Making of the Moon【柳宿side】

「今日は・・・ありがとう。もう平気だから」
結局、家の裏口まで送ってもらった柳宿
「いや。何かあったらいつでも相談しろよ。柳宿・・・」
「平気だよ。あたしは・・・大丈夫」
目を真っ赤にして、柳宿はこう告げる
「柳宿・・・」
「え?」
「俺さ・・・・・・・・・ごめん。俺・・・」
天文は急に口をつぐむ
「どうしたの?天文」
覗き込む柳宿の顔を見て、天文は思わず柳宿を抱きしめた
「俺・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん。まだ、お前の事・・・諦め切れてないんだ」
「天文・・・」
「諦めてたつもりなんだ。だけど、翼宿と離れてからお前・・・無理してる気がしてずっと気になってたんだ・・・それで、今回こんな事になっちまって・・・俺、お前の事放っとけねえよ」
「でも・・・」
「ゆっくりでいいんだ。お前、今のままだと潰れちまうよ。俺なら・・・俺ならずっとお前の傍に・・・」
そこまで言って、天文は離れた
呂候が見ていたから
「兄貴・・・!!今、帰ったの・・・?」
「送っていただき、ありがとうございます」
呂候は作り笑いをして、近寄る
「今日は遅いでしょう。おやすみなさい」
呂候は無理矢理柳宿を家の中に連れ込むと、扉を閉めた

「兄貴・・・あの・・・」
「柳宿。いくら家の裏口といえど、あんな遅くまで家の外にいて、また誰かに写真を撮られたらどうするんだい?」
「・・・ごめんなさい」
呂候は聞いていたに違いない
しかし、頭を撫でてくれる
「おやすみ」
そのまま、彼は部屋へ入っていこうとした
「兄貴!!」
そこで、呂候は振り返る
「あたし・・・・・・・・・・・・・・・・・どうしたらいいか・・・」
呂候は微笑む
「迷ったら、僕に相談しなさい。だけど、最後に決めるのは君だよ、柳宿」
最後に決めるのは自分・・・

徹夜で考える
(あたしは・・・・・・・・・・・・どっちが)

『話がある』
次の日、柳宿は翼宿にメールをする
Plllll
かかってくる電話
『もしもし?』
「もしもし」
『ごめんね・・・いきなりメール・・・』
「いや。こっちも、ちと体調崩してて・・・」
『平気?倒れたんだって?』
「一日で治ったから、平気やて」
『あたしのせいだよね・・・』
「いや。そんな事は・・・」
『あたし、重いでしょ?いつまでもいい人ぶらなくていいよ』
言いたくなかったけれど
「柳宿?」
『あんたには・・・今やるべき事があるもんね。今いるべき人もいるし。部外者だもんね、あたしは・・・』
「どないしたんや?柳宿・・・」

『距離置こう・・・・・・・・・・・・・あたし達』

あんたの為なんだ
あたしの決断は・・・年の終わりを知らせる雪の中へ埋もれて消えた
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