Making of the Moon【翼宿side】
『渡したいもんあるから、MICHEALはんの病院行くわ』
そのメールに気がついたのは、今しがた
『どうした?翼宿』
『杏がこっちに来るそうですわ』
『おぉ。そうか!!杏とも随分会っていないな。ドームツアーが決まったんだろう?』
『そうみたいですよ』
『祝の言葉ひとつでもかけてやらなければな』
今日も、翼宿はMICHEALの見舞いに来ていた
雨は降り続く
『天気予報は晴れだったのに、おかしいな』
『こっちの気候にはいつまで経っても慣れませんわ。昨日は雪やったのに・・・』
その時だった
「翼宿さん!!」
駆け込んできたのは、玲だった
「玲さん・・・どないしたんですか?」
「杏さんが・・・・・・・・・・・・・・・」
「翼宿・・・」
病院には、Pole、魄狼とWolfのバンドのメンバーが駆けつけていた
「・・・脇見でスピード出してたらしい・・・」
『Operate』というランプは、赤く光っていた
「助かるんですよね・・・?」
玲が涙目で問う
「分からない・・・相当の出血量だったらしい。おまけにこの大雨で・・・体温もだいぶ下がっていた」
翼宿は、ただ黙っている
『杏・・・杏・・・』
Poleがうわごとのように名前を呟く
ウィーン
医者が出てくる
『先生!!杏は・・・どうなんですか!?』
『・・・・・・・・・・・絶望的な出血で、命が助かる見込みはない』
その場の時間が止まったようだった
「くそっ!!!!何だってんだよ!!!!!せっかく・・・せっかくここまで!!」
魄狼が、壁に拳を叩きつけた
『皆さん・・・会ってやってくださいませんか』
快い医者の最期の提案
『杏!!杏!!』
Poleは、手術室へ駆け込んだ
中は、たくさんのパイプが通っている部屋だった
その中央に、杏が呼吸器をつけながら眠っている
『杏・・・しっかりするんだ!!杏!!』
Poleは、泣いていた
「Poleはん・・・?」
杏は、目を開けた
「杏!!」
「杏さん!!」
魄狼と玲も駆け寄る
「しっかりしろよ・・・おい!!くたばってる場合じゃねぇだろうが!!!」
「みんな・・・ごめんなさい・・・あたし・・・ドジってしもたね・・・最後の最後で・・・」
「何言ってやがるんだ!!最後って言うな!!!」
「杏さん・・・お気を確かに・・・」
「玲さんも・・・みんな来てくれたん・・・?」
Wolfのギターとドラムも駆け寄る
「ありがとなぁ・・・・・・・・あたし、幸せやわ・・・友達・・・こんなにたくさんおったなんて」
杏は、弱弱しく微笑む
「翼宿・・・」
最愛の名前
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こっち・・・来て?」
一番後ろで立ちすくんでいた翼宿は、まだ言葉を発していなかった
翼宿は、黙って杏の手を握る
「・・・・・・・・・・・・あったかいなぁ・・・。あんたの手・・・」
「杏・・・・・・・・・お前、何阿呆な事・・・してんねや」
「ごめんなぁ・・・あたしはやっぱり・・・単独行動は危なっかしい・・・なぁ」
「お前・・・これからごっつ忙しくなるんやろ・・・?こんなトコで油売ってたら承知せんで・・・」
「せやなぁ・・・あたしの夢が叶うんやもん・・・な」
魄狼は、床に蹲って泣きだした
「翼宿・・・・・・・・・・・・・・・・・時間ないから・・・・・・・・・・・・・あんたにお願いがあるの」
「・・・・・・・何や」
「あたしさ・・・・・・・あんたを・・・・・・・・・・・・・・・幸せにしたかった」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「やけど・・・・・・・・・・・あたしじゃ、やっぱりあかんかったみたいやわな・・・」
「何・・・言うとるんや」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やから、あんたが一番大事な人に幸せにしてもろてや・・・」
「・・・・・・・・・・・・杏」
「あんたがさ・・・・・・・・・成功するの信じとるからね」
「おい・・・ちょお待てや・・・・・・・・杏・・・」
「歌って・・・・・・・・・・・・・・な?たすき・・・・・・・・・・・・・」
Pi---------------------------------------------------
