Making of the Moon【鬼宿side】

「久々だな。事務所もv」
「せやな。新人発掘は出来たか?」
「さぁ~どうだろ。俺ら以上はいないんじゃねぇか?」
冗談を交えながら、鬼宿の車で鬼宿と翼宿は事務所へ向かう

車から降りると、様々な関係者が翼宿を出迎えた
「翼宿!!派手になったなぁ~」
「お疲れ様です!!」
「海外負けしてねぇか!?」
皆優しく温かい
その時、鬼宿は天文を見つけた
「天文!!」
声をかけると、彼は振り向いた
「あぁ・・・鬼宿」
「丁度よかった!!翼宿が帰ってきてたんだよ!!」
そこで、天文はちらりと翼宿を見やる
鬼宿は思った
(やばい・・・)
そのまま、天文は黙って翼宿に近づく
「よう」
「・・・よう。久し振りやな」
「ごめんな。急な仕事が入って、歓迎会行けなくて」
「ああ・・・頑張ってるみたいやな」
しかし、天文の表情は冷たい
「お前・・・柳宿には会ったのか?」
「いや・・・」
「お前がウジウジしてっと、俺取っちまうからな」
「え・・・?」
「俺・・・引かねぇから」
そのまま、天文は去ってしまった
「おいおい・・・まずいぞ、こりゃあ~」

帰りの車で、翼宿は煙草を吸いながら考え事をしていた
「あ・・・あのさ!!翼宿!!天文、きっと連日の仕事で疲れてたんだよ!!本音であんな事言う訳・・・」
「あいつ、柳宿と会ってたんか?」
「や・・・それは・・・」
上手くフォローが出来ない
「ま・・・当然やな。傍にいてやれん俺が悪いし」
「そんな事・・・ねぇよ!!」
鬼宿は、精一杯励ます
「お前しかいねぇだろ?そりゃ、今はすれ違ってるかもしれねぇけど、そんなんで折れる程ヤワだったのか!?」
珍しく必死な自分に驚く
「お前・・・」
翼宿も驚いている
「あ・・・や・・・ごめん。何か偉そうな事」
「いや・・・おおきに」
翼宿は微笑んだ
「俺・・・あいつの誕生日には帰国せなあかん」
「そっか・・・」
「最後に祝いくらいはしていくわ」
その言葉の意味は、鬼宿には理解し兼ねた

「はぁ・・・俺ってば」
帰路についた鬼宿は、溜息をついた
Plllllllllllll
その時、電話が鳴った
「わ!!」
着信を見ると、遂先日面接をした楽器店「Phoenix」だった
「もしもし!?」
『もしもし?「Phoenix」店長の織田です。鬼宿さんですか?』
「あ。はい!!」
『次のシフトが決まったので、是非来ていただきたいんですが』
「本当ですか!?」
『まぁ、芸能人を雇うのはこちらとしても難しい問題だけど、やるだけやってみましょう』
「ありがとうございます!!」
嬉しい知らせだった
このバイト先で、鬼宿の第二の人生が始まるのだ
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