太陽に咲く秋桜
「柳さぁーーーん!!」
次の日のお昼休みに、同僚が飛びついてきた
「なっ、何よ!?どうかしたの!?」
「柳さん・・・昨日バイクと接触したんですか!?」
「え・・・何でそれを・・・」
「今朝、警察の方から連絡があったんですよ。様子がおかしかったら、すぐに連絡くださいって」
「あ・・・そうなんだ。あたしも余所見してたから、悪いんだけどねぇ~何ともないわよ!!軽い打撲!!」
「よかった・・・ぶつかってきた人、怖い人じゃなかったんですか!?」
「まぁ、怖くはなかったけど、いかにも族でしたって頭はしてたかな」
「変な奴じゃなければ、よかったですね・・・」
『俺ら・・・・・・・・・・・・・・・・どこかで会ってへんか?』
まぁ、変っていっちゃあ変な奴だったわよね。
けど、そんな気がするあたしも変か・・・
昨日の彼の言葉がどこか気になってはいたのだが
「お疲れ様でした~」
今日も、定時あがりで社員が続々と帰っていく
「だから!!何度言ったら分かるんですか!!この文書は、私を通してから社長に渡してくださいよ!!」
「なっ・・・何カリカリしてんのよぉ」
チーフのデスクで、佐々木が大声をあげる
「柳さん。最近たるんでいませんか?昨夜はバイクにぶつかったみたいだし・・・もう少し気を引き締めてください」
「べっ・・・別に言われなくても」
「後、この書類今夜中に要約して、企画に回してください。お疲れ様でした」
佐々木は、言いたい放題喋るとそのまま帰って行った
「何なのよ・・・あいつは最近」
佐々木が急に自分に口うるさくなってきた原因が分からない
「ふぅ・・・あたしも帰ろう。家でやった方が集中するしね」
ポーチから鏡を取り出す
「あれ?」
いつものポーチの中にあるべきものが入っていない
「・・・あたし、口紅切らしたんだっけ?」
お気に入りの秋桜の香りがする口紅が見当たらない
「あれ・・・結構お気に入りだったのよね。商店街の薬局で帰りに買っていこう」
商店街は、駅の手前の大通りに面している
雑貨や化粧品が切れたら、ここで買うのが日課になっている
都心ほど盛んではないこの街の商店街には、アフターファイブを過ごす社会人や学生がちらほらいるだけだった
その中には、俗に言うストリートミュージシャンや露店を開き通り過ぎる人物の注目を浴びている若者もいる
まぁ、大抵がお世辞にも上手いとは言えないギタリストや、いらない雑貨を売る気持ちの悪い露店ばかりだが
「姉ちゃん、姉ちゃん。ちょっと見てってよ。この首飾り。台湾でしか手に入らない代物だよ」
「結構です・・・」
全然人目を引かない露店の親父に話しかけられるも、早足でその場を通り過ぎる
「あんまりこの時間に来たくなかったんだけど・・・しょうがない」
目当ての薬局を目指す
すると
(あれ・・・この香り)
どこかで嗅いだ事のある香り
オレンジに少し渋めの香をブレンドしたような香り
でも、どこか落ち着きを感じさせる香りだった
そして、聞こえてきた女子高生の黄色い声
「俊~v今日は、どんな絵があるの!?」
「あたしが頼んだ奴、描いてきてくれた!?」
「ああ。三丁目公園におる橙の小鳥やろ?ちゃんと描いてきたで」
「やったぁv俊のタッチであの小鳥の絵が手に入るなんて夢みたいだよぉーv」
「ねぇねぇ。俊~この前渡した手紙読んでくれたぁ?」
「ああ~・・・まぁ、お前がもっとえぇ女になったら考えてやってもえぇけどな」
「そうやっていつも誤魔化す~本当に彼女いないのぉ?」
「おらんおらん。未亡人や、未亡人」
答えているのは、若者の関西人のようだった
見ると、他の露店やミュージシャンを差し置いて、一つだけ女子高生に囲まれている見世物屋らしきものがある
「じゃあ、アドレスくらい教えてよ~メールしたいからぁ!!」
「あ~今、携帯止められてん。ここに来れば、相談料付で話聞いたるから」
「その内、大阪帰ったりしないでねぇ~ずっとここにいてよぉ!?」
「わーったわーった。お前ら、もう帰れや。テスト近い言うとったやないか」
「あーそうだった!!じゃあ、また来週も来るね!!」
「俊。バイバーイ!!」
女子高生が、きゃあと言いながら走っていく
「・・・・・・・・・・あ」
その人物の姿がやっと見えた
昨日、バイクで接触した変な奴
「・・・・・・・・・・・あ」
彼もこちらに気づいた
「何や~奇遇やなぁ。家、この辺なん?」
気軽に笑顔で話しかけてくる
「べっ別に・・・ちょっと買い物ついでに寄っただけ」
「ああ・・・その。怪我平気やった?」
「え・・・えぇ。別に大した事ないわよ!!」
「よかった~・・・慰謝料請求されたら、どないしょーかと思ったわ」
