Making of the Moon【翼宿side】
「たぁーーーーーーーーーーっ!!食った食ったーーーvvv」
とあるレストランで、ご飯をたらふく食べた翼
「てめえは・・・・・・・・遠慮せずにガツガツと・・・」
翼宿は、翼の前に積み上げられた食器を前に拳を震わせた
「いやぁーーーーーv悪いなぁ、翼宿v俺の為にこんなにおごってもろてvv」
「ドアホ。調子に乗るな」
翼宿は、煙草に火をつける
「・・・・・・・・・・だけど、何で俺を・・・」
「全部事情は聞かせてもろたで」
「え・・・」
翼は、喉を鳴らした
「母ちゃんの為に食料を届けに行きながら・・・稽古してたんやろ?」
「あ・・・・・・・・・」
「ほんで、母ちゃんが退院したら、一緒に日本に戻るんやろ?」
「翼宿っ!!頼む!!誰にも言わんでくれや!!俺があそこにいる理由!!」
翼は、机に身を乗り出して懇願した
「・・・・・・・・・・・・何で?」
「俺・・・・・・・・・・・あそこで本気で頑張ってる奴らに、これ以上ナメられたくないんや」
「・・・・・・・・・・・・・」
「音楽に人生かけてる奴らに・・・下に見られとうないんや。俺は・・・俺は、あそこで母ちゃんの帰りを待ってるあいつらとは身分違いの性分やから・・・・・・・」
「甘ったれんな」
「え・・・・・・・・・・・・」
「んな甘い考えで音楽やるなら、とっととやめぇや」
「翼宿・・・」
「お前、男やろ。自分の夢くらい自分で責任持てや」
「・・・・・・・・・・・・・」
「どうせ、日本におるんが嫌で大金はたいて、母ちゃんにくっついてきたんやろ」
「んなっ・・・」
翼宿は、財布を手に取った
「先帰れ。勘定しとく」
翼は、さっき食べた物など全部消化してしまったかのように、その場に呆然としていた
翼宿が帰る・・・
そんな事、考えてもいなかった
翼宿は、ずっと自分の傍にいてくれる
いつの間にか自分にうぬぼれていた
「どうしよう・・・」
玲は、ロビーの椅子でそんな事を考え込んでいた
すると、小さな人影が見えた
「・・・・・・・・・・・・・・・・あれは」
それは、べそをかいてロビーに入ってくる翼の姿だった
「翼君!!」
玲は、声をかけた
「どうしたの?まさか、翼宿さんと一緒だった?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「どうして、泣いてるの?」
「翼宿・・・・・・・・・・・・ひどいんや・・・・・・・・・・・・・」
玲は、言葉を失った
翼宿は、その数時間後に部屋に戻ってきた
そして、一枚のパスケースを引出しから取り出す
(杏・・・)
馬鹿みたいに夢ばかり追っていた彼女の姿
今でもはっきりと覚えている
(俺も、人の事言える性分じゃないよな)
カタン・・・
物音がして、振り向いた
「玲さん・・・」
「すみません。こんな遅くに」
「いえ・・・どうしたんですか?」
「翼君から・・・話を聞きました」
「・・・・・・・・・・・・そうですか」
「どうして、あなたの口からそんな言葉が・・・って思いました。何か考えがあったんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あんなに、あなたに憧れてたんですよ。翼君は。あなたはそんな思いを踏みにじる人ではない・・・」
「あいつ・・・・・・・・・・・昔の俺に似てるんですわ」
「え・・・?」
「周りに流されて、見下されるのが嫌で・・・・・・・・・辛い状況になるとすぐに周りのせいにするん・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あいつは、俺と違って・・・・・・悪気があってそういう考え方しとるんやないって分かってるんです。そやけど、俺は・・・・・・・・・・・・本気でぶつかってほしいんです。音楽の世界は・・・・・・自分が作るもんやから」
それは、自分だけの世界
「だから・・・・・・・・わざと突き放したんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・根性あるなら、あいつはすぐにぶつかってきます」
「というか・・・・・・・そう思ったから、突き放したんですよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「見込みが・・・・・・・・・・あったから」
「何かすみません・・・玲さんまで巻き込んでしまって」
振り向きかけた翼宿に、玲は抱きついた
「行かないで・・・・・・・・・・・・・・・・翼宿さん」
玲の中で葛藤していたもう一つの思い
そして、今さっき翼宿に向けた行動も、限りない彼の優しさであると分かった今
やはり、この人を手放したくはない
翼宿は、そっと玲の手に触れた
そして、玲の両手をそっと握ると向き直った
「・・・・・・・・・・・・・・・・今日は寝ます。おやすみなさい」
「翼宿さん・・・」
