太陽に咲く秋桜

『えええええええええええええええええ!?実家に返事を送った!?』
「何や知らんけど・・・体が勝手に」
『ちょっとちょっと~・・・今、大事な時期なのよ?そんな悠長にこっちでの世界の契約の更新する事ないでしょ?』
「それは分かってるんやけど・・・俊の夢だったんや。日本中回って写生するの」
『・・・・・・・・・・・翼宿』
「この機会を貰って、もし出品して優勝すれば、世界に行ける。世界中回って写生出来る。もっと大きな夢が叶うんや」
『それは分かるけどさ・・・じゃあ、あんたはあっちの世界で朱雀が永遠に召喚されなくてもいいって事?』
「そうは言うてへんけど・・・」
『どっちかを取らなきゃ、どっちかを失うんだからねっ!!もっと自覚しなさいよ!!』
そのまま、乱暴に切られた電話
翼宿だって、本音ではすぐにあの世界へ帰りたい筈だ
なのに、自分の中の俊がそれを拒絶しているのだ

「・・・・・・・・・・・とか何とか言って・・・あたしだって迷ってるじゃない」
柳は、携帯を放り出してベッドに寝転がると、グランプリの賞状を手に取った
「あんなに頑張って勝ち取った賞なのに・・・それすらもなくなる。柳の夢も・・・柳自身も」
心がもやもやする
「もうっ!!どうすりゃいいのよっ!!」
携帯を勢いあまって投げつける
「こらこら・・・この世界の精密機械を乱暴に扱ってはいかん」
途端に、太一君が出てきて携帯を掴む
「ひゃ・・・!?太一君・・・いきなり出てこないでよっ!!」
「人を化け物みたいに言うでない。二人とも決断を渋っているようだな」
「どうにかしてよ~・・・こっちでの立場の柳の事を考えると、とても簡単に決められっこないわよ」
「それもあるが・・・お前にとってはもう一つ大事な事があるだろう?」
「何?」
「俊との恋愛じゃよ」
その言葉にハッとなる
「今、おぬしらは交際関係にある事を忘れてはならぬ」
「・・・・・・・・・・・・・分かってるわよ。そんなの」
「だけどな。あちらの世界に戻れば、こちらで起こった出来事など全て忘れてしまうのじゃ」
「え・・・?」
「柳と俊が愛し合った記憶もな」
「そうなの・・・?」
「お主らにとって、何が一番大事か・・・それが、答えを出す一番の手がかりになるのかもしれん」
「何が一番大事・・・」
「お主は、翼宿が好きか?」
「え・・・?」
「"柳宿"は、"翼宿"が好きなのか、聞いておるのじゃ」
「そんな事・・・だって、あたしが好きなのは星宿様で・・・」
だけど、全く意識していなかった訳ではない
「・・・・・・・・・・・・・告白されたのよ」
「え?」
「鬼宿が帰ってきた日の夜、みんなで飲んでいた時に外で・・・酔った勢いだったんだろうから、本気か分からないけどね。だから、返事もしなかった。てーか、こいつがあたしに?みたいな気持ちだった。けど・・・」
「けど?」
「あたしにとってあいつは・・・性別を超えた絆で繋がってる大事な奴なの。それ以上もそれ以下もない・・・一言で表わせない存在」
「・・・・・・・そうか。無理して決める必要はないだろう。だが、あいつの気持ちも少しは考えてやった方がいいのかもな」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あんなデリカシーがなくて馬鹿な熱血男が相手で、お前も大変だろうが」
「そんなの・・・慣れっこよ」
選ばなくては・・・・・・・・・・・・自分の本当の使命。
そして、本当の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気持ち。
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