Making of the Moon【翼宿side】
「翼宿!!」
「魄狼はん!!お久しぶりです」
「まさか帰ってきてくれるなんて思わなかったよー!!」
「まぁ・・・あそこにいる理由はもうなくなったんで」
翼宿は、すっきりした表情で笑う
「新曲もいい感じだし、これからもこの調子で頑張れよ!!」
「ありがとうございます」
「翼宿さ~ん。Poleさんがお呼びです」
「はい。今、行きます」
玲と入れ違いに、翼宿はその場を離れた
「よかったんですか?もう少し二人きりでいたかったんじゃないんですか?」
「いいえ・・・もう十分です。ここは、以前と違って翼宿さんに優しい環境が揃ってますから」
「・・・・・・・・・・・・・そうですか」
「何ですか?」
「いいんですか?気持ち、伝えなくて」
「え・・・」
「きちんともう一度、伝えたらどうですか?」
確かに、今までの自分は流れや勢いで彼に迫っていた
けれど、今、翼宿とたくさんの事態を乗り越えて、玲もだいぶ変わった
今の自分をぶつけてみたい・・・
「だけど・・・・・・・・・・・・・今は、まだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・玲さんに、教えておかなきゃいけない事あるんですけど・・・」
「何ですか・・・?」
「あいつ・・・・・・・・・・今年いっぱいで、ここと契約打ち切るみたいなんですよ」
「・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
「つまり、日本に帰るって事です」
「・・・・・・・・・・そんな・・・どうして・・・」
「この前、PoleさんとMICHEALが話していたのを偶然聞いてしまったんです。理由は・・・分かりません」
玲の頭は、真っ白になった
翼宿がいなくなる
『来週の木曜日、「Love Music」に出演だ。スケジュールはこれに書いてあるから、チェックしておくように』
『分かりました』
『・・・・・・・・・・・・翼宿。本当にいいのか?』
『え?』
『こことの契約・・・・・・・・・・・・ずっとここにいてくれても、構わないんだが・・・』
翼宿は、静かに微笑んだ
『・・・・・・・・・・・・俺には、待ってくれてる奴らがおります』
『翼宿・・・』
『いい経験でした。だからこそ、残りの期間も悔いを残さないようにやらせていただきます』
それ以上、Poleは何も言えなかった
部屋を出ると、翼宿は小さな影を見た
「・・・・・・・・翼?」
先日知りあったあの少年の姿だった
彼は大きな包みを持って、稽古場を出て行く
ついていく事10分
小さな病院に辿り着いた
彼は、そこに入っていく
「・・・・・・・・母ちゃん!!見てや!!今日はこれだけ買ってきた!!」
「翼・・・・・・・・・・いいんだよ。母ちゃんの事は・・・」
「何言うてるん!!難しい病気やから、ここに入院させてもろてるんやろ!?はよう治して、日本に一緒に帰るんや!!」
「あんた、練習はちゃんとしてるん?友達にいじめられたりしてへんの?」
「大丈夫や。俺の事は・・・心配せんでえぇ」
「あんたがこっちで音楽やってくって聞いた時は・・・ホンマにびっくりしたんよ。それが母ちゃんの傍にいる為だって知った時も・・・だけどね、あんたにはあんたの夢があるんでしょう?それを実現させる為に、母ちゃんのトコにしばらく来なくたって・・・」
「嫌や!!」
「翼・・・」
「母ちゃん・・・少しでも放っておくと・・・悪くなりそうで怖いねん。俺はえぇんや・・・やれるトコまでやってみる。あそこに入れさせてくれただけでも感謝せなあかんねん、おかんには。これもえぇ経験やし・・・俺は俺のやれるトコまでやって、後は母ちゃんと日本に帰れればえぇねん」
「・・・・・・・・・・・・・あんたって子は」
「待ってるから・・・また来るな!!」
翼は、ダッシュで病室を出た
病院を出ると、赤い夕焼けが目の前いっぱいに広がっていた
それを見ると、翼はなぜかいつも胸が痛くなる
孤独を思い知らされる
すると
「だっ!?」
膝を突かれた
驚いて振り向くと
「翼宿・・・?」
