Making of the Moon【鬼宿side】

「おはよ・・・」
「おはようございます。鬼宿先輩v」
「・・・梨香ちゃん」
鬼宿が教室に入ると、梨香が待ってましたとばかりにやってくる
「ごめんな・・・?一昨日は美朱が・・・」
「いいえ。気にしてません。鬼宿先輩がこれからも私を指導してくださるなら、問題ないです」
その言葉に、鬼宿はギクリとなる
「・・・・・・・・・・・・・これからも、教えてくださいますよね?」
梨香は半分脅迫気味な目で鬼宿を見つめた
「梨香ちゃん・・・」
そんな二人を見て、幸樹はとても心配していた

「はぁ・・・」
何とか一日を終えた鬼宿
「鬼宿!!」
後ろから幸樹の声がする
「幸樹・・・」
「これ、何とか5万作ったから・・・わりぃな、分割で・・・」
「あぁ・・・いいんだよ。ごめんな?生活費大変だろ?」
「お前・・・俺より自分の心配・・・」

「やーいv結蓮のばぁかー!!」

突然、自分の妹をからかう声が聞こえた
「あれ・・・紅南小学校じゃん」
気づくと、妹らが通う小学校の前を通っていた
その校門で信じられない光景
「結蓮!?」
自分の愛らしい妹・結蓮が男子生徒に鞄を投げつけられている
「おい!!お前ら!!何してるんだ!!」
幸樹が叫ぶと、男子生徒は悲鳴をあげて逃げて行った
「結蓮・・・大丈夫か!?」
駆け寄ると、結蓮はベソをかいていた
「兄ちゃん・・・」
妹まで・・・いじめに遭っていたのだ

「そうか・・・兄ちゃんのせいで、結蓮いじめに遭っていたのか」
どうやら、あの週刊誌を読んだ主婦が子供に悪い噂を流していたようなのだ
「許せんな・・・誤解なのに」
父親も頭を抱える
「でもね・・・結蓮平気だよ。だって・・・兄ちゃんが一番大変だもん」
しかし、結蓮は気丈にもこう答える
「兄ちゃん・・・私たちも見ておくよ。結蓮の事」
同じ小学校に通う玉蘭と春敬はそう告げた
「兄ちゃん。何も責任負う事はないから」
長男の忠栄も力強く頷く
どうして、こうも涙もろくなってしまったのだろう
しかし、涙をこらえてこう答えた
「みんな・・・ありがとう」
家族の支え・・・負けてはいられない
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