Making of the Moon【柳宿side】

ブロロロロ
「柳宿・・・大丈夫か?」
「うん・・・平気」
「帰りは17時頃だよな?その辺りにここで待ってるから」
「ごめんね・・・わざわざ」
「平気平気!!」
鬼宿は、自分を心配して毎日大学まで送り迎えをしてくれる事になった
実習が多い大学なので、長期休業中もお盆を除いて学校へ行かなければならなかったからだ

「柳宿!!」
薫が飛びついてきた
「薫・・・おはよう」
「ねぇねぇv今の、「空翔宿星」の鬼宿でしょ~?何で、あんた達一緒にいるのよ!?翼宿が好きなんじゃなかったの!?」
「ちょっと色々あってね・・・送ってもらってるの」
「色々って?あ~まさか、乗り換えた?」
「な訳ないでしょー!!」
誤解されても無理はないが

実習中も、どこかから視線を感じるようで怖かった
お昼になり、久々に天文と会う
「よう。最近顔色悪くねぇ?大丈夫か?」
「平気よ・・・。元気元気v」
「今・・・鬼宿に送ってもらってるんだって?」
「何で知ってるのよ!?」
「薫ちゃんから聞いた」
あのお喋り・・・と、柳宿は密かに思った
「何かあったのか?」
「何も・・・鬼宿にはたまたま送ってもらってるのよ!!」
かわし方が奇妙だったが、こうするしかなかった

「はぁ・・・」
ロッカーの前で溜息をつく
一日が終わり、外が薄暗くなる
怖い時間がやってくる
ロッカーで、鬼宿から連絡が来るまで待っているのだ
この時間は、とても長く感じてしまう
「翼宿・・・」
携帯を撫でながら呟いた
あれからずっと連絡がない
段々と嫌気が射す
(なぜ?どうして?翼宿は傍にいてくれないの?)
分かってはいるのに、問いかけたくなる
その時
Plllllllllllllllll
『着信 翼宿』
すぐさま電話に出る
「もしもし・・・?」
『もしもし・・・柳宿か?』
「翼宿・・・」
『連絡遅れてすまんな・・・。何かあったん?』
「たすき・・・」
『どないしたん?』
溢れる涙
「やばいの・・・あたし・・・・・・・・・・・・・・・・誰かにつけられてて・・・」
『何・・・言うとんねん。今、どこや?』
「大学・・・たまの迎え待ってるの」
『おい・・・平気なんか?』
「毎日嫌がらせの電話とメールよ・・・。ロッカーとかにも悪戯されてて・・・部屋にいても落ち着かなくて」
『あれからずっと・・・?・・・すまん。俺・・・全然気づかなくて』
「いいよ・・・。でも・・・翼宿・・・あたし、怖いよ」
『大丈夫。誰かと一緒におれば、襲われる事ないから・・・』

「会いたいよ・・・」

思わず出た本音
『・・・もう少し目処がついたら、俺もそっち帰ったるから。もう少し我慢せぇ』
「うん・・・ごめんね。心配かけて」
『大丈夫や。俺こそ・・・すまんな』
会いたいのは
護ってほしいのは
間違いなくあんただけなのに
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