Making of the Moon【翼宿side】
♪♪♪
真夜中に聞こえるベース音
玲は、そっと稽古場を覗いた
そこには、左手で何とか弦を押さえようと頑張っている翼宿の姿
「・・・・・・・・・・・・っ!!!!」
ガタガタッ
「翼宿さ・・・」
声をかけようとしたが、玲は言葉を止める
「・・・・・・・・くそっ」
あんなに苦戦している翼宿を見るのは初めてだからだ
彼は、ベースの事に関しては苦労知らずだと思っていたのに
彼は、今闘っているんだ
絶対に声をかけてはいけない
玲は、その場を離れた
「翼宿ぃ!!!」
朝になって、稽古場に一番最初に飛び込んできたのは翼だった
居眠りしていた翼宿は、眠たい眼を開けた
「翼・・・」
「俺、来週のライブに引き抜かれたんやぁ!!」
「ホンマか?」
「この養成所の全世代の生徒から各パート4人選ばれたんやでv」
「よかったやないか!!」
「あれ・・・翼宿。もしかして練習・・・」
「今日は好きなもん奢ってやる!!何でも頼めや!!」
「あ・・・ああ」
翼は、翼宿の笑顔に言葉を飲み込んだ
コンコン
『誰だね?』
『魄狼です』
『入りなさい』
Poleの部屋の扉が叩かれ、魄狼が入ってきた
『どうした?魄狼』
『実は・・・Poleさんにお願いがあるんです』
Poleは、首を傾げた
ある程度、部屋で仮眠を取った翼宿は一服に休憩室に入った
すると
ドカッ
バキッ
凄まじい音が聞こえた
隣の休憩室からだった
翼宿は、すぐさまそこに入った
そこには、米原が怒り狂って灰皿や椅子を投げ飛ばしている姿があった
「おい!!!」
翼宿が声をかけても、彼はやめようとしない
「おい!!!!何しとるんや!!」
「んだよ!!!!邪魔すんじゃねえよ!!!」
「落ち着け!!」
「イライラしてるんだよ!!おさまらねえんだよ!!!」
バキッ
翼宿は、米原を一発殴って止めた
「ってえなあ!!!何すんだよ!!!」
「てめえの怒りをいちいち他人や物に当てるんやない!!!ここはお前だけの稽古場やないんやぞ!!!」
凄い形相で怒鳴る翼宿に、米原は押し黙った
「・・・・・・・・・・・・・んだよ・・・説教かよ・・・おめえは・・・反面教師にでもなったつもりか!?そうやって、下手な俺らを見下して楽しんでるんだろ!!」
「・・・・・・・・・・・んな訳ない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前らが・・・・・・・・・羨ましい」
「・・・・・・・・・は?」
悔しそうな顔
「どんなに上手いと褒められようが下手だと罵られようが・・・指が動かなくなったらおしまいや」
「翼宿・・・」
米原は、翼宿の包帯の巻かれた左手を見て反抗する気を失った
「・・・何でだよ」
「・・・ん?」
「何でそこまで他人の為に頑張れるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「何でお前が馬鹿みたいに餓鬼にベース教えたり、餓鬼の世話で怪我したりしなきゃいけねえんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「アーティストなら、もっと格好つけろよ。もっと他人の事無視しろよ」
「そんな事する為に、ここに残ったんやない」
「・・・・・・・・・・・・」
「たくさんの出会いを・・・俺は大切にしたいんや」
今まで自分を支えてくれた人たちとの出会いは、どれも忘れられない
「・・・綺麗事ばっか吐きやがって」
「お前みたいに路頭に迷った事、俺だってあるで」
「え?」
「やけど、そこで物にあたったり投げ出したりしたら、負けや。このまま落ちる一方やで」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ホンマに音楽が好きなら、ここからが本番や」
「翼宿・・・」
「可能性なんて、測れるもんやない。音楽が好きでここまで来たんやろ?もっと本気でぶつかれ」
