Making of the Moon【鬼宿side】

医務室に寝かされた鬼宿
その横で座る風花
「まだ・・・目を覚まさないの?」
「媚芳さん・・・」
「最近寝てなかったみたいだしね」
「・・・・・・・・・・・・・」
「まさか、ここまでやるなんて思わなかったわ」
「私もです」
「・・・・・・協力してやったら?」
「え・・・」
「私も協力してやりたいんだけど、色々と先輩が手助けするのは事情があってね」
「そうですか・・・」
「目を覚ますまで、決断する事ね」
媚芳は、そのまま去っていった

鬼宿は、自分の為に捨て身で悠馬との仲を取り持ってくれた
なのに、自分はその申し訳なさと情けなさに、鬼宿の顔を直視する事が出来なくなっていた
何て情けない人間なのだろう
「鬼宿さん。私・・・」
「ん・・・」
「鬼宿さん!?」
「あれ・・・ここ、どこ・・・」
「医務室です。倒れたんですよ・・・鬼宿さん」
「ああ・・・いけないな。まだ、取引先の書類のコピーが残って・・・」
「・・・やっておきます」
「へ?」
「私がやりますから!!!無理しないで、まだ寝ていてください!!」
「風花ちゃん・・・?」
「鬼宿さん・・・私、ずっとあなたにお礼が言いたかったんです」
「・・・え」
「悠馬との事・・・本当にありがとうございました。彼も感謝していました」
「そっか・・・元に戻ったんだ・・・よかった」
「だから、今度は私があなたを助ける番です」
「風花さん・・・」
「一緒に、取引成功させましょう」
ベストパートナーが誕生した

それからというもの、鬼宿と風花は取引の準備に明け暮れた
それぞれが出来る事を分担し合い、効率よく作業を進めた
一人より二人という言葉の良さが、鬼宿にはこの日初めて実感出来た

そして、遂に社長と同僚への発表
「・・・・・・俺達、出来る限りのデータを集めました」
「その成果がこれです」
二人が手渡した大量の資料
「こんなに・・・」
社長は呆気に取られていた
「以前にあったデータよりは少ないし、信憑性も薄いかもしれないんですけど、それでも何もしないよりはマシだと思って」
社長との無言状態が続く
「・・・・・・・・・・よく頑張ったな」
「え・・・」
二人が顔を上げると、同僚からの拍手が溢れた
「見なおしたよ、鬼宿!!」
「やっぱ、あんた凄いよ!!」
ピリピリしていた同僚の間にも笑顔が溢れていた
「みんな・・・」
「これで取引を進めてみよう。結果はどうでも、君達の努力の成果は認める」
「ありがとうございます」
「風花君も、よく頑張ってくれたね」
「私はそんな・・・。鬼宿さんの頑張りに圧倒されただけです」
「そこでだ。鬼宿君」
「はい?」
「君に我々がプロデュースする楽器店の店長を任せたい」
「え・・・?」
扉は、開けた
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