Making of the Moon【鬼宿side】

「わああああああああああああ!!!!」
朝一番に出勤してきた社長が悲鳴をあげる
「うちのオフィスがぁ!!!」
「AKAONI」第二課のオフィスは滅茶苦茶に荒らされていた

「・・・とまぁ、大方片付けはしたのだが・・・大事な機材データのフロッピーが紛失していた」
社員を集めて、ミーティングが始まった
「あのデータは・・・来週、海外の大事な取引先に送るデータだったんだが」
頭を抱える社長
「契約を打ち切られると・・・まずいビッグプロジェクトなんだ」
鬼宿をはじめ、社員がざわめき出す
風花をちらりと見るが、彼女は未だ鬼宿と顔を合わせづらい雰囲気だった
「・・・誰だよ。フロッピー盗んだの」
「ここ、完全警備員制だろ?内部の人間しか入れないじゃねえか」
社員の間で疑念が湧く
「犯人探しは・・・しない。フロッピーだけ見つかれば」
嫌な空気が流れる

ガタガタ
「嫌な感じだよなぁ~社長も一日ピリピリしてたし」
「プロジェクト一つで俺らの仕事の成果も消えちまうなんて、不公平な会社だぜ」
不平不満を言いながら、社員が退勤していく
「あの・・・お疲れ様でした」
風花は気まずそうに立ちあがり、横の鬼宿に声をかけた
「どうすべきかなぁ・・・」
「え?」
「・・・・・・・・・・絶対犯人出てこないと思うんだよ」
「はぁ・・・」
「だったら、機材データをまた一から集め直せばいいんじゃないかなぁ」
「鬼宿さん?」
「まぁ、どんな機材が必要なのか細かいところまでは分からないけど」
「何言ってるんですか?機材と一口に言っても、100種以上はあるらしいんですよ?」
「だけどさ。このまま何もしないよりもよくない?」
「あなた、自分の仕事もあるのに・・・そこまで手が回るんですか?」
「んー・・・会社の雰囲気悪くしちゃ、もっとミスが増えて悪循環になる気がするんだよね」
以前、無茶な賭けで助けてくれたのに、まだやるのか。この男は
「どうしてそんなに頑張れるんですか・・・?」
「え?」
「どうしてそんなに他人の為に・・・」
「俺の昔からの取り柄だからさ。直せないんだよね・・・どうしても」
鬼宿は笑う

Pllllllllllllll
「もしもし?」
『鬼宿か?』
「夕城プロ。お久しぶりです」
『ニュース見たか?』
「え?」
『翼宿、活動自粛だって』
「まぢっすか!?」
『あぁ・・・俺からもまだ声かけられずにいるんだが・・・』
「そうですか・・・分かりました。俺からメールくらい入れておきます」
鬼宿は電話を切って、夜空を見上げた
(みんな大変なんだな・・・)
そんな事をぼやきながら
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