「あ・・・あんたねぇ!!」
溜息をつきながら売場を見下ろし、柳は目を見開いた
「すご・・・これ、全部あんたが描いたの?」
「まぁな。趣味やさかい」
「へぇ・・・見かけによらず珍しいわね」
頬杖をつきながらしゃがみこみ、それらを眺める
「お客さん・・・一枚1000円やで」
「ごめん。給料日前」
「買い物ついでに寄ったんやないんかぁ?」
「るっさいわね!!女には色々買いだめしなきゃいけないもんがあるのよ!!てーか、あんたバイク屋でバイトしてたんじゃなかったの?」
「昼間はな。昨日はたまたま残業やってん。それで店開けんかった。アフターファイブはいつもここやで」
「へぇ・・・全然気づかなかった」
「まぁ、今年のお盆明けに上京してきたばっかやからな」
「ふ~ん・・・」
それ以外には何も興味を示さない返事
「じゃあ、あたし買い物あるから!!」
「あーちょっと!!」
「・・・・・・何?」
彼は、懐から何かを取り出した
「あれ・・・それ・・・」
「昨日、接触した現場で拾ったて警察から今朝届け物されたんや。お前のやろ?」
それは、今まさに自分が買おうとしていた口紅だった
だけど、なぜか新品のように見える
「あたしのだけど・・・何かピカピカじゃない?」
「開けたら折れてたから・・・俺が買い換えたわ。昨日の詫びも兼ねて」
「え・・・いいのに。そんなわざわざ・・・」
受け取ると、なぜか鼓動が鳴る
「ありがとう・・・あたし、これ結構気に入ってて」
「えぇ香りやもんな。俺も好きや」
『好きや・・・お前の事が』
(え・・・?)
何かが聞こえた
それは、目の前の相手の声だったけれど
明らかに今、目の前の相手が発した言葉ではない
頭の中で聞こえてきたからだ
「どないしたん?」
「・・・・・・・・・・・・ねぇ。あんたが・・・あたしに会った事があるって・・・」
ズキッ
核心に迫ろうとすると痛む頭
「・・・・・・・・つっ!!!」
「おい・・・お前、昨日から何か変やで。大丈夫か?」
近寄ってくる彼に、身を竦める
「ごめん・・・ちょっと疲れてるのかもしれない。口紅ありがとう・・・・・・・・じゃあ、また」
近寄られると、泣きたくなった
だから、逃げた
「あ・・・おい・・・」
何なのよ・・・
一体何なの・・・・・・・・・・・・
あいつは誰・・・?
あたしは・・・・・・・・・誰?
次の日のお昼休みに、同僚が飛びついてきた
「なっ、何よ!?どうかしたの!?」
「柳さん・・・昨日バイクと接触したんですか!?」
「え・・・何でそれを・・・」
「今朝、警察の方から連絡があったんですよ。様子がおかしかったら、すぐに連絡くださいって」
「あ・・・そうなんだ。あたしも余所見してたから、悪いんだけどねぇ~何ともないわよ!!軽い打撲!!」
「よかった・・・ぶつかってきた人、怖い人じゃなかったんですか!?」
「まぁ、怖くはなかったけど、いかにも族でしたって頭はしてたかな」
「変な奴じゃなければ、よかったですね・・・」
『俺ら・・・・・・・・・・・・・・・・どこかで会ってへんか?』
まぁ、変っていっちゃあ変な奴だったわよね。
けど、そんな気がするあたしも変か・・・
昨日の彼の言葉がどこか気になってはいたのだが
「お疲れ様でした~」
今日も、定時あがりで社員が続々と帰っていく
「だから!!何度言ったら分かるんですか!!この文書は、私を通してから社長に渡してくださいよ!!」
「なっ・・・何カリカリしてんのよぉ」
チーフのデスクで、佐々木が大声をあげる
「柳さん。最近たるんでいませんか?昨夜はバイクにぶつかったみたいだし・・・もう少し気を引き締めてください」
「べっ・・・別に言われなくても」
「後、この書類今夜中に要約して、企画に回してください。お疲れ様でした」
佐々木は、言いたい放題喋るとそのまま帰って行った
「何なのよ・・・あいつは最近」
佐々木が急に自分に口うるさくなってきた原因が分からない
「ふぅ・・・あたしも帰ろう。家でやった方が集中するしね」
ポーチから鏡を取り出す
「あれ?」
いつものポーチの中にあるべきものが入っていない
「・・・あたし、口紅切らしたんだっけ?」
お気に入りの秋桜の香りがする口紅が見当たらない
「あれ・・・結構お気に入りだったのよね。商店街の薬局で帰りに買っていこう」
商店街は、駅の手前の大通りに面している
雑貨や化粧品が切れたら、ここで買うのが日課になっている
都心ほど盛んではないこの街の商店街には、アフターファイブを過ごす社会人や学生がちらほらいるだけだった
その中には、俗に言うストリートミュージシャンや露店を開き通り過ぎる人物の注目を浴びている若者もいる
