Making of the Moon【翼宿side】
「翼宿!!」
玲と杏が、病室に駆け込む
「静かに・・・今、寝たトコや」
「そんな・・・MICHEALさん・・・」
杏は、半泣きしていた
「学生時代から、MICHEALさんは肺を患っていました。こんなになるまで無茶をして・・・」
「すんませんでした」
医者の言葉に、翼宿が謝る
「MICHEAL・・・・・・・・・・・・」
玲が座り込んで、嗚咽を漏らす
「玲さん・・・!?」
「私・・・・・・・・私は・・・」
「杏、ちぃとMICHEALはん見ててくれんか?」
翼宿は、玲を支えるように外へ連れ出した
そんな光景が面白くなかった杏だが、今はそれどころではなかった
「大丈夫ですか?」
自販機の前の椅子まで連れだした翼宿
「すみません・・・私、知ってたのに・・・仕事を無理にさせていて・・・それで・・・」
「いや。それを言うなら、連れ回していたのは俺の方です」
「いいえ・・・MICHEALは、とても楽しそうでした。翼宿さんとお仕事をしていて・・・」
玲の涙は止まらない
「どうしよう・・・もし、MICHEALがいなくなったら・・・私の居場所が・・・」
「玲さん・・・」
玲は、翼宿を見上げる
「翼宿さん・・・・・・・私の傍にいてください・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え・・・?」
「私、旦那に暴力を振るわれていて、しばらく家に帰れないんです。私の居場所・・・どこにもなくて」
玲は、潤んだ瞳で翼宿を見上げる
「私は・・・・・私、一目会った時から、翼宿さんの事・・・」
翼宿は、返事をためらった
玲が抱きついてくる
「しばらくこうしていてくださいませんか・・・」
その光景を見ていたのは、杏だった
「・・・・・・・・おい」
後ろから声をかけられる
驚いて振り向く
「魄狼はん・・・」
「大丈夫なのか?MICHEALの容態」
「大丈夫・・・じゃないけど」
「てか、何見てるんだ?」
「っあ!!!!ちょっと!!駄目や!!」
その光景を見て、魄狼は顔をひくつかせる
そして、杏を冷やかすような眼で見る
「な・・・何やねん・・・」
「ふーん」
ガコン
魄狼は、杏に飲料を手渡す
「何や・・・偉い優しいやん」
「人を奇怪な生き物みたいに言うな」
「お見舞いに来てくれたん?」
「・・・・・まぁな。俺だって、MICHEALさんには少なくとも世話になってるし」
「えぇトコあるやん~」
「だから、さっきからお前失礼だぞ」
そこで、沈黙
「好きなのか?」
「へ!?」
「翼宿」
「・・・・・・・・・・・あぁ。って、何でそんな事、あんたに話さなあかんの!?」
「だって、お前行動が分かりやすいし」
「やっぱ・・・分かるんや」
「分かるだろ、普通。練習の時から、金魚のフンみたいに後ろにくっついてきてたし」
「なっ!?そんな言い方ないやん!!!」
沈黙が、再び流れる
「・・・・・・・・好きや」
杏は、答える
「むちゃくちゃ好きやねん・・・中学の頃から。だけど、ある出来事がきっかけで・・・あたし、翼宿とおれなくなってん。で、今こうして偶然再会して、背高くなって前よりもかっこよくなってて・・・絶対離したないて思った」
「ふーん・・・」
「だけど、あたし玲さんに敵いっこないやん・・・今頃、どないしてるんやろ。あの二人・・・」
「翼宿、柳宿と付き合ってるんじゃなかったのか?」
「そんなのっ・・・!!あたしは、柳宿さん嫌いだもん。絶対認めない」
「負けず嫌いで、おもしれーなお前」
魄狼は、笑う
「てか!!!今の絶対秘密やで!?何で、あんたに喋らなあかんの!?」
「どうしよっかなーv」
「あ!!ちょっと訂正や、今の!!!」
翌日、どうにか玲をやり過ごした翼宿は養成所に報告に行った
玲の事・・・柳宿の事・・・頭が混乱する
Poleの部屋の前を通りかかる
『ざまーみろだな。MICHEALの奴』
英語で、Poleの声が聞こえる
『さっさとくたばりやがれ。あいつがいると、新人発掘が思うように行かないんだ。どんなアーティストも脳なしは脳なしだ。それを良心でいつまでも可愛がってるから、時間ばかり食う・・・』
Pole・・・やはり、思った以上の毒舌人間だ
人間として、最低な奴だ
翼宿は、黙って部屋に入る
『翼宿・・・何だね。ノックもせずに』
『随分と冷たい言い方をされるのですね』
翼宿の表情は、冷たい
『君には関係のない事だ』
『同じ音楽を志す者とは思えません・・・その上、玲さんまで利用して卑怯にも程があります』
『さっきから何だね、その態度!!ちょっと売れてるからって、いい気になってるんじゃないぞ!!』
『せやったら、俺ここを出ます』
こんな腐った場所で、稽古なんかしたくない
