Making of the Moon【鬼宿side】

『もしもし?』
「もしもし。博人か?久し振り」
『鬼宿?どうしたんだよ、また!!』
「いきなりごめんな?実は、「Phoenix」がよく使ってる機材の搬送先知ってたら教えてほしいんだ」
『また、何で?』
「会社がごたついててさ・・・協力してほしい」
『分かった・・・何があったか分からないけど、無理すんなよ?』
「ありがとう!!分かったら、すぐに連絡してくれ!!」
電話を切り、アポ先のメモにまた一つ印をつける
「最後は・・・夕城プロのトコか」

「ここが、うちが使ってる搬送先のリストだ」
「こんなにたくさん・・・ありがとうございます!!」
「鬼宿・・・お前本当に一人でやる気か?」
「はい!!このまま放っておく訳には行かないんで!!」
「ったく・・・他人の為にまぢになって・・・お前本気で死ぬぞ?」
「平気です!!俺の取り柄ですから!!」
鬼宿は、問題ないという風に笑う

「これで・・・アポはひとまず全部完了・・・と」
鬼宿は、職場でも空いた時間は休憩なしにデータの打ち込みをしていた
「鬼宿さん・・・あの」
「ん?どうしたの?」
「本当に一人でやってるんですか?」
「そうだよ!!もう少しでギターのデータ打ち込みは終わるんだ」
「そんな・・・まだベースやドラムが残ってるじゃないですか」
「この調子だと何か月経つか分かんないからさ・・・最近徹夜も多いんだよね」
どうして、彼はそこまで頑張れるのだろうか
風花は、疑問でならなかった

「兄ちゃん~今日も、仕事?」
「ああ!!取引先に挨拶回りなんだ!!今日は、旅行楽しんできてくれよな!!」
せっかく企画した家族旅行も、鬼宿が不参加になっている現状だった
「最近・・・頑張り過ぎなんじゃないか?」
「また、変な騒ぎ起こさないでほしいけどね」
父親と忠栄は、顔を見合せて溜息をついた

「もしもし・・・鬼宿です。はい!!ありがとうございます・・・」
企画書を持ち込みながら、携帯で取引先と電話
オフィスの中では、今日も鬼宿が忙しそうだ
「あいつ・・・一人で何やってるの?」
「俺なんて、もう仕事やる気ねえのにさ~よくやるよなぁ、あいつ」
周りの同僚の呆れた声を聞きながらも、風花は今日も彼の様子が気になっていた
急いで、後を追いかける
見ると、丁度廊下の向こうの曲がり角に鬼宿の姿が見えた
「鬼宿さんっ・・・」
次の瞬間、鬼宿の体が大きく揺れた
「え・・・」
バサバサッ
そのまま、彼は倒れた
「鬼宿さんっ!?」
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