Making of the Moon【柳宿side】

「柳宿!!ここで待ってるからね!!」
鳳綺と柳宿は、大学の試験会場前まで来ていた
「何だか・・・あっという間だったわね」
「大丈夫よ!!柳宿なら出来るってvいっぱい勉強したんでしょ?」
「うん・・・」
「あんたは、これから第二の人生を歩むんだから!!自信持たないと、プレッシャーに負けちゃうわよ?」
「はは・・・ありがと。鳳綺」
柳宿は、親友の熱いエールに胸を打たれ、試験会場へと歩を進めた

会場には、たくさんの受験生が集まっている
席を探していると
「あの・・・もしかして、「空翔宿星」の柳宿さんですか!?」
女子数名から声をかけられる
「あ・・・はい」
「きゃあっvここ受けるんですか!?あたし達も一緒ですv握手してくださいv」
「こら~!!試験前に騒ぐんじゃねえ!!」
途端に、女子の間を割って聞き覚えのある声
「よ」
「てっ・・・天文!?」
試験官の手伝いの見張りといった感じのスーツを着た男性
それは、「空翔宿星」の補佐ギターの天文だった
「久し振りv今日はがんばれよ!!」
「あんた・・・どうして?」
「夕城プロに頼まれたんだよ。一応芸能界引退したあの大スターの柳宿が報道陣やナンパに絡まれないように見張っておいてくれってさ」
「余計な事・・・」
「俺は嫌じゃねぇけど?それより、試験もうすぐだろ?がんばれよv」
「あ・・・そうだった!」
「席はあちらです」
「・・・ありがと」
数々の視線が集中する中、柳宿は自分の席についた
試験官が説明をする間、鼓動が鳴る
(大丈夫・・・あたしは出来るよ。絶対に・・・合格するんだから)
小指の指輪が光った
(翼宿・・・この試験が終わったら・・・きっと)
「はじめ!!」
一斉に試験用紙が表にめくられる

「お疲れ様~v」
「鳳綺~・・・」
「どうだった!?」
「まぁまぁ・・・かな。合格したら実技と面接の二次試験だけど・・・」
「何とかなるわよvだって、柳宿だもんv」
「お疲れ!」
途端に頭をごつかれた
見ると天文の姿
「天文・・・お疲れ様」
「眠かったわ~試験官も大変だな。いつだ?合格発表」
「一週間後・・・」
「ここで発表だよな?俺も行くからv」
「えぇ!?」
「そこまで見守るのが夕城プロ代理の役目だろ?」
「そんな~・・・一人で行かせてよ~」
「じゃ、お疲れ!!俺は勤務の報告をv」
そのまま逃げるように笑顔で天文は立ち去った
「ねね!!あの人って、「空翔宿星」でギターやってた人でしょ?」
「そうだよ~」
「かっこいいね!!やっぱ華の芸能界!!いいなぁ~イケメンばっかり知り合いで!!」
「鳳綺も目がないんだから~星先輩はどうしたのよ?」
「他のバンドで活動してから冴えなくなっちゃって・・・やっぱ翼宿先輩がいたから映えたのかなぁ」
その言葉にドキッとする
「・・・あんた、結果分かったら電話するつもりなんでしょ?」
「う・・・うん」
「ちゃんと伝えるのよ?」
「分かってるわよ!!」
柳宿はその場を打ち消すように答えた

「報告・・・かぁ」
柳宿は、家に帰り、ベッドに寝転がる
壁には空翔宿星のポスター
中央に大きく映る翼宿の姿
その姿を見つめるだけで、顔が赤くなる
「何・・・話せばいいのよ」

一週間後
「柳宿!!本当に一人で行くのか?」
「大丈夫よvまぁ・・・多少は周りの目が心配だけど・・・何とかする!!」
家を出る前に、呂候に声をかけられる
ピンクのマフラーを巻いた柳宿は、それに笑って答える
すると
「よぉ。おはよう。柳宿v」
天文が門の前に立っていた
「天文!!」
「お迎えにあがりやしたv」
車のキーを回しながら、悪戯っぽく笑う
「あ・・・兄貴。彼は「空翔宿星」の時代に補佐でうちのギターやってくれた天文。今日は・・・夕城プロに頼まれてあたしの付添・・・なのかな」
「初めまして。お兄さんv」
「ちょっと・・・お兄さんなんて!!」
「初めまして・・・。あ。妹をよろしくお願いします」
「かしこまりましたv」
さすがはミュージシャンといったところだろうか
翼宿とは違い、意気揚々としている

既に校門にはたくさんの人だかり
「あそこに・・・入っていく気か?」
「厳しい・・・」
「俺見てきてやるか?」
「いいよ!!あたしが行く!!すいてからでもいい!!」
「・・・お前さ・・・その」
「あ!!今がチャンスかも!!」
柳宿は一瞬の隙をついて、車から飛び降りた
「番号は?」
「61152・・・」
「61152だな!?えっと・・・」

61143
61146
61147
61150・・・

(神様・・・)


「61152」


「あった!!」
「あった!?」
「あった!!あたし一次試験通ったよ~v」
思わず天文と抱き合って喜んだ
「よかったなぁ!!柳宿!!」
思わず天文は、柳宿の名前を叫んでしまった
から、人だかりは一斉に悲鳴をあげた
「柳宿!!受かったの!?」
「私もだよ~v一緒に二次試験頑張ろうねv」
「俺も俺もv」
「はは・・・すまねぇ。柳宿・・・」
しかし、柳宿には笑顔が溢れていた

二次試験が終わったら・・・きっと
4/41ページ
スキ