Making of the Moon【鬼宿side】

若干二人の事が気になったが、鬼宿はバイト先に向かった
「鬼宿君。改めてよろしく。店長の織田です」
「よろしくお願いします!!」
「すぐに表で・・・って訳にもいかないから、裏で機材の搬入の手伝いをしてもらう。いいかい?」
「はい!!力仕事には自信あります!!」
「よし・・・おい!!小田島!!」
店長に呼ばれて、店の裏から顔を出したのは少し長髪の青年
「彼は、搬入のエキスパートだ。何でも聞いてくれ」
「はい!!よろしくお願いします!!」
彼は、特に気にも留めずにただ軽く会釈をしただけだった

「あの・・・小田島さん。俺、ここに来て本当によかったんですかね・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・よかったんじゃないでしょうか」
小田島と、早速二人きりで作業を始めるが
中々会話が思うように弾まない
「小田島さんって、何か楽器とかやってらっしゃるんですか?」
「・・・・・ギターを少々」
「へぇ・・・きっと上手いんですね~」
「・・・別に」
そのまま、彼は別室に荷物を運びこんでしまった
「・・・俺、やっぱいちゃまずかったかな」

「はぁ・・・」
「初出勤の後に、何よ。その溜息?」
帰りにいつものカフェで、美朱と待ち合わせをする
「いやいや。やっぱ、世間の目は冷たいなと思ってさ」
「慣れるまでの辛抱だねv」
そんな疲れも、美朱の笑顔を見れば吹き飛ぶ
「そういえば・・・翼宿先輩と柳宿先輩、仲直りしたみたいだねv」
「え。本当か!?」
「鬼宿にもごめんって、柳宿先輩が言ってた。まぁ、詳しい事は知らないけどぉ?」
とにかくよかった
鬼宿は、安堵した

次の日
「今日こそは・・・もう少し落ち着いてやらなきゃな」
鬼宿は気合いを入れて、店に入ろうとする
すると、路地裏に小田島の姿が見えた
「あ。小田島さ・・・」
しかし、それは信じられない光景
小田島は、ビニール袋に顔を被せて「何か」を吸っていた
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやら、本人には気付かれていなかったようだが
鬼宿は、落ち着いて仕事に集中できなかった
「・・・・・・・・・・あの。小田島さん。これはどこに・・・」
すると、小田島の体が揺れた
「小田島さん!?」
小田島の体を間一髪支える
「・・・・・・・・わりぃ」
「あの・・・お疲れですか?少し休んだ方が・・・」
「あぁ。何でもない」
薬のせいだと、鬼宿はすぐに分かった
何か嫌な予感がする。このバイト先。
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