Making of the Moon【翼宿side】
♪♪♪
「メール届いてますよ」
「きっと・・・柳宿からですわ」
ベースを片手に、遠い眼をして窓の外を眺めている翼宿
その窓の向こうには、報道陣がごった返している
「辛いっすねぇ~芸能界って」
翼宿は無理に笑う
「翼宿さん・・・怒ってますよね?」
「・・・何でですか?」
「だって・・・私のせいです。私が旦那の所にもっと早く帰っていたら・・・こんな事には」
翼宿は、黙って首を横に振る
「玲さんが犠牲になって、俺が楽する訳には行きません」
「そんな・・・」
「自分を責めないでください」
「・・・・・・・・っ・・・」
この人はやっぱり強い。玲は感じた
「・・・・・・・・・・・・本当は柳宿さん留学で帰ってるんですよね・・・?」
「・・・・・・・え?」
「すみません。この前・・・受信したメールをたまたま見てしまって」
「・・・・・・・・・・・・・」
「二週間・・・到着からもう二週間経ってて・・・帰るのは今日なんでしょう!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「今のメールだってきっと・・・あなたに会いたくて」
「玲さん」
「・・・・・・・・・」
「えぇんです。俺の事は・・・」
今出て行ったら、玲の居所もばれ、Charlieに見つかるのも時間の問題だ
だからこそ、絶対に家から出てはいけない
今日もまた、夜がやってくる
玲は、こっそり布団から起き上がった
隣の部屋で、翼宿はベースを抱えたまま眠っている
その片手に握られた携帯の受信メール
『最終便の時間まで、LA駅の像の前で待ってる』
玲は、そっと翼宿の頬を撫でる
(翼宿さん・・・今すぐ私が自由にしてあげます)
すっかり、報道陣が引いた玄関を横切る
そこで、目についた大柄な体
『久し振り・・・ね』
玲の旦那だった
『かくれんぼのつもりだったか?ぜーんぶばれてるぞ』
Charlieは、煙草を靴で踏みつぶした
『私の事はどうしてもいい。だけど・・・翼宿さんを巻き込まないで』
『あんな若造に本気になるとは、イカれたもんだな、お前も』
『・・・関係ないでしょ』
『まぁ、いい。さぁ、早く帰ろう、玲』
『・・・嫌よ』
『俺の方がお前を愛せる!!』
『嫌よ!!例え、翼宿さんが私に永遠に振り向いてくれなくても・・・私は一生あの人の傍に・・・』
『何を訳の分からない事を言っているんだ!!!!』
Charlieが、拳を振り上げる
ドカッ
次の瞬間、殴られたのは玲ではなかった
「・・・・・・・・・・・・・たすきさん・・・?」
そこには、翼宿の姿があった
「翼宿さん!!」
『お前は・・・』
『拳を使うんは、男同士だけにしましょうや。Charlieさん』
翼宿は口から血を流しながら、Charlieを睨む
『貴様・・・よくも俺の女房を・・・!!』
『あんたに預けるくらいなら、俺がずっと預かりますさかいな』
『馬鹿にするな!!』
翼宿は、彼の拳を一発で受け止めると、彼の首筋を殴りはらった
「ぐ・・・・・・!!」
そのまま、彼は気を失った
「急所狙っただけや。阿呆」
「翼宿さん!!翼宿さん!!」
「玲さん・・・怪我ありませんか?」
「あなたこそ・・・口から血が・・・」
「こんなん、中学時代の喧嘩に比べりゃ、大した事ないっすよ」
彼は、平気そうに笑う
「どうして、私なんか・・・」
「玲さんは・・・俺にとって大事な人ですから」
「え・・・」
「俺がここまで来られたんは・・・ずっと応援してくれていた玲さんのお陰です」
翼宿は、微笑む
「・・・・・・・・・・・・・・じゃあ」
「戻りましょう。後は警察が・・・」
「じゃあ!!!!」
振り返ると、玲の泣きそうな顔
「行ってください・・・」
「玲さん・・・?」
「あなたの一番大切な人の所へ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「私からのお願いなんです・・・」
あなたを幸せに出来るのは、自分じゃない
♪♪♪
メール着信音が鳴り響く
翼宿は、静かに頷くと・・・・・・・・・・・・・・・・・・走っていた
