太陽に咲く秋桜

柳宿の正体が男だと分かっても、あまり違和感はなかった
彼には女性でも男性でもないオーラが宿っていたから
そのせいか、翼宿は柳宿にだけはついなれなれしい態度を取ってしまう
柳宿はすぐムキになる・・・その仕草がいつの間にか可愛く思えてしまっていた
最後の七星士・張宿が見つかった夜の事
「柳宿~今から、ちょっとしたお祝いでもやろうと思うんだけど!!」
美朱が柳宿に声をかけた
「あー・・・ごめん!!今日、翼宿と約束あるんだ!!」
「えー?二人だけでお出かけ?」
「まあね・・・この近くに、あいつがよく通ってた居酒屋があるみたいで誘われちゃった」
「あー?もしかして、柳宿の事好きなんじゃないの!?」
「んな訳ないでしょー?あいつはあたしの好みじゃないもの!!ただ、好みのお酒が安く飲めるって聞いたから行くだけよ!!」
「明日も早いんだから~、あんまり酔いつぶれないでよ?」
「分かってるってーじゃあ、あたし行くねー!!翼宿が先に待ってるみたいだから!!」

「かんぱーいvvv」
「しっかし・・・最初から偉い盛り上がりっぷりやなあ」
「だって、後宮でもマトモに飲めなかったのよー?女護り通すの大変だったんだからねー」
「後宮ー???お前、後宮にいたんかぁ?」
「そうよ!!星宿様に愛を捧げる為にね!!」
「ぶっ!!」
翼宿はくっくっと笑う
「なっ、何よぉ~?何がおかしいの~?」
「お前・・・おまっ・・・星宿様の事を・・・?」
「そうよ!!悪い!?」
「だって、お前はおと・・・」
そこで言葉を止めた
居酒屋に来ていた近場の山賊の目は、皆柳宿に注がれていたからだ
こんな公衆の面前で柳宿が男だなんて叫んではいけない
「あんた・・・今、何か言おうとした?」
「何でもないです」
「しっかし、デリカシーないわよねぇ~まったくあんたは!!」
「大きなお世話や」
「そんなんじゃ、彼女出来ないわよー?」
「じゃっかあしい!!俺の事はどうでもえぇねん!!」
柳宿の事をもっと知りたかった筈なのに、いつもの駆け引きになってしまう

ある程度、酒を継ぎ足し二人ともうとうと気味になってきた
柳宿は机に顔を突っ伏して眠たそうである
「なるほどなあ・・・お前もそんな事がなあ」
翼宿は、今柳宿の過去を聞き終えた
「ま、昔の話だからね~あたしにはこういう生き方があたしらしいと思うし!!」
それでも強がる柳宿
「なぁ。柳宿?」
「何よぉ?」
「そんな毎日面倒ばっか見て、疲れんのかぁ?」
一番知りたかった疑問
今のまったりした雰囲気なら聞けそうな気がした
「何よ、いきなり~?疲れないわよ~みんな可愛くて仕方無いものv」
「あーあー。怖いわ~そういうの。いつか自分が潰れんねんな~」
「何よ、それ?」
「自分の弱みくらい見せれる相手一人でも作っとかんと~自分が潰れる事や!!」
柳宿は一瞬黙った
「別にあたしは~・・・」
「あぁ。お前には俺がおるから平気かv」
さりげなくかけた言葉
「何言ってんのよ!!あんたなんかに誰が相談するもんですかぁ!!」
柳宿は急に顔をあげて、翼宿に吐き捨てた
しかし、その表情には笑顔が満ちていた
「ほな、酒いただくで~俺の奢りやしなぁv」
「あー返しなさいよ!!弱い癖して!!」
だけど、二人はこの酒の席でお互いが心を許せる仲にまで近づけたと感じた
傍にいると感じる安心感を知ったのだ
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