世界の歌姫の卵は、この世を去りました
たくさんの愛を残して
そのメールに気がついたのは、今しがた
『どうした?翼宿』
『杏がこっちに来るそうですわ』
『おぉ。そうか!!杏とも随分会っていないな。ドームツアーが決まったんだろう?』
『そうみたいですよ』
『祝の言葉ひとつでもかけてやらなければな』
今日も、翼宿はMICHEALの見舞いに来ていた
雨は降り続く
『天気予報は晴れだったのに、おかしいな』
『こっちの気候にはいつまで経っても慣れませんわ。昨日は雪やったのに・・・』
その時だった
「翼宿さん!!」
駆け込んできたのは、玲だった
「玲さん・・・どないしたんですか?」
「杏さんが・・・・・・・・・・・・・・・」
「翼宿・・・」
病院には、Pole、魄狼とWolfのバンドのメンバーが駆けつけていた
「・・・脇見でスピード出してたらしい・・・」
『Operate』というランプは、赤く光っていた
「助かるんですよね・・・?」
玲が涙目で問う
「分からない・・・相当の出血量だったらしい。おまけにこの大雨で・・・体温もだいぶ下がっていた」
翼宿は、ただ黙っている
『杏・・・杏・・・』
Poleがうわごとのように名前を呟く
ウィーン
医者が出てくる
『先生!!杏は・・・どうなんですか!?』
『・・・・・・・・・・・絶望的な出血で、命が助かる見込みはない』
その場の時間が止まったようだった
「くそっ!!!!何だってんだよ!!!!!せっかく・・・せっかくここまで!!」
魄狼が、壁に拳を叩きつけた
『皆さん・・・会ってやってくださいませんか』
快い医者の最期の提案
『杏!!杏!!』
Poleは、手術室へ駆け込んだ
中は、たくさんのパイプが通っている部屋だった
その中央に、杏が呼吸器をつけながら眠っている
『杏・・・しっかりするんだ!!杏!!』
Poleは、泣いていた
「Poleはん・・・?」
杏は、目を開けた
「杏!!」
「杏さん!!」
魄狼と玲も駆け寄る
「しっかりしろよ・・・おい!!くたばってる場合じゃねぇだろうが!!!」
「みんな・・・ごめんなさい・・・あたし・・・ドジってしもたね・・・最後の最後で・・・」
「何言ってやがるんだ!!最後って言うな!!!」
「杏さん・・・お気を確かに・・・」
「玲さんも・・・みんな来てくれたん・・・?」
Wolfのギターとドラムも駆け寄る
「ありがとなぁ・・・・・・・・あたし、幸せやわ・・・友達・・・こんなにたくさんおったなんて」
杏は、弱弱しく微笑む
「翼宿・・・」
最愛の名前
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こっち・・・来て?」
一番後ろで立ちすくんでいた翼宿は、まだ言葉を発していなかった
翼宿は、黙って杏の手を握る
「・・・・・・・・・・・・あったかいなぁ・・・。あんたの手・・・」
「杏・・・・・・・・・お前、何阿呆な事・・・してんねや」
「ごめんなぁ・・・あたしはやっぱり・・・単独行動は危なっかしい・・・なぁ」
「お前・・・これからごっつ忙しくなるんやろ・・・?こんなトコで油売ってたら承知せんで・・・」
「せやなぁ・・・あたしの夢が叶うんやもん・・・な」
魄狼は、床に蹲って泣きだした
「翼宿・・・・・・・・・・・・・・・・・時間ないから・・・・・・・・・・・・・あんたにお願いがあるの」
「・・・・・・・何や」
「あたしさ・・・・・・・あんたを・・・・・・・・・・・・・・・幸せにしたかった」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「やけど・・・・・・・・・・・あたしじゃ、やっぱりあかんかったみたいやわな・・・」
「何・・・言うとるんや」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やから、あんたが一番大事な人に幸せにしてもろてや・・・」
「・・・・・・・・・・・・杏」
「あんたがさ・・・・・・・・・成功するの信じとるからね」
「おい・・・ちょお待てや・・・・・・・・杏・・・」
「歌って・・・・・・・・・・・・・・な?たすき・・・・・・・・・・・・・」
Pi---------------------------------------------------
世界の歌姫の卵は、この世を去りました
たくさんの愛を残して