まだ、間に合うだろうか
「メール届いてますよ」
「きっと・・・柳宿からですわ」
ベースを片手に、遠い眼をして窓の外を眺めている翼宿
その窓の向こうには、報道陣がごった返している
「辛いっすねぇ~芸能界って」
翼宿は無理に笑う
「翼宿さん・・・怒ってますよね?」
「・・・何でですか?」
「だって・・・私のせいです。私が旦那の所にもっと早く帰っていたら・・・こんな事には」
翼宿は、黙って首を横に振る
「玲さんが犠牲になって、俺が楽する訳には行きません」
「そんな・・・」
「自分を責めないでください」
「・・・・・・・・っ・・・」
この人はやっぱり強い。玲は感じた
「・・・・・・・・・・・・本当は柳宿さん留学で帰ってるんですよね・・・?」
「・・・・・・・え?」
「すみません。この前・・・受信したメールをたまたま見てしまって」
「・・・・・・・・・・・・・」
「二週間・・・到着からもう二週間経ってて・・・帰るのは今日なんでしょう!?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「今のメールだってきっと・・・あなたに会いたくて」
「玲さん」
「・・・・・・・・・」
「えぇんです。俺の事は・・・」
今出て行ったら、玲の居所もばれ、Charlieに見つかるのも時間の問題だ
だからこそ、絶対に家から出てはいけない
今日もまた、夜がやってくる
玲は、こっそり布団から起き上がった
隣の部屋で、翼宿はベースを抱えたまま眠っている
その片手に握られた携帯の受信メール
『最終便の時間まで、LA駅の像の前で待ってる』
玲は、そっと翼宿の頬を撫でる
(翼宿さん・・・今すぐ私が自由にしてあげます)
すっかり、報道陣が引いた玄関を横切る
そこで、目についた大柄な体
『久し振り・・・ね』
玲の旦那だった
『かくれんぼのつもりだったか?ぜーんぶばれてるぞ』
Charlieは、煙草を靴で踏みつぶした
『私の事はどうしてもいい。だけど・・・翼宿さんを巻き込まないで』
『あんな若造に本気になるとは、イカれたもんだな、お前も』
『・・・関係ないでしょ』
『まぁ、いい。さぁ、早く帰ろう、玲』
『・・・嫌よ』
『俺の方がお前を愛せる!!』
『嫌よ!!例え、翼宿さんが私に永遠に振り向いてくれなくても・・・私は一生あの人の傍に・・・』
『何を訳の分からない事を言っているんだ!!!!』
Charlieが、拳を振り上げる
ドカッ
次の瞬間、殴られたのは玲ではなかった
「・・・・・・・・・・・・・たすきさん・・・?」
そこには、翼宿の姿があった
「翼宿さん!!」
『お前は・・・』
『拳を使うんは、男同士だけにしましょうや。Charlieさん』
翼宿は口から血を流しながら、Charlieを睨む
『貴様・・・よくも俺の女房を・・・!!』
『あんたに預けるくらいなら、俺がずっと預かりますさかいな』
『馬鹿にするな!!』
翼宿は、彼の拳を一発で受け止めると、彼の首筋を殴りはらった
「ぐ・・・・・・!!」
そのまま、彼は気を失った
「急所狙っただけや。阿呆」
「翼宿さん!!翼宿さん!!」
「玲さん・・・怪我ありませんか?」
「あなたこそ・・・口から血が・・・」
「こんなん、中学時代の喧嘩に比べりゃ、大した事ないっすよ」
彼は、平気そうに笑う
「どうして、私なんか・・・」
「玲さんは・・・俺にとって大事な人ですから」
「え・・・」
「俺がここまで来られたんは・・・ずっと応援してくれていた玲さんのお陰です」
翼宿は、微笑む
「・・・・・・・・・・・・・・じゃあ」
「戻りましょう。後は警察が・・・」
「じゃあ!!!!」
振り返ると、玲の泣きそうな顔
「行ってください・・・」
「玲さん・・・?」
「あなたの一番大切な人の所へ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「私からのお願いなんです・・・」
あなたを幸せに出来るのは、自分じゃない
♪♪♪
メール着信音が鳴り響く
翼宿は、静かに頷くと・・・・・・・・・・・・・・・・・・走っていた
まだ、間に合うだろうか