仲間との別れを意味するその決断
玲と杏が、病室に駆け込む
「静かに・・・今、寝たトコや」
「そんな・・・MICHEALさん・・・」
杏は、半泣きしていた
「学生時代から、MICHEALさんは肺を患っていました。こんなになるまで無茶をして・・・」
「すんませんでした」
医者の言葉に、翼宿が謝る
「MICHEAL・・・・・・・・・・・・」
玲が座り込んで、嗚咽を漏らす
「玲さん・・・!?」
「私・・・・・・・・私は・・・」
「杏、ちぃとMICHEALはん見ててくれんか?」
翼宿は、玲を支えるように外へ連れ出した
そんな光景が面白くなかった杏だが、今はそれどころではなかった
「大丈夫ですか?」
自販機の前の椅子まで連れだした翼宿
「すみません・・・私、知ってたのに・・・仕事を無理にさせていて・・・それで・・・」
「いや。それを言うなら、連れ回していたのは俺の方です」
「いいえ・・・MICHEALは、とても楽しそうでした。翼宿さんとお仕事をしていて・・・」
玲の涙は止まらない
「どうしよう・・・もし、MICHEALがいなくなったら・・・私の居場所が・・・」
「玲さん・・・」
玲は、翼宿を見上げる
「翼宿さん・・・・・・・私の傍にいてください・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え・・・?」
「私、旦那に暴力を振るわれていて、しばらく家に帰れないんです。私の居場所・・・どこにもなくて」
玲は、潤んだ瞳で翼宿を見上げる
「私は・・・・・私、一目会った時から、翼宿さんの事・・・」
翼宿は、返事をためらった
玲が抱きついてくる
「しばらくこうしていてくださいませんか・・・」
その光景を見ていたのは、杏だった
「・・・・・・・・おい」
後ろから声をかけられる
驚いて振り向く
「魄狼はん・・・」
「大丈夫なのか?MICHEALの容態」
「大丈夫・・・じゃないけど」
「てか、何見てるんだ?」
「っあ!!!!ちょっと!!駄目や!!」
その光景を見て、魄狼は顔をひくつかせる
そして、杏を冷やかすような眼で見る
「な・・・何やねん・・・」
「ふーん」
ガコン
魄狼は、杏に飲料を手渡す
「何や・・・偉い優しいやん」
「人を奇怪な生き物みたいに言うな」
「お見舞いに来てくれたん?」
「・・・・・まぁな。俺だって、MICHEALさんには少なくとも世話になってるし」
「えぇトコあるやん~」
「だから、さっきからお前失礼だぞ」
そこで、沈黙
「好きなのか?」
「へ!?」
「翼宿」
「・・・・・・・・・・・あぁ。って、何でそんな事、あんたに話さなあかんの!?」
「だって、お前行動が分かりやすいし」
「やっぱ・・・分かるんや」
「分かるだろ、普通。練習の時から、金魚のフンみたいに後ろにくっついてきてたし」
「なっ!?そんな言い方ないやん!!!」
沈黙が、再び流れる
「・・・・・・・・好きや」
杏は、答える
「むちゃくちゃ好きやねん・・・中学の頃から。だけど、ある出来事がきっかけで・・・あたし、翼宿とおれなくなってん。で、今こうして偶然再会して、背高くなって前よりもかっこよくなってて・・・絶対離したないて思った」
「ふーん・・・」
「だけど、あたし玲さんに敵いっこないやん・・・今頃、どないしてるんやろ。あの二人・・・」
「翼宿、柳宿と付き合ってるんじゃなかったのか?」
「そんなのっ・・・!!あたしは、柳宿さん嫌いだもん。絶対認めない」
「負けず嫌いで、おもしれーなお前」
魄狼は、笑う
「てか!!!今の絶対秘密やで!?何で、あんたに喋らなあかんの!?」
「どうしよっかなーv」
「あ!!ちょっと訂正や、今の!!!」
翌日、どうにか玲をやり過ごした翼宿は養成所に報告に行った
玲の事・・・柳宿の事・・・頭が混乱する
Poleの部屋の前を通りかかる
『ざまーみろだな。MICHEALの奴』
英語で、Poleの声が聞こえる
『さっさとくたばりやがれ。あいつがいると、新人発掘が思うように行かないんだ。どんなアーティストも脳なしは脳なしだ。それを良心でいつまでも可愛がってるから、時間ばかり食う・・・』
Pole・・・やはり、思った以上の毒舌人間だ
人間として、最低な奴だ
翼宿は、黙って部屋に入る
『翼宿・・・何だね。ノックもせずに』
『随分と冷たい言い方をされるのですね』
翼宿の表情は、冷たい
『君には関係のない事だ』
『同じ音楽を志す者とは思えません・・・その上、玲さんまで利用して卑怯にも程があります』
『さっきから何だね、その態度!!ちょっと売れてるからって、いい気になってるんじゃないぞ!!』
『せやったら、俺ここを出ます』
こんな腐った場所で、稽古なんかしたくない
仲間との別れを意味するその決断