背の高い大きな存在がそこにはあった
「飯つき合え」
「魄狼はん!!お久しぶりです」
「まさか帰ってきてくれるなんて思わなかったよー!!」
「まぁ・・・あそこにいる理由はもうなくなったんで」
翼宿は、すっきりした表情で笑う
「新曲もいい感じだし、これからもこの調子で頑張れよ!!」
「ありがとうございます」
「翼宿さ~ん。Poleさんがお呼びです」
「はい。今、行きます」
玲と入れ違いに、翼宿はその場を離れた
「よかったんですか?もう少し二人きりでいたかったんじゃないんですか?」
「いいえ・・・もう十分です。ここは、以前と違って翼宿さんに優しい環境が揃ってますから」
「・・・・・・・・・・・・・そうですか」
「何ですか?」
「いいんですか?気持ち、伝えなくて」
「え・・・」
「きちんともう一度、伝えたらどうですか?」
確かに、今までの自分は流れや勢いで彼に迫っていた
けれど、今、翼宿とたくさんの事態を乗り越えて、玲もだいぶ変わった
今の自分をぶつけてみたい・・・
「だけど・・・・・・・・・・・・・今は、まだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・玲さんに、教えておかなきゃいけない事あるんですけど・・・」
「何ですか・・・?」
「あいつ・・・・・・・・・・今年いっぱいで、ここと契約打ち切るみたいなんですよ」
「・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
「つまり、日本に帰るって事です」
「・・・・・・・・・・そんな・・・どうして・・・」
「この前、PoleさんとMICHEALが話していたのを偶然聞いてしまったんです。理由は・・・分かりません」
玲の頭は、真っ白になった
翼宿がいなくなる
『来週の木曜日、「Love Music」に出演だ。スケジュールはこれに書いてあるから、チェックしておくように』
『分かりました』
『・・・・・・・・・・・・翼宿。本当にいいのか?』
『え?』
『こことの契約・・・・・・・・・・・・ずっとここにいてくれても、構わないんだが・・・』
翼宿は、静かに微笑んだ
『・・・・・・・・・・・・俺には、待ってくれてる奴らがおります』
『翼宿・・・』
『いい経験でした。だからこそ、残りの期間も悔いを残さないようにやらせていただきます』
それ以上、Poleは何も言えなかった
部屋を出ると、翼宿は小さな影を見た
「・・・・・・・・翼?」
先日知りあったあの少年の姿だった
彼は大きな包みを持って、稽古場を出て行く
ついていく事10分
小さな病院に辿り着いた
彼は、そこに入っていく
「・・・・・・・・母ちゃん!!見てや!!今日はこれだけ買ってきた!!」
「翼・・・・・・・・・・いいんだよ。母ちゃんの事は・・・」
「何言うてるん!!難しい病気やから、ここに入院させてもろてるんやろ!?はよう治して、日本に一緒に帰るんや!!」
「あんた、練習はちゃんとしてるん?友達にいじめられたりしてへんの?」
「大丈夫や。俺の事は・・・心配せんでえぇ」
「あんたがこっちで音楽やってくって聞いた時は・・・ホンマにびっくりしたんよ。それが母ちゃんの傍にいる為だって知った時も・・・だけどね、あんたにはあんたの夢があるんでしょう?それを実現させる為に、母ちゃんのトコにしばらく来なくたって・・・」
「嫌や!!」
「翼・・・」
「母ちゃん・・・少しでも放っておくと・・・悪くなりそうで怖いねん。俺はえぇんや・・・やれるトコまでやってみる。あそこに入れさせてくれただけでも感謝せなあかんねん、おかんには。これもえぇ経験やし・・・俺は俺のやれるトコまでやって、後は母ちゃんと日本に帰れればえぇねん」
「・・・・・・・・・・・・・あんたって子は」
「待ってるから・・・また来るな!!」
翼は、ダッシュで病室を出た
病院を出ると、赤い夕焼けが目の前いっぱいに広がっていた
それを見ると、翼はなぜかいつも胸が痛くなる
孤独を思い知らされる
すると
「だっ!?」
膝を突かれた
驚いて振り向くと
「翼宿・・・?」
背の高い大きな存在がそこにはあった
「飯つき合え」