太陽に咲く秋桜

朱雀召喚の準備が着々と進められている
後は、鬼宿を取り戻しに行くだけと決まったある日
「はあ・・・美朱を落ち込ませちゃったかしらねえ」
柳宿は、美朱に愛人人形を届けてきた帰りだった
しかし、愛人人形は美朱と鬼宿を祝福するどころか、二つに割れてしまった
「・・・・・・・・・・・気にしてないといいけど」
後宮が手前に見える
「・・・・・・・・・久々に顔出してみようかしら」
朱雀七星に入る時も、きちんと挨拶していなかったから
「ねぇねぇ・・・康琳さん。翼宿さんと仲がいいみたいね」
「まぁ・・・後宮にいた頃は、皇帝陛下一筋だったのに・・・どうしたんでしょうね?」
「実は、ああいうガサツな方が好みだったのよ。本人もガサツだったし・・・」
「元山賊の七星士でしたっけ?全く・・・乱暴な方と仲良くなるなんて、後宮の名が汚れますわね」
後宮に立ち寄った柳宿の耳に、そんな言葉が聞こえてきた
後宮の妃候補の女たちの悪い噂話
「朱雀七星って聞いても、大した事ないわね。ちゃんと巫女を護れるのかしら・・・」
スカーン
「は・・・白冥様・・・どうなさって!?」
「急に敷石が・・・」
柳宿は、その内の一人に敷石を力を加減して投げつけていた
「康琳・・・どうして・・・」
「あたしの事は悪く言っても、翼宿の事は悪く言わないで!!」
「は・・・?」
なぜか苛々する
「あいつは・・・見た目派手かもしれないけど、誰よりも優しくて熱い奴なの!!よく知りもしない癖に、そんな事言わないでよ!!」
「な・・・何よ・・・。随分落ちたものね。あなたも・・・」
「そんなんだから、いつまで経っても星宿様に選ばれないのよ!!自分達が魅力ない癖に、周りに当たるような真似ばかりして!!」
「なぁんですってぇ!!!!????」
挨拶に来ただけなのに、どうしてこんな事に?
それでも悔しかった
先の美朱の事でデリケートになっていたからなのかもしれない
「コラ」
その時、背後から小さくごつかれた
「・・・・・・・・翼宿」
振り向くと、翼宿の姿
「余計な喧嘩すんな。時間の無駄や」
「だって・・・こいつら・・・」
「行くで。星宿様がお呼びや」
柳宿は、急いで翼宿を追いかけた

「何で、怒らないのよ!?腹立たないの!?」
「阿呆相手にしてもしゃあないやろ」
廊下をすたすたと進む翼宿の後を追いかける
「・・・・・・・・・・・・・・だって、あんな酷い事・・・」
「言われ慣れとるわ。気にすんな。俺みたいなんが七星士で動揺してる奴らなんぞこの宮殿でたくさん見てるわ」
「・・・・・・・・・・・・・・・翼宿」
「けど・・・」
翼宿は、振り向いた
「ありがとな・・・嬉しかった」
優しくも力強い笑顔に、胸が高鳴った
美朱を傷つけてしまったこんな自分だけど
こいつを護りたい・・・・・・・・・・・・・・・・・そう思えた
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