Making of the Moon【鬼宿side】

「「「かぁんぱぁいvvv」」」
鬼宿が、専門学校の試験に合格して以来の「白い虎」でのお疲れ様会が開催された
「さすが、俺が見染めた男だ!!鬼宿!!世界へ羽ばたくんだぞ!!鬼宿!!」
夕城プロは、男泣きをしていた
「お兄ちゃん・・・大袈裟だよ」
「だけど、これで俺も晴れて社会人です!!」
「じゃあ、今よりも「白い虎」営業に力を注いでくれる訳だなv」
「期待してるよv新社会人!!」
「お師匠も昴宿さんも・・・何か目的間違えてませんか?」
それでも、この和気あいあいとした環境が好きだった
「まずは、東京の支社で研修です。転勤はあるかもしれませんが、それまではまたお世話になると思います」
「勿論だよ!!翼宿の次は、あんたまで遠くに行かれちゃ寂しくなるからね~」
「だけど、これからは美朱もしばらく顔を出せなくなります~」
夕城プロは、いきなりカミングアウトした
「お兄ちゃん!!」
「美朱はこれから音大目指して受験勉強!!将来は、「空翔宿星」を超えるビッグアーティストとしてうちの会社から出てくれるらしいぞー!!」
「本当か、美朱!?」
「まだ・・・先の話ですよ~それに、「空翔宿星」を超えるだなんて~」
笑い声は、いつまでも響いていた

「今日から、我が「AKAONI」支店に新しく入ってきた新人の鬼宿君だ。ご存じ、彼は「空翔宿星」出身の超一流ドラマーだ。期待の星になってくれる事間違いなしなので、みんなビシバシ鍛えるように!!」
「鬼宿です。不慣れな部分がたくさんあるとは思いますが、よろしくお願いします!!」
支店長の蔵本の紹介の後に、努めて元気に挨拶する
その場に、拍手が溢れた
「後もう一人。事務で入ってくれる事になった風歌さんだ」
その後に、スーツを着こなした背丈の小さい女性が入ってきた
「よろしくお願いします・・・」
「プログラミングは、超一流の腕前だ。何か案があれば、彼女の編集を頼むように」
風歌は、鬼宿と目が合うとにっこりと微笑んだ

軽いガイダンスを受けて、鬼宿は昼休憩を取った
「今度こそ・・・上手く行くといいなぁ」
仕事も人付き合いも何かと不器用な鬼宿に、不安がない訳ではなかった
「あの・・・お昼ご一緒してもよろしいですか?」
すると、聞き覚えのある声がした
「あ・・・風歌さん」
「どうも・・・よろしくお願いします」
大人しそうな落ち着いた感じの女性だった
「・・・空翔宿星、私大ファンでしたv」
「あ。本当にー?ありがとう!!」
「特に翼宿が大好きで・・・今度サイン貰えませんか!?」
「あははは・・・やっぱ翼宿かぁ~分かった。アメリカから帰ってきたらね!!」
「さすが翼宿ですよね・・・才能に恵まれていて・・・羨ましいです」
「そうそう。あいつなら、日本でもトントン拍子でやってけるだろうなぁ~」
「鬼宿さん。お互い頑張りましょうね」
寂しそうな横顔だと思ったが、彼女は気丈に振る舞った
「おう!!頑張ろう!!」
彼女は、この世界に入ってから最初に救う人間となる
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