Making of the Moon【鬼宿side】

「ばあちゃん・・・あたし、就職したよ」
風花は、一つの墓前で手を合わせている
「・・・・・・・・・・・・・あの人の事は、忘れるべきだよね」
そう呟くと、風花は桶を持って立ちあがった
コツコツコツコツ
誰かがこちらに向かって歩いてくる
風花は、少しだけ顔をあげて・・・・・・・また顔を背けた
懐かしい香水の香り
通り過ぎて、風花は振り向いた
「悠・・・・・・・・・・・・・・・・馬」

「鬼宿さんは、今も続いてるんですか?」
「ななな何をいきなり!?」
お昼休みに、風花は突然そんな事を尋ねてきた
「一時は世間を騒がせたカップルじゃないですか~どうなんですか?」
「・・・・・・続いてるよ。一応・・・今は、受験勉強中だけどさ」
「いいですね」
「風花さん・・・・・・・恋人は?」
「いませんよ」
風花は、笑いながらサンドイッチをかじる
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・その」
先日、媚芳から言われた事が頭をよぎる
「・・・・・・・・・・・・・好きな人は、いるんじゃないの?」
風花は、驚いて鬼宿を見た
「・・・・・・・・・・・・・・・誰かに聞いたんですか?」
「ごめん・・・しかも、君・・・この前酔っ払った時、その人の名前呟いてたから」
「そうだったんですか・・・・・・・・・・・」
「俺さ、変に首突っ込みたくないけど・・・何かあれば力になりたいなって」
「やめてください」
風花は、突然立ち上がった
「え・・・」
「鬼宿さんって、本当にお人よしですね。現役時代に言われませんでした?」
「そりゃ・・・まぁ」
「無駄ですよ・・・今更戻れる訳ないし・・・」
「どうして?そんな最初から諦めちゃ・・・」
「彼、暴力団だもん」
「・・・・・・・・・・・・・・え?」
「無理・・・グレちゃったもん・・・・・・・・・・・・・・もう、帰ってこない・・・・・・・・・・・・・あたしの所には」
39/41ページ
スキ