Making of the Moon【柳宿side】

「兄貴!!タマ、いい加減返してよ!!」
ニャ~
「ああ。すっかり忘れてたよ」
「あたしが受験の間預かってて、ずっとそのまんまなんだもの~」
「予想以上に懐いてしまってね」
タマは、柳宿の頬に頭をすり寄せる
「柳宿・・・翼宿君からまだ連絡来ないのかい?」
「・・・まだね」
「そうか・・・そろそろ連絡よこしてもいい時期なのにな」
「平気よ・・・あたしはちょっとくらい待ったって」
パッパー
外から車のクラクションが聞こえる
「あ。兄貴!!今日、鬼宿達とドライブなんだv帰りは遅くなると思う!!」
「そうか。気をつけて行ってくるんだぞ」
ニャ~

ブロロロロロ
車は、海への道を走りだす
「いっやぁ~みんなで集まるの久々だなv」
「鬼宿が引っ越してから、全然会ってなかったもんねv」
夕城兄弟は二人ではしゃぐ
「相変わらずだね。二人とも」
柳宿も嬉しそうに笑う
「よぉ~し!!今夜は「白い虎」で夕食だな!!俺の奢りだ!!」
「やったぁvお兄ちゃんの奢りぃ!!」
もうすぐ夏
爽やかな風が吹き抜ける

海に着いた後、美朱と夕城プロは飲み物を買いに行った
「久々だなvこうやって話すの」
「そうだね」
「大学、どうだ?」
「中々男子の目をすり抜けるのが大変だけど・・・何とかやってる」
「時々、天文が様子見に行ってるんだろ?」
「そうだけど・・・あんまり迷惑かけたくないかな」
「それで・・・お前、翼宿とは連絡・・・」
静かに首を横に振る
「一度留守電に入れたけど、それっきり」
「まぁ・・・忙しいだけなのかもしれねぇけど」
「そうかな・・・」
「俺も今夜電話してみるかな!!」
「でも・・・」
「その時にさりげなく伝えてやるよ!!」
「うん・・・」

鬼宿が、ああ言ってくれてから、携帯ばかり気になってしまう
ニャ~?
部屋に戻ると、タマが待っていてくれた
「あんたがいるのにね・・・」
柳宿は静かにタマを抱っこした
タマが携帯をいじる
小指のリングが光る
(本当に・・・あの馬鹿・・・)
Pllllllllllllllllllll
着信音
相手は
「着信 翼宿」
心臓が止まりそうになった
静かに出る
「・・・・・もしもし・・・?」
『・・・柳宿か?』
懐かしい声
「翼宿・・・・・・・・・・・・・・・?」
『すまん。連絡遅れたな』
「え・・・。本当に翼宿・・・?」
『当たり前やろ』
涙が溢れ出す
「あんた・・・何でっ・・・」
『すまん。連絡入れとったん?携帯に何も入っとらんくて』
「・・・あんた・・・元気にしてるの・・・?」
『大丈夫。この通りや。柳宿は?』
「あたし・・・大学通ってるよ・・・。音楽の」
『ホンマか?色々大変やないんか?』
「何とか・・・これからも色々あるだろうけど・・・ね」
『・・・すまんな。見とってやりたいんやけど』
「そんな事・・・翼宿は?LAは、どう?」
『敵わんなぁ。英語通じんし、まるっきり冷たい街や。せやけど、頑張っとるで』
「よかった・・・。元気そうで・・・」
『中々電話出られんかもしれんけど・・・また、連絡しろや』
「うん・・・」
『ほな・・・』
「ありがとう」
電話を切ると、タマが首を傾げてきた
思いきり抱きしめる
「あんたのご主人さまから・・・・・・・・・・連絡が来たよっvvv」
ニャ~vvv
幸せいっぱいの気分だった
しかし、なぜ翼宿に連絡がつかなかったのか理由を知るのは、もっと先になる
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