるよ。美朱だって勿論好きだ。だけど、それ以上にお前を護りたいって思っちまったんだ」
「鬼・・・・・・・・・・・宿・・・」
「翼宿みたいに冗談も言えないし、お前を楽しませてやれない。だから、あいつに任せてた。だけど、あいつのせいでお前が悲しい顔してるの見たら・・・許せなくなった」
明らかに困惑している彼
「こんな事言ったら・・・お前をもっと困らせるって分かってる。だけど・・・だけど、止められねえんだよ」
「鬼宿・・・」
「俺はお前が好きだ。嘘じゃない。俺・・・美朱と別れるよ」
俺は、禁忌を犯した
君の笑顔を護る為に
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