Making of the Moon【柳宿side】
「百合ちゃん、上手くなったねvこれで、コンクールはばっちりだよv」
「柳宿。ありがとぉv柳宿のお陰だよv」
「明日は・・・先生も見に行くからねv頑張ってね!!」
「うん!!さよおならー!!」
今日も、一人の生徒の指導が終わる
今日の予定表を見て、柳宿はため息をつく
「・・・・・・・・・・・・・今日も、来てない・・・・・・・か」
出席欄が一人だけ空白の生徒がいる
「柿原蛍」
「蛍は、中々ピアノをやりたがらないの。本当は凄くピアノが好きだったんだけど、一年前のコンクールで落選してからずっと来てない」
「・・・・・・・・・・・・そうなんですか」
事務室で、加奈子から事情を聞いた柳宿
まだ見た事がない生徒だったが、柳宿はいつも気になっていた
「あたし・・・蛍ちゃんに交渉してきます。こんないいピアノ塾なのに・・・来ないのはもったいないって」
「やめた方がいいわよ・・・あの子、性格も暗くなっちゃったし・・・プライドが高いの」
「だけど、このまま放ってもおけませんし・・・」
加奈子は呆気に取られていたが、溜息をついた
「・・・・・・・泣きごと言わないのよ」
ピンポーン
日曜日、柳宿は蛍の家を訪ねてみた
『はい』
「あの・・・「むらさき」ピアノ塾の講師の柳宿といいます。蛍ちゃんは、いらっしゃいますか?」
しばらくすると、優しそうな感じの女性が家から出てきた
「あの・・・どうなさったんですか?」
「・・・・・・・・・・・実は、蛍ちゃんがずっとピアノ塾に来ていないものですから・・・」
「事情聞いてらっしゃらないんですか?先生から」
「聞いています。だからこそ、お話がしたくて」
「・・・・・・・・・・・・・・・それに、あなたは・・・」
「はい・・・以前芸能界に関わっていた者です。だけど、今はあそこの講師です。蛍ちゃんとお話を・・・」
母親は圧倒されたのか、門を開ける
「とりあえず・・・私とお話をしてください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・幸運なのか不運なのか・・・あなたは、娘の目標です」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「あなたがテレビでキーボードを弾いているのを見て、あの子はピアノを始めたんです」
「そうなんですか?」
「だからこそ、会わせてあげようか迷っています。「空翔宿星」が解散した頃とあの子がピアノをやめた時期が一緒なので」
「え・・・?」
「学校にもあまり馴染めなくて・・・あの子があの子らしくいられるのピアノを弾いている時だけだったんです。だけど、今のあの子には何もない。何も希望が見出せない」
「・・・・・・・・・・・・・」
「今の娘をかつての憧れだったあなたに会わせるのは・・・酷な気がして」
柳宿は思った・・・絶対に彼女を救いたい
ポーンポーン
一台のピアノの前に座って、鍵盤に指を置いた蛍
その表情は虚ろで
弾きたい気持ちはある筈なのに、勇気が出せない
いつかなりたかったのあの人に近づく勇気が出ない
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当は弾きたいんだね」
蛍は、ばっと入口を見た
柳宿は微笑んだ
「初めまして」
「柳宿。ありがとぉv柳宿のお陰だよv」
「明日は・・・先生も見に行くからねv頑張ってね!!」
「うん!!さよおならー!!」
今日も、一人の生徒の指導が終わる
今日の予定表を見て、柳宿はため息をつく
「・・・・・・・・・・・・・今日も、来てない・・・・・・・か」
出席欄が一人だけ空白の生徒がいる
「柿原蛍」
「蛍は、中々ピアノをやりたがらないの。本当は凄くピアノが好きだったんだけど、一年前のコンクールで落選してからずっと来てない」
「・・・・・・・・・・・・そうなんですか」
事務室で、加奈子から事情を聞いた柳宿
まだ見た事がない生徒だったが、柳宿はいつも気になっていた
「あたし・・・蛍ちゃんに交渉してきます。こんないいピアノ塾なのに・・・来ないのはもったいないって」
「やめた方がいいわよ・・・あの子、性格も暗くなっちゃったし・・・プライドが高いの」
「だけど、このまま放ってもおけませんし・・・」
加奈子は呆気に取られていたが、溜息をついた
「・・・・・・・泣きごと言わないのよ」
ピンポーン
日曜日、柳宿は蛍の家を訪ねてみた
『はい』
「あの・・・「むらさき」ピアノ塾の講師の柳宿といいます。蛍ちゃんは、いらっしゃいますか?」
しばらくすると、優しそうな感じの女性が家から出てきた
「あの・・・どうなさったんですか?」
「・・・・・・・・・・・実は、蛍ちゃんがずっとピアノ塾に来ていないものですから・・・」
「事情聞いてらっしゃらないんですか?先生から」
「聞いています。だからこそ、お話がしたくて」
「・・・・・・・・・・・・・・・それに、あなたは・・・」
「はい・・・以前芸能界に関わっていた者です。だけど、今はあそこの講師です。蛍ちゃんとお話を・・・」
母親は圧倒されたのか、門を開ける
「とりあえず・・・私とお話をしてください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・幸運なのか不運なのか・・・あなたは、娘の目標です」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「あなたがテレビでキーボードを弾いているのを見て、あの子はピアノを始めたんです」
「そうなんですか?」
「だからこそ、会わせてあげようか迷っています。「空翔宿星」が解散した頃とあの子がピアノをやめた時期が一緒なので」
「え・・・?」
「学校にもあまり馴染めなくて・・・あの子があの子らしくいられるのピアノを弾いている時だけだったんです。だけど、今のあの子には何もない。何も希望が見出せない」
「・・・・・・・・・・・・・」
「今の娘をかつての憧れだったあなたに会わせるのは・・・酷な気がして」
柳宿は思った・・・絶対に彼女を救いたい
ポーンポーン
一台のピアノの前に座って、鍵盤に指を置いた蛍
その表情は虚ろで
弾きたい気持ちはある筈なのに、勇気が出せない
いつかなりたかったのあの人に近づく勇気が出ない
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・本当は弾きたいんだね」
蛍は、ばっと入口を見た
柳宿は微笑んだ
「初めまして」