Making of the Moon【翼宿side】

「翼宿さん!!日本の鬼宿さんと柳宿さんの騒動について、一言お願いします!!」
「親友に取られた感想はいかがですか!?」
「翼宿さん!!答えてください!!」
養成所「Mountain」の前には、たくさんの日本の記者が詰めかけていた

『駄目だ。今日は練習に外へ行くな。翼宿』
MICHEALの指示に素直に従う
「すんませんでした・・・」
「翼宿さんのせいじゃないですよ。報道陣が面白がって・・・」
玲が励ます
杏は、何も言えなかった
「すまんな・・・杏。せっかくやる気になってくれたのにな」
「あたしは・・・別に」
翼宿は心中複雑であろう

「大変だな」
その横を、魄狼が冷たい言葉を言いながら通り過ぎた
「日本で売れると、これだから困る。気の毒だな。練習の邪魔は、早く消えてほしいんだが」
杏は、魄狼を睨みつける

「あいつ、絶対面白がってるんや。許せんな」
「やめろ。杏。下手に反抗すんなや」
不満を漏らす杏を、翼宿が宥める

すると

Plllllllllllllllllllllllll
鬼宿からのまさかの着信
「すまん・・・ちょっと」
翼宿は、すぐさま廊下に出た
カチャ
「もしもし?たまか?」
『翼宿か?俺だよ』
「おい・・・お前ら一体どないしたんや?」
『驚いただろ~俺らの方が驚きだよ。誤解だよ誤解~』
鬼宿の呂律が回っていない
「酔ってるんか?」
『ちょっとな~「白い虎」に隠れてろって言われたから、ある酒全部飲んぢまった』
「おい・・・何しとるんや。柳宿・・・おるんか?」
『いるよ~』
「たま。お前、しっかりせぇや。本人同士がしっかりせんで、どないするんや」
『翼宿。誤解しないでくれよ!!俺は、柳宿がストーカーに襲われて怯えてたから、ああしただけだからな!!』
「・・・そうか。それは大変やったな」
『てめえは~何で帰ってこねえんだよ!!柳宿、泣いてんだろ!!女泣かすんじゃねえよ!!俺が言えた事じゃねえけどよぉ~』
「すまんな・・・」
『本当に柳宿、誰かに取られっぞ?』
「それはあかん」
そこで、鬼宿の言葉が止まった
「我儘かもしれんけど・・・せやけど、柳宿を勝手に扱う男がおるんなら、許さん。例えお前でも・・・な」
自分で何を言ってるか分からなかった
『俺・・本当はさぁ~俺だってさぁ~辛いんだよ。奎介さんとか奎宿さん・・・親切にしてくれっけど・・・俺の気持ちをリアルに分かってくれるのは・・・お前しかいねえんだよ。翼宿・・・』
「すまん・・・」
『翼宿?・・・ごめんね。今、たまちょっと荒れてて・・・』
柳宿の声に代わる
「いや・・・えぇんや。大変やろ?少し辛抱せぇ」
『ごめんね・・・そっちも報道陣詰めかけてるよね?テレビに映ってる・・・練習の邪魔して、ごめんね』
「・・・すまんな。そっち帰れんで」
『ううん・・・こんな時に帰ってきたら・・・大変だよ』
「こっちも色々あってな。また、電話するわ」
『ありがと・・・翼宿も気をつけてね』
電話を切り、溜息をつく
そんな翼宿を、杏は扉の向こうから心配そうに見つめていた

「心配ですか・・・?」
「え・・・?」
「翼宿さん」
何とか報道陣も一時撤退して、床についた杏と玲
今、彼女らは同室である
「はい・・・海外にまで報道陣来るなんて思わんかったし・・・やっぱり売れっ子は大変ですよね」
杏は溜息をつく
「あなた自身の問題も・・・あるんじゃない?」
「え・・・?」
「好きなんですか?」
「あたしは・・・別に」
「取ってしまえばいいのに」
玲は、不敵に微笑む
「玲さん!?」

「私も・・・翼宿さんのような男性好きですよ」

「え・・・?」
思いもかけないライバル宣言
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