Making of the Moon【鬼宿side】
今日もバイトを終え、鬼宿は小田島の病院へ向かう
もうすぐ、小田島の怪我も完治するらしい
鬼宿は、相変わらず無口な小田島でも会うのが楽しみだった
曲がり角を曲がると、最近見ない顔に出会った
「梨香ちゃん・・・?」
梨香は、路地裏でしゃがみこんでいた
「鬼宿先輩・・・」
振り向いた梨香の頬には、涙が伝っていた
「どっ・・・どうしたの?」
「鬼宿先輩・・・私」
鬼宿は、結局放っておけずに梨香を喫茶店に連れだした
今日の彼女は、いつもの彼女とは違かった
か弱い誰かに傷つけられたかのような表情
「何か・・・あった?」
「私・・・学外の人とバンド組んだんですけど、今日下手くそって言われちゃって」
梨香は、そのまま声をあげて泣き出す
練習にずっと付き合ってあげていた鬼宿には、梨香の努力が痛い程分かる
「そう・・・なんだ。確か、物凄く派手な見た目の人達と組んだんだよね?」
一度、スタジオに向かっている姿を見た事がある
梨香以外、メイクが濃くて過激な衣装を着ていたイメージがある
「私・・・音楽の世界自体向いてないのかな」
「そんな事ない・・・梨香ちゃん、頑張ってたじゃん?」
「鬼宿先輩・・・」
「俺、簡単に楽器こなせちゃう人より、人一倍努力してる人の方が将来的に伸びると思うよ」
今日は、彼女を励ましてやりたくなった
今は、男と女ではない同じ音楽をやる者同士としての会話なのだから
「・・・・・・・・・・・・・ありがとうございます。鬼宿先輩」
心なしか彼女は落ち着いた
「あのさ・・・提案なんだけど」
「何ぃ!?もう一人稽古をつけてくれだって?」
「お願いします!!夕城プロしか頼める人いないんです!!」
そう。鬼宿は、自分が所属していた事務所に稽古を依頼したのだ
「幸樹君だけでも、手いっぱいなんだぞ?」
「そこを何とか・・・俺、頑張ってきてるの見てきたから放っておけなくて」
「んー・・・分かったよ。これっきりだからな」
人がいい夕城プロは、すぐに許してしまう
「友達を二人も入れたんだって?」
デートの時、美朱が尋ねてきた
「もう、美朱の耳にまで回ってきたのか?」
「お兄ちゃん、お酒飲みながら愚痴ってたもん。人事費も馬鹿にならないんでしょ?」
本来ならば、厳しい試験を通ってきた者しか入れないのだ
鬼宿の専門学校は、事務所と提携しているので卒業生が入ってくる事はよくある事なのだが
まだ卒業もしていない学生を入れるのは、ほとんど無料で指導するに等しかった
「もう・・・これでなしにするよ。友達二人・・・励みにしたげたいんだよ」
「本当お人好し・・・」
美朱も、呆れていた
「だけど・・・・・・・・・・・梨香ちゃんには気をつけてね?」
「・・・・・・・・・・・・あぁ」
「あたし、鬼宿が梨香ちゃんの彼氏になるのだけは嫌だから」
「なる訳ねーだろ?」
美朱はしばらく鬼宿の顔を見つめていたが、安心したように腕を絡めた
「次の冬休みは、ディズニーランドに連れてってねv」
「また、ディズニーランドかよぉ?」
カタカタカタカタ
『空翔宿星-メンバー鬼宿、翼宿、柳宿』
黒幕が見つめるパソコンのモニター
「鬼宿・・・か」
その男は、ナイフを舌なめずりする
「日本に帰ってきているんだな」
芸能人への妬み・・・それは、時に殺意に変わる
何も知らずに、鬼宿は笑っていた
もうすぐ、小田島の怪我も完治するらしい
鬼宿は、相変わらず無口な小田島でも会うのが楽しみだった
曲がり角を曲がると、最近見ない顔に出会った
「梨香ちゃん・・・?」
梨香は、路地裏でしゃがみこんでいた
「鬼宿先輩・・・」
振り向いた梨香の頬には、涙が伝っていた
「どっ・・・どうしたの?」
「鬼宿先輩・・・私」
鬼宿は、結局放っておけずに梨香を喫茶店に連れだした
今日の彼女は、いつもの彼女とは違かった
か弱い誰かに傷つけられたかのような表情
「何か・・・あった?」
「私・・・学外の人とバンド組んだんですけど、今日下手くそって言われちゃって」
梨香は、そのまま声をあげて泣き出す
練習にずっと付き合ってあげていた鬼宿には、梨香の努力が痛い程分かる
「そう・・・なんだ。確か、物凄く派手な見た目の人達と組んだんだよね?」
一度、スタジオに向かっている姿を見た事がある
梨香以外、メイクが濃くて過激な衣装を着ていたイメージがある
「私・・・音楽の世界自体向いてないのかな」
「そんな事ない・・・梨香ちゃん、頑張ってたじゃん?」
「鬼宿先輩・・・」
「俺、簡単に楽器こなせちゃう人より、人一倍努力してる人の方が将来的に伸びると思うよ」
今日は、彼女を励ましてやりたくなった
今は、男と女ではない同じ音楽をやる者同士としての会話なのだから
「・・・・・・・・・・・・・ありがとうございます。鬼宿先輩」
心なしか彼女は落ち着いた
「あのさ・・・提案なんだけど」
「何ぃ!?もう一人稽古をつけてくれだって?」
「お願いします!!夕城プロしか頼める人いないんです!!」
そう。鬼宿は、自分が所属していた事務所に稽古を依頼したのだ
「幸樹君だけでも、手いっぱいなんだぞ?」
「そこを何とか・・・俺、頑張ってきてるの見てきたから放っておけなくて」
「んー・・・分かったよ。これっきりだからな」
人がいい夕城プロは、すぐに許してしまう
「友達を二人も入れたんだって?」
デートの時、美朱が尋ねてきた
「もう、美朱の耳にまで回ってきたのか?」
「お兄ちゃん、お酒飲みながら愚痴ってたもん。人事費も馬鹿にならないんでしょ?」
本来ならば、厳しい試験を通ってきた者しか入れないのだ
鬼宿の専門学校は、事務所と提携しているので卒業生が入ってくる事はよくある事なのだが
まだ卒業もしていない学生を入れるのは、ほとんど無料で指導するに等しかった
「もう・・・これでなしにするよ。友達二人・・・励みにしたげたいんだよ」
「本当お人好し・・・」
美朱も、呆れていた
「だけど・・・・・・・・・・・梨香ちゃんには気をつけてね?」
「・・・・・・・・・・・・あぁ」
「あたし、鬼宿が梨香ちゃんの彼氏になるのだけは嫌だから」
「なる訳ねーだろ?」
美朱はしばらく鬼宿の顔を見つめていたが、安心したように腕を絡めた
「次の冬休みは、ディズニーランドに連れてってねv」
「また、ディズニーランドかよぉ?」
カタカタカタカタ
『空翔宿星-メンバー鬼宿、翼宿、柳宿』
黒幕が見つめるパソコンのモニター
「鬼宿・・・か」
その男は、ナイフを舌なめずりする
「日本に帰ってきているんだな」
芸能人への妬み・・・それは、時に殺意に変わる
何も知らずに、鬼宿は笑っていた