Making of the Moon【翼宿side】
屋上で、二人肩を並べる
「落ち着いたか?」
翼宿が、珈琲を渡す
「・・・ごめんね。また、興奮して」
「いや・・・何があったかは聞かんけど」
翼宿は、珈琲を一口飲む
もう、11月初頭ともなれば、屋外は嫌に肌寒い
「あ・・・そういえば、デビュー出来るかもしれん」
「ホンマか!?」
「次にドームツアーのゲストに呼ばれて・・・メディアに目つけられたら、もしかしたら・・・」
「よかったやないか!!お前の長年の夢やったもんな!!」
「うん・・・」
『翼宿、最近売上が落ちている』
『尻尾を巻いて逃げるに決まっている』
Poleの言葉が、頭を駆け巡る
嫌だ・・・そんなの嫌だ
「翼宿・・・あたしがデビューしても、ずっと見守っててくれるよね・・・?」
「ん?」
「ね・・・」
杏は、次の返事を聞くのが怖かった
「せやな・・・せめて一年はな」
一年
「うん・・・うん・・・。一年でもえぇから、見とってね」
「何や、いきなり?」
「ほれ・・・あたし、演奏中によくかむやん?やっぱ、芸能界ではそういうの通用せぇへんやろ?」
咄嗟にごまかす
「せやな・・・そら、まずいわ。今以上に、稽古せなあかん」
翼宿は、そう言って笑う
「お前が芸能界に入るからには言うておくけど、そこはゴールやないで。そっからいかに生き残れるかが勝負や」
翼宿のありがたい教えに、杏は頷く
「そうやって・・・あんたは、ここまで来たんやもんね」
「俺なんか、まだまだ甘ちゃんや。お前のが・・・世界にいちはやく認められるかもしれんのやで?」
「あたしは・・・それでも、翼宿を尊敬しとるよ」
杏は、空を見上げる
「翼宿を貶す奴おったら、さっきみたいにめっちゃ怒鳴ってやるんや」
自分が、誰よりも翼宿を知っているから
「・・・・・・・・・・・おおきに」
翼宿は、微笑む
「あ・・・雪」
雪が降り始める・・・初雪だ
「・・・・・・・・・・・・寒い」
杏は、翼宿のポケットに手を入れてくる
「おいおい」
「これのがあったかいやんvvv」
幸福だった
それ以上に望んでしまった・・・
だから
神様は、罰を与えたんだね
♪♪♪
「おい~杏。入るぞ~」
「あかん!!入るな!!」
魄狼が杏の部屋に入ろうとして、杏がそれを制した
「何だよ~何か作ってるのか?」
「新曲vうちらのドームツアーでやる曲やvついでに・・・」
「ついでに???」
「翼宿への気持ち綴ったねん」
ドアの向こうで、魄狼が噴き出したのが分かった
「何やの~?馬鹿にせんといて!!」
「昼間といい・・・本当お前一途だな!!羨ましいよ!!」
「魄狼はんみたいに、色んな女の子と遊んだりせぇへんもん」
「んだと??・・・あ。それと明日・・・MICHEALさんに渡してきてもらいたいもんあるから、ポストに入れておくわ。お前、どうせ明日翼宿の稽古場に行くんだろ?」
「あ。はーい。任せて!!」
「じゃ、おやすみ・・・明後日からリハ始まるからな!!」
「あ・・・魄狼はん」
「何だ?」
「ありがとなぁ・・・昼間は」
「・・・ん」
「Poleさんのフォロー」
「ああ。だって、放置しても面倒だろ」
「せやけど・・・ありがと」
「へいへい」
ザーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝は、生憎の雨
USAの交通は、朝から慌ただしい
「やっば・・・大降りだなぁ」
杏が傘を広げる
『杏・・・』
後ろから、声をかけられる
見ると、Poleだった
『あ・・・おはようございます』
『昨日は・・・すまなかったな。魄狼から、事情は聞いたよ』
『そうですか・・・』
『私も、すっかり有頂天になって人の気持ちを考えていなかった。すまなかった』
『いえ・・・それより、翼宿に謝ってやってください』
『今から、翼宿のところに行くのか?』
『はい・・・ついでに、MICHEALさんの所にも』
『翼宿とMICHEALと玲さんに伝えてくれないか?戻ってきてほしい。MICHEALの看護にも力を入れてくれる病院も紹介するとな』
『Poleさん・・・』
『杏もデビューが近いし・・・また、みんなで頑張ろうじゃないか。頑張りたいんだ』
杏は、満面の笑みで頷いた
『ありがとうございます!!じゃあ・・・行ってきます!!』
未来が拓ける
また、一緒に音楽が出来る
まだまだ悩み事なんてたくさんあるけれど
いつかは・・・いつかは、みんなで幸せになれるのかな
あいつも・・・あたしも
キキキキキキキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パッパーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
え・・・・・・・・・・
ドンッ
杏の体は、宙を舞った
あたしは・・・・・・・・・それ以上に望んでしまったから
だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きっとこれは、天罰なんだね
