Making of the Moon【鬼宿side】

タタタタタタタ ダン
「やっぱすげえや~芸能界出身の腕前は!!」
「こりゃあ、「AKAONI」に革命が起こりますねぇ~」
お昼休み、鬼宿はドラムの腕前を見せてくれと先輩社員に頼まれた
実習室のドラムを借りて、少しだけ披露させて貰ったのだ
「そんな事ないですよ。俺、体の事考えないでやるんで、腱鞘炎とか怪我してばっかりです」
鬼宿は、無邪気に笑う
「お前は、素直だなぁ~普通は、天狗になって自分の腕前を見世物にする奴らばかりなのになぁ~」

「風歌さん。これ・・・データチェックお願いします」
「分かりました・・・鬼宿さん、モテモテですね」
「いえいえ・・・直におさまりますよ」
「ねぇねぇ!!今日、二人の歓迎会やるんだけどさ!!二人は空いてる?」
「おvいいっすねぇ~酒出ますかぁ!?」
「何だよ、鬼宿ぇ!!お前、酒豪かぁ!?」
「実は、メンバー一の酒豪です・・・」
「じゃあ、物凄く酔っ払わせて、現役時代のこぼれ話でも聞いちゃいましょうよぉv」
明るい笑い声が、いつまでも響いていた

「かぁんぱぁい!!」
近所の居酒屋で、歓迎会の始まり
「翼宿、いつになったら帰ってくるのぉ!?」
「ん~・・・まだ、何も連絡来てないので」
「早く帰ってきてほしい~サイン貰えるかもしれないじゃないの!!」
「ダメですよ。私が最初です」
「あ~風歌ちゃん、ずるい~~~」
芸能界に精通した人物と知り合う事は、一般人にとって夢また夢だった
「翼宿翼宿ってよ~俺らのがよっぽどいい男だってばな~」
「あんたらみたいなむさ苦しい男よりも、クールな美少年のが断然イケてますよ!!」
「だけど、翼宿、今でも柳宿と付き合っちゃってる訳?」
「ああ・・・まぁ、詳しい事は俺からは・・・」
「いいよなぁ~あんな絶世の美少女と付き合ってるなんてな~」
やはり、「空翔宿星」はみんなの人気者だ
「そういえばさ、風歌ちゃんって去年まで働いてた悠馬君の妹さんなんだって?」
「ああ!!あの片桐の妹なのか!!」
途端に、風歌は瞳を伏せる
「ああ・・・まぁ、そうです」
「彼、営業部門では結構仕事出来たのにな~何で辞めちゃったの?」
「さあ・・・私には何の連絡も」
「失踪しちゃったんじゃないの!!無断で仕事も辞めて!!」
「やっぱ、風歌ちゃんにも連絡行ってないかぁ~」
風歌は、途端に酒をぐいぐいと飲み始めた
鬼宿は、そんな姿に疑問を感じた

「あたし・・・鬼宿さんでもいいなぁ~・・・サイン貰えるの・・・」
「風歌さん・・・飲みすぎですよ」
その帰り、風歌は後半の巻き返しでベロンベロンになってしまい、仕方無く鬼宿が家まで送ってあげた
「ああ。ここです~このマンションです~」
「あんまり夜中だから大声出さないでね?月曜日、また会社で」
鬼宿は苦笑いしながら、ロビーで風歌の体を離す
「・・・・・・・・・・・・・行かないで」
「へ?」
振り向いた鬼宿の唇に・・・・・・・・・・・・・・・・・それは突然重なった
「・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」
風歌は、そっと唇を離すと
「悠・・・・・・・・・・・・・・・馬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのまま、倒れた
「風歌さん!?」
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