Making of the Moon【鬼宿side】

季節は年が明け、バレンタインの季節が来る
「よう。鬼宿!!」
だいぶ騒ぎがおさまり、事務所に顔を出した鬼宿に夕城プロが声をかけた
「夕城プロ・・・お久しぶりです」
「あけましておめでとうだな!!去年は色々大変だったな」
翼宿が3月にアメリカに残り、それからの9か月間は嵐のようなものだった
鬼宿と柳宿のスキャンダルに始まり、梨香の策略に美朱とのすれ違い。幸樹の借金・・・
だけど、そのお陰で周りの温かさに気づけた事もたくさんある
そして、二か月近く・・・鬼宿・翼宿・柳宿の三者は連絡を取っていなかった
報道陣の目をかいくぐりながら、それぞれが自分のやるべき事をこなしていたから
「お前宛のチョコもたくさん届いてるぞ!!今日はバレンタインだもんな!!」
未だに空翔宿星復活の希望の声があがっている
「まぁ、一番大変なのはLAに大量のチョコを送り届けた事だったな」
夕城プロが、肩を回す
「けど、やっと一般人っぽくなってきましたよ、俺も・・・」
鬼宿も苦笑い
「なぁ。ところで、翼宿と柳宿の事、何か知ってるか?」
鬼宿は、静かに首を横に振る
「あいつらのスキャンダル・・・不思議と引いてますよね。何でだろうってずっと・・・」
嫌な予感がしていた

Pllllllllll
「もしもし。柳宿?」
『たま。久し振り』
「お前、今どこにいる?ちょっと事務所来ねぇか?お前宛の贈り物も何個かあって、夕城プロが渡したいって」
『うん・・・分かった』

キィ
「柳宿!!久し振りだなv」
「お久しぶりです」
「お前、少し痩せた?」
その後ろから、天文の姿
「あけまして、おめっとーっすv」
「あれ?お前ら、一緒だったのか?」
「俺も事務所にCDの取り置きしてたんで、一緒に来たんですよv」
そのまま、天文は事務室に入っていった

「これで、全部だ」
夕城プロが10個程チョコを柳宿に渡す
「すみません。ありがとうございます」
「全然音信不通だったもんなぁ~元気にしてたか?」
「何とかね」
活気はなかったが、柳宿は笑顔を見せる
「その・・・さ。お前、最近どうなんだよ?翼宿とは」
夕城プロが切り出しにくい話題を切り出す
「・・・あ。ごめんなさい。私何も言ってなかったですよね・・・?距離置いてるんです。もう二か月くらい・・・」
「「はぁ!?」」
二人同時に驚く
「距離って・・・お前ら何かあったのか!?」
「私は、もう慣れました」
「忙しいから・・・か?」
柳宿は静かに首を横に振る
「それもあるけど・・・ちょっと向こうでも色々大変みたいだし、これ以上あたしの事であの人を悩ませたくないなって」
二人は腕を組んで考え込む
「確かに国際恋愛・・・スタミナが要る事だが、お前らならやっていけると思っていたのになぁ」
「すみません。応援してくれていたのに」
「まだ・・・分かんねぇって!!あいつ、その内日本にひょっこり・・・」

「帰ってくるみたいですよ」

背後で、天文の声
振り向くと、彼は一枚のFAX用紙を持っていた
「今、事務室に届きました。3月から一週間だけ・・・報告に戻るみたいです」
「何だって・・・!?」

「鬼宿。どうしたの?さっきから上の空で・・・」
いつもの喫茶店で、美朱とデート
「翼宿がさ、遂に帰ってくるんだってさ」
「え!?本当!?あたしも会いたい!!」
「会えるとは思うけど・・・お前、柳宿とあいつ今どうなってたか知ってたか?」
「まぁ、実はちょっと・・・」
「何!?お前には教えてたのか・・・」
「あたしが無理に聞き出しちゃったの!!この前、迷惑かけちゃったから・・・」
「あいつらが会えるかが問題だな」
「そうだよね・・・」
「・・・・・・やっぱ、上手く行かねぇのかなぁ」
「あたし達が弱気でどうすんのよ!!祈るしかないよ!!あたしは、あの二人信じてる!!」
強気な美朱は、こう振る舞う

一年ぶりの仲間との再会
果たして、どうなるのか?
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