Making of the Moon【鬼宿side】

「・・・分かりました。是非うちで働いてみてください」
「ありがとうございます!!」
季節は、春
鬼宿が専門学校生になって、二年目の春が来た

鬼宿は、たった今、楽器屋のアルバイトの面接を受けたところだ
「鬼宿!!どうだった!?」
外では、美朱が待っていた
「まぁまぁだったかな・・・店長さんは良さそうな人だったけど、さすがに芸能界引退組を雇うのは無理があるかな?」
「大丈夫だよ!!鬼宿のお家も、色々大変なんでしょ?稼ぎたい気持ち、店長さんだって分かってくれるってv」
「・・・ありがとな。美朱」
鬼宿と美朱の仲は、すっかりよくなっていた
それもその筈、冬にライブを終えた梨香
そのまま春休みに突入し、彼女の邪魔が入らないからだ
「遂に・・・明日か。翼宿先輩の帰国」
「そうだな」
「「白い虎」待ち合わせだっけ?」
「そ。あそこが俺らのオアシスだからな」
「・・・・・・・・・・・柳宿先輩は?」
「来ないって・・・」
「そっか。何とかなんないのかな」
「さすがにな~・・・こっちにそのまま帰ってくるならまだしも、またあっちに戻るんだし」
「だよね」
美朱は、しんみりする
「鬼宿」
そこで、彼女は立ち止まる
「どうした?」
「あたし達・・・何があっても離れない約束しよう?」
それは、自分たちの関係が危うくなるのを覚悟で、応援してくれた翼宿と柳宿の為
「・・・・・・・・・・・・うん」
鬼宿は、静かに微笑むと突き出してきた美朱の小指と小指を絡ませた
永遠の約束

次の日
「遂にかぁ~」
「俺、緊張してきた」
「あんたが緊張してどうすんのさ!!」
夕城プロ、奎宿、昴宿は緊張の色を隠せない
「あれ・・・天文は?」
「今日は来られないだってさ」
何か嫌な予感
ガラガラ・・・
その時、背後のドアが開いた
「翼宿・・・」
そこには、かつての親友の姿
「よ」
彼は、微笑んだ
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