Making of the Moon【翼宿side】
♪♪♪
ロスに来る前に、母親に買って貰った赤いベースの弦を、そっと指で弾く翼
(俺は・・・・・・・・・・・・結局何がしたかったんやろ・・・)
翼宿に叱られて、一晩考えてみた
自分がここにいる理由。本当に母親の為だけだろうか?
ベースが好きなのも、翼宿に憧れたのも嘘ではない
だけど・・・予想以上の現実の厳しさを、母親のせいにしているだけではないのか
それは、逆に最低の親不孝者だと実感した
「・・・・・・・・・っあああ!!もう!!」
Plllllllllllll
「どわぁっ!!!」
途端に、自分が持っていた携帯が鳴った
着信は、病院からだった
Plllllllllll
もう一人、電話をかけている者がいた
翼宿・・・たまには、自分から彼女に連絡してやろうと思ったのだ
カチャ
「もしもし?柳宿か?」
『翼宿・・・?』
「今、平気か?」
『どうして・・・?』
「たまには、俺からかけても罰あたらんやろ」
『・・・・・・・・・・・』
「嫌やったか?」
『そんな事ない・・・信じられない』
しかし、声のトーンですぐに翼宿は、柳宿の異変に気づいた
「泣いてる?」
『・・・・・・な訳ないじゃん!!ちょっとびっくりして・・・』
「嘘つくな。今、泣いてたやろ?」
『・・・・・・・・何でも分かっちゃうんだね。翼宿は・・・』
「俺を誰や思うてるんや。誤魔化しても、すぐに分かるんや」
『そ・・・・・・か・・・・』
「何かあった?」
『・・・・・・・・・・・・・あたし、クビになるかもしんないんだよね』
「・・・・・・・・え?」
『生徒に・・・あたしに虐待されたって嘘つかれて・・・塾にいられない状態』
「お前・・・」
『芸能界引退した人は、所詮下の世界で頑張ってる奴らの事を見下してるって』
「・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・・やっぱり駄目なのかな。あたしには無理なのかな』
「・・・・・・・・・・・柳宿」
『あたしの事、誰も信じてくれない』
「誰かに相談したんか?」
『出来ないわよ・・・また、何か誤解されたら困るし』
「・・・・・・・せやけど、頼る事は悪い事はないんやで」
『・・・・・・・・・・・』
「そうやって、俺にも隠すつもりやったんやろ?」
『・・・・・・・だって』
「気遣うな。これからは、週一で電話する。今まで放置してたお詫びやさかい」
『・・・・・・・・・・・・・たすき・・・あたし、辛いよ・・・』
「俺だけは・・・・・・・・お前の事信じてる」
『たすき・・・』
「俺が、絶対にお前を護るから。負けるな」
『ありがとう・・・』
「また、連絡する。経過教えろよ。後、たまに相談せぇ」
『うん・・・』
翼宿が静かに電話を切ると、人影が横切った
凄い勢いで息を切らして
「翼!?」
「翼宿・・・」
「どないしたんや?」
「母ちゃんの容態悪化したて・・・」
少年の頬は、涙でぐちゃぐちゃだった
ロスに来る前に、母親に買って貰った赤いベースの弦を、そっと指で弾く翼
(俺は・・・・・・・・・・・・結局何がしたかったんやろ・・・)
翼宿に叱られて、一晩考えてみた
自分がここにいる理由。本当に母親の為だけだろうか?
ベースが好きなのも、翼宿に憧れたのも嘘ではない
だけど・・・予想以上の現実の厳しさを、母親のせいにしているだけではないのか
それは、逆に最低の親不孝者だと実感した
「・・・・・・・・・っあああ!!もう!!」
Plllllllllllll
「どわぁっ!!!」
途端に、自分が持っていた携帯が鳴った
着信は、病院からだった
Plllllllllll
もう一人、電話をかけている者がいた
翼宿・・・たまには、自分から彼女に連絡してやろうと思ったのだ
カチャ
「もしもし?柳宿か?」
『翼宿・・・?』
「今、平気か?」
『どうして・・・?』
「たまには、俺からかけても罰あたらんやろ」
『・・・・・・・・・・・』
「嫌やったか?」
『そんな事ない・・・信じられない』
しかし、声のトーンですぐに翼宿は、柳宿の異変に気づいた
「泣いてる?」
『・・・・・・な訳ないじゃん!!ちょっとびっくりして・・・』
「嘘つくな。今、泣いてたやろ?」
『・・・・・・・・何でも分かっちゃうんだね。翼宿は・・・』
「俺を誰や思うてるんや。誤魔化しても、すぐに分かるんや」
『そ・・・・・・か・・・・』
「何かあった?」
『・・・・・・・・・・・・・あたし、クビになるかもしんないんだよね』
「・・・・・・・・え?」
『生徒に・・・あたしに虐待されたって嘘つかれて・・・塾にいられない状態』
「お前・・・」
『芸能界引退した人は、所詮下の世界で頑張ってる奴らの事を見下してるって』
「・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・・やっぱり駄目なのかな。あたしには無理なのかな』
「・・・・・・・・・・・柳宿」
『あたしの事、誰も信じてくれない』
「誰かに相談したんか?」
『出来ないわよ・・・また、何か誤解されたら困るし』
「・・・・・・・せやけど、頼る事は悪い事はないんやで」
『・・・・・・・・・・・』
「そうやって、俺にも隠すつもりやったんやろ?」
『・・・・・・・だって』
「気遣うな。これからは、週一で電話する。今まで放置してたお詫びやさかい」
『・・・・・・・・・・・・・たすき・・・あたし、辛いよ・・・』
「俺だけは・・・・・・・・お前の事信じてる」
『たすき・・・』
「俺が、絶対にお前を護るから。負けるな」
『ありがとう・・・』
「また、連絡する。経過教えろよ。後、たまに相談せぇ」
『うん・・・』
翼宿が静かに電話を切ると、人影が横切った
凄い勢いで息を切らして
「翼!?」
「翼宿・・・」
「どないしたんや?」
「母ちゃんの容態悪化したて・・・」
少年の頬は、涙でぐちゃぐちゃだった
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