ねぇ・・・翼宿
あんたの傍にいられただけで、幸福だったのに
「落ち着いたか?」
翼宿が、珈琲を渡す
「・・・ごめんね。また、興奮して」
「いや・・・何があったかは聞かんけど」
翼宿は、珈琲を一口飲む
もう、11月初頭ともなれば、屋外は嫌に肌寒い
「あ・・・そういえば、デビュー出来るかもしれん」
「ホンマか!?」
「次にドームツアーのゲストに呼ばれて・・・メディアに目つけられたら、もしかしたら・・・」
「よかったやないか!!お前の長年の夢やったもんな!!」
「うん・・・」
『翼宿、最近売上が落ちている』
『尻尾を巻いて逃げるに決まっている』
Poleの言葉が、頭を駆け巡る
嫌だ・・・そんなの嫌だ
「翼宿・・・あたしがデビューしても、ずっと見守っててくれるよね・・・?」
「ん?」
「ね・・・」
杏は、次の返事を聞くのが怖かった
「せやな・・・せめて一年はな」
一年
「うん・・・うん・・・。一年でもえぇから、見とってね」
「何や、いきなり?」
「ほれ・・・あたし、演奏中によくかむやん?やっぱ、芸能界ではそういうの通用せぇへんやろ?」
咄嗟にごまかす
「せやな・・・そら、まずいわ。今以上に、稽古せなあかん」
翼宿は、そう言って笑う
「お前が芸能界に入るからには言うておくけど、そこはゴールやないで。そっからいかに生き残れるかが勝負や」
翼宿のありがたい教えに、杏は頷く
「そうやって・・・あんたは、ここまで来たんやもんね」
「俺なんか、まだまだ甘ちゃんや。お前のが・・・世界にいちはやく認められるかもしれんのやで?」
「あたしは・・・それでも、翼宿を尊敬しとるよ」
杏は、空を見上げる
「翼宿を貶す奴おったら、さっきみたいにめっちゃ怒鳴ってやるんや」
自分が、誰よりも翼宿を知っているから
「・・・・・・・・・・・おおきに」
翼宿は、微笑む
「あ・・・雪」
雪が降り始める・・・初雪だ
「・・・・・・・・・・・・寒い」
杏は、翼宿のポケットに手を入れてくる
「おいおい」
「これのがあったかいやんvvv」
幸福だった
それ以上に望んでしまった・・・
だから
神様は、罰を与えたんだね
♪♪♪
「おい~杏。入るぞ~」
「あかん!!入るな!!」
魄狼が杏の部屋に入ろうとして、杏がそれを制した
「何だよ~何か作ってるのか?」
「新曲vうちらのドームツアーでやる曲やvついでに・・・」
「ついでに???」
「翼宿への気持ち綴ったねん」
ドアの向こうで、魄狼が噴き出したのが分かった
「何やの~?馬鹿にせんといて!!」
「昼間といい・・・本当お前一途だな!!羨ましいよ!!」
「魄狼はんみたいに、色んな女の子と遊んだりせぇへんもん」
「んだと??・・・あ。それと明日・・・MICHEALさんに渡してきてもらいたいもんあるから、ポストに入れておくわ。お前、どうせ明日翼宿の稽古場に行くんだろ?」
「あ。はーい。任せて!!」
「じゃ、おやすみ・・・明後日からリハ始まるからな!!」
「あ・・・魄狼はん」
「何だ?」
「ありがとなぁ・・・昼間は」
「・・・ん」
「Poleさんのフォロー」
「ああ。だって、放置しても面倒だろ」
「せやけど・・・ありがと」
「へいへい」
ザーーーーーーーーーーーーーーーー
翌朝は、生憎の雨
USAの交通は、朝から慌ただしい
「やっば・・・大降りだなぁ」
杏が傘を広げる
『杏・・・』
後ろから、声をかけられる
見ると、Poleだった
『あ・・・おはようございます』
『昨日は・・・すまなかったな。魄狼から、事情は聞いたよ』
『そうですか・・・』
『私も、すっかり有頂天になって人の気持ちを考えていなかった。すまなかった』
『いえ・・・それより、翼宿に謝ってやってください』
『今から、翼宿のところに行くのか?』
『はい・・・ついでに、MICHEALさんの所にも』
『翼宿とMICHEALと玲さんに伝えてくれないか?戻ってきてほしい。MICHEALの看護にも力を入れてくれる病院も紹介するとな』
『Poleさん・・・』
『杏もデビューが近いし・・・また、みんなで頑張ろうじゃないか。頑張りたいんだ』
杏は、満面の笑みで頷いた
『ありがとうございます!!じゃあ・・・行ってきます!!』
未来が拓ける
また、一緒に音楽が出来る
まだまだ悩み事なんてたくさんあるけれど
いつかは・・・いつかは、みんなで幸せになれるのかな
あいつも・・・あたしも
キキキキキキキーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パッパーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
え・・・・・・・・・・
ドンッ
杏の体は、宙を舞った
あたしは・・・・・・・・・それ以上に望んでしまったから
だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きっとこれは、天罰なんだね
ねぇ・・・翼宿
あんたの傍にいられただけで、幸福だったのに