まぁ、大抵がお世辞にも上手いとは言えないギタリストや、いらない雑貨を売る気持ちの悪い露店ばかりだが
「姉ちゃん、姉ちゃん。ちょっと見てってよ。この首飾り。台湾でしか手に入らない代物だよ」
「結構です・・・」
全然人目を引かない露店の親父に話しかけられるも、早足でその場を通り過ぎる
「あんまりこの時間に来たくなかったんだけど・・・しょうがない」
目当ての薬局を目指す
すると
(あれ・・・この香り)
どこかで嗅いだ事のある香り
オレンジに少し渋めの香をブレンドしたような香り
でも、どこか落ち着きを感じさせる香りだった
そして、聞こえてきた女子高生の黄色い声
「俊~v今日は、どんな絵があるの!?」
「あたしが頼んだ奴、描いてきてくれた!?」
「ああ。三丁目公園におる橙の小鳥やろ?ちゃんと描いてきたで」
「やったぁv俊のタッチであの小鳥の絵が手に入るなんて夢みたいだよぉーv」
「ねぇねぇ。俊~この前渡した手紙読んでくれたぁ?」
「ああ~・・・まぁ、お前がもっとえぇ女になったら考えてやってもえぇけどな」
「そうやっていつも誤魔化す~本当に彼女いないのぉ?」
「おらんおらん。未亡人や、未亡人」
答えているのは、若者の関西人のようだった
見ると、他の露店やミュージシャンを差し置いて、一つだけ女子高生に囲まれている見世物屋らしきものがある
「じゃあ、アドレスくらい教えてよ~メールしたいからぁ!!」
「あ~今、携帯止められてん。ここに来れば、相談料付で話聞いたるから」
「その内、大阪帰ったりしないでねぇ~ずっとここにいてよぉ!?」
「わーったわーった。お前ら、もう帰れや。テスト近い言うとったやないか」
「あーそうだった!!じゃあ、また来週も来るね!!」
「俊。バイバーイ!!」
女子高生が、きゃあと言いながら走っていく
「・・・・・・・・・・あ」
その人物の姿がやっと見えた
昨日、バイクで接触した変な奴
「・・・・・・・・・・・あ」
彼もこちらに気づいた
「何や~奇遇やなぁ。家、この辺なん?」
気軽に笑顔で話しかけてくる
「べっ別に・・・ちょっと買い物ついでに寄っただけ」
「ああ・・・その。怪我平気やった?」
「え・・・えぇ。別に大した事ないわよ!!」
「よかった~・・・慰謝料請求されたら、どないしょーかと思ったわ」
「あ・・・あんたねぇ!!」
溜息をつきながら売場を見下ろし、柳は目を見開いた
「すご・・・これ、全部あんたが描いたの?」
「まぁな。趣味やさかい」
「へぇ・・・見かけによらず珍しいわね」
頬杖をつきながらしゃがみこみ、それらを眺める
「お客さん・・・一枚1000円やで」
「ごめん。給料日前」
「買い物ついでに寄ったんやないんかぁ?」
「るっさいわね!!女には色々買いだめしなきゃいけないもんがあるのよ!!てーか、あんたバイク屋でバイトしてたんじゃなかったの?」
「昼間はな。昨日はたまたま残業やってん。それで店開けんかった。アフターファイブはいつもここやで」
「へぇ・・・全然気づかなかった」
「まぁ、今年のお盆明けに上京してきたばっかやからな」
「ふ~ん・・・」
それ以外には何も興味を示さない返事
「じゃあ、あたし買い物あるから!!」
「あーちょっと!!」
「・・・・・・何?」
彼は、懐から何かを取り出した
「あれ・・・それ・・・」
「昨日、接触した現場で拾ったて警察から今朝届け物されたんや。お前のやろ?」
それは、今まさに自分が買おうとしていた口紅だった
だけど、なぜか新品のように見える
「あたしのだけど・・・何かピカピカじゃない?」
「開けたら折れてたから・・・俺が買い換えたわ。昨日の詫びも兼ねて」
「え・・・いいのに。そんなわざわざ・・・」
受け取ると、なぜか鼓動が鳴る
「ありがとう・・・あたし、これ結構気に入ってて」
「えぇ香りやもんな。俺も好きや」
『好きや・・・お前の事が』
(え・・・?)
何かが聞こえた
それは、目の前の相手の声だったけれど
明らかに今、目の前の相手が発した言葉ではない
頭の中で聞こえてきたからだ
「どないしたん?」
「・・・・・・・・・・・・ねぇ。あんたが・・・あたしに会った事があるって・・・」
ズキッ
核心に迫ろうとすると痛む頭
「・・・・・・・・つっ!!!」
「おい・・・お前、昨日から何か変やで。大丈夫か?」
近寄ってくる彼に、身を竦める
「ごめん・・・ちょっと疲れてるのかもしれない。口紅ありがとう・・・・・・・・じゃあ、また」
近寄られると、泣きたくなった
だから、逃げた
「あ・・・おい・・・」
何なのよ・・・
一体何なの・・・・・・・・・・・・
あいつは誰・・・?
あたしは・・・・・・・・・誰?