玲は、その寂しそうな笑顔にもう何も言い返せなかった
とあるレストランで、ご飯をたらふく食べた翼
「てめえは・・・・・・・・遠慮せずにガツガツと・・・」
翼宿は、翼の前に積み上げられた食器を前に拳を震わせた
「いやぁーーーーーv悪いなぁ、翼宿v俺の為にこんなにおごってもろてvv」
「ドアホ。調子に乗るな」
翼宿は、煙草に火をつける
「・・・・・・・・・・だけど、何で俺を・・・」
「全部事情は聞かせてもろたで」
「え・・・」
翼は、喉を鳴らした
「母ちゃんの為に食料を届けに行きながら・・・稽古してたんやろ?」
「あ・・・・・・・・・」
「ほんで、母ちゃんが退院したら、一緒に日本に戻るんやろ?」
「翼宿っ!!頼む!!誰にも言わんでくれや!!俺があそこにいる理由!!」
翼は、机に身を乗り出して懇願した
「・・・・・・・・・・・・何で?」
「俺・・・・・・・・・・・あそこで本気で頑張ってる奴らに、これ以上ナメられたくないんや」
「・・・・・・・・・・・・・」
「音楽に人生かけてる奴らに・・・下に見られとうないんや。俺は・・・俺は、あそこで母ちゃんの帰りを待ってるあいつらとは身分違いの性分やから・・・・・・・」
「甘ったれんな」
「え・・・・・・・・・・・・」
「んな甘い考えで音楽やるなら、とっととやめぇや」
「翼宿・・・」
「お前、男やろ。自分の夢くらい自分で責任持てや」
「・・・・・・・・・・・・・」
「どうせ、日本におるんが嫌で大金はたいて、母ちゃんにくっついてきたんやろ」
「んなっ・・・」
翼宿は、財布を手に取った
「先帰れ。勘定しとく」
翼は、さっき食べた物など全部消化してしまったかのように、その場に呆然としていた
翼宿が帰る・・・
そんな事、考えてもいなかった
翼宿は、ずっと自分の傍にいてくれる
いつの間にか自分にうぬぼれていた
「どうしよう・・・」
玲は、ロビーの椅子でそんな事を考え込んでいた
すると、小さな人影が見えた
「・・・・・・・・・・・・・・・・あれは」
それは、べそをかいてロビーに入ってくる翼の姿だった
「翼君!!」
玲は、声をかけた
「どうしたの?まさか、翼宿さんと一緒だった?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「どうして、泣いてるの?」
「翼宿・・・・・・・・・・・・ひどいんや・・・・・・・・・・・・・」
玲は、言葉を失った
翼宿は、その数時間後に部屋に戻ってきた
そして、一枚のパスケースを引出しから取り出す
(杏・・・)
馬鹿みたいに夢ばかり追っていた彼女の姿
今でもはっきりと覚えている
(俺も、人の事言える性分じゃないよな)
カタン・・・
物音がして、振り向いた
「玲さん・・・」
「すみません。こんな遅くに」
「いえ・・・どうしたんですか?」
「翼君から・・・話を聞きました」
「・・・・・・・・・・・・そうですか」
「どうして、あなたの口からそんな言葉が・・・って思いました。何か考えがあったんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あんなに、あなたに憧れてたんですよ。翼君は。あなたはそんな思いを踏みにじる人ではない・・・」
「あいつ・・・・・・・・・・・昔の俺に似てるんですわ」
「え・・・?」
「周りに流されて、見下されるのが嫌で・・・・・・・・・辛い状況になるとすぐに周りのせいにするん・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あいつは、俺と違って・・・・・・悪気があってそういう考え方しとるんやないって分かってるんです。そやけど、俺は・・・・・・・・・・・・本気でぶつかってほしいんです。音楽の世界は・・・・・・自分が作るもんやから」
それは、自分だけの世界
「だから・・・・・・・・わざと突き放したんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・根性あるなら、あいつはすぐにぶつかってきます」
「というか・・・・・・・そう思ったから、突き放したんですよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「見込みが・・・・・・・・・・あったから」
「何かすみません・・・玲さんまで巻き込んでしまって」
振り向きかけた翼宿に、玲は抱きついた
「行かないで・・・・・・・・・・・・・・・・翼宿さん」
玲の中で葛藤していたもう一つの思い
そして、今さっき翼宿に向けた行動も、限りない彼の優しさであると分かった今
やはり、この人を手放したくはない
翼宿は、そっと玲の手に触れた
そして、玲の両手をそっと握ると向き直った
「・・・・・・・・・・・・・・・・今日は寝ます。おやすみなさい」
「翼宿さん・・・」
玲は、その寂しそうな笑顔にもう何も言い返せなかった