USAには、常に己との戦いがある
逃げないで
真夜中に聞こえるベース音
玲は、そっと稽古場を覗いた
そこには、左手で何とか弦を押さえようと頑張っている翼宿の姿
「・・・・・・・・・・・・っ!!!!」
ガタガタッ
「翼宿さ・・・」
声をかけようとしたが、玲は言葉を止める
「・・・・・・・・くそっ」
あんなに苦戦している翼宿を見るのは初めてだからだ
彼は、ベースの事に関しては苦労知らずだと思っていたのに
彼は、今闘っているんだ
絶対に声をかけてはいけない
玲は、その場を離れた
「翼宿ぃ!!!」
朝になって、稽古場に一番最初に飛び込んできたのは翼だった
居眠りしていた翼宿は、眠たい眼を開けた
「翼・・・」
「俺、来週のライブに引き抜かれたんやぁ!!」
「ホンマか?」
「この養成所の全世代の生徒から各パート4人選ばれたんやでv」
「よかったやないか!!」
「あれ・・・翼宿。もしかして練習・・・」
「今日は好きなもん奢ってやる!!何でも頼めや!!」
「あ・・・ああ」
翼は、翼宿の笑顔に言葉を飲み込んだ
コンコン
『誰だね?』
『魄狼です』
『入りなさい』
Poleの部屋の扉が叩かれ、魄狼が入ってきた
『どうした?魄狼』
『実は・・・Poleさんにお願いがあるんです』
Poleは、首を傾げた
ある程度、部屋で仮眠を取った翼宿は一服に休憩室に入った
すると
ドカッ
バキッ
凄まじい音が聞こえた
隣の休憩室からだった
翼宿は、すぐさまそこに入った
そこには、米原が怒り狂って灰皿や椅子を投げ飛ばしている姿があった
「おい!!!」
翼宿が声をかけても、彼はやめようとしない
「おい!!!!何しとるんや!!」
「んだよ!!!!邪魔すんじゃねえよ!!!」
「落ち着け!!」
「イライラしてるんだよ!!おさまらねえんだよ!!!」
バキッ
翼宿は、米原を一発殴って止めた
「ってえなあ!!!何すんだよ!!!」
「てめえの怒りをいちいち他人や物に当てるんやない!!!ここはお前だけの稽古場やないんやぞ!!!」
凄い形相で怒鳴る翼宿に、米原は押し黙った
「・・・・・・・・・・・・・んだよ・・・説教かよ・・・おめえは・・・反面教師にでもなったつもりか!?そうやって、下手な俺らを見下して楽しんでるんだろ!!」
「・・・・・・・・・・・んな訳ない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前らが・・・・・・・・・羨ましい」
「・・・・・・・・・は?」
悔しそうな顔
「どんなに上手いと褒められようが下手だと罵られようが・・・指が動かなくなったらおしまいや」
「翼宿・・・」
米原は、翼宿の包帯の巻かれた左手を見て反抗する気を失った
「・・・何でだよ」
「・・・ん?」
「何でそこまで他人の為に頑張れるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「何でお前が馬鹿みたいに餓鬼にベース教えたり、餓鬼の世話で怪我したりしなきゃいけねえんだよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「アーティストなら、もっと格好つけろよ。もっと他人の事無視しろよ」
「そんな事する為に、ここに残ったんやない」
「・・・・・・・・・・・・」
「たくさんの出会いを・・・俺は大切にしたいんや」
今まで自分を支えてくれた人たちとの出会いは、どれも忘れられない
「・・・綺麗事ばっか吐きやがって」
「お前みたいに路頭に迷った事、俺だってあるで」
「え?」
「やけど、そこで物にあたったり投げ出したりしたら、負けや。このまま落ちる一方やで」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ホンマに音楽が好きなら、ここからが本番や」
「翼宿・・・」
「可能性なんて、測れるもんやない。音楽が好きでここまで来たんやろ?もっと本気でぶつかれ」
USAには、常に己との戦いがある
逃げないで