Making of the Moon【鬼宿side】

「よう。二人とも」
「お兄ちゃん!!」
「夕城プロ・・・お疲れ様です」
美朱は3日間入院する事になったのだが、一日も寝ればすっかり元気になっていた
そんな病室に、夕城プロが顔を出した
「今回の件は・・・本当にすみませんでした。俺・・・夕城プロにどんな顔して会えばいいか・・・」
「いや。お前のせいじゃないよ、鬼宿。それより、仲直りできてよかったな。美朱」
「・・・うん。でも、大変だよね。柳宿先輩と翼宿先輩」
「事務所前も相変わらずの騒ぎだ。まだ、お前や柳宿の進学先は割れてないから通学出来るとしても、これもバレたら、お前らの行き場まぢでなくなっちまうからなぁ・・・困ったな」
「俺はいいんです。それよりも、あの二人を・・・」
「柳宿は何とか出来るとしても、翼宿は手が届かないからな。MICHEALと今朝連絡取ったんだけど、ひどい騒ぎだそうだ」
「そうですか・・・」
「あの二人も無茶な決断したよ。だけどさ、全てはお前と美朱の仲の為だって言ってた」
「あいつら・・・」
二人の健気な思いやりに、鬼宿と美朱はひどく心を痛めた

Plllllllllllllllll
「もしもし?」
『もしもし。鬼宿か?』
「天文か・・・久し振り」
帰りの車で受けた着信
『色々大変だったよな。お疲れ』
「お前こそ、夕城プロと一緒に事務所の管理大変だな」
『俺は平気。あの事務所護れるの若手じゃ、俺しかいねぇしな』
「お前もソロ活動中だろ?そっちも力入れろよ」
『あのさ・・・鬼宿。柳宿、偉い参ってるみたいなんだよな』
「・・・そうか」
『俺、今から会ってくるんだけどよ。どう思う?』
「何が?」

『俺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・駄目かな。まだ、柳宿の事』

その言葉に、鬼宿はハッとなった
「いや。天文・・・それは」
『翼宿に否がある訳じゃねえんだよ。ただ・・・あいつのしんどそうな顔見てるくらいだったら・・・』
「天文・・・」
『いや。ごめんな、鬼宿。いいんだ。相談したかっただけだから。今度、また飲もうな』
「ああ・・・」
電話を切ったが、嫌な予感がした
自分たちを取り巻く大きな渦がどんどん広がっている気がした

ガラガラ・・・
「おぉ。鬼宿!!どうした!?」
「お師匠・・・この前は、すみませんでした。何か偉い悪酔いしちまって・・・俺」
「ああ~いいんだいいんだ~。あんな酔い方なんてしょっちゅうだったじゃねぇかよv気にするな」
「おばさんは?」
「今、買い出しだよ」
奎宿の背中は本当に逞しかった
色々な人生を経験してきたのだろう。今の自分なんかちっぽけに感じるくらいに
「飲むか?」
振り返って微笑む奎宿
情けなくも涙が出てきた
「お師匠・・・俺・・・」
奎宿は驚いていたが、背中をパンパンと叩き
「「空翔宿星」のリーダーが情けねぇぞ!!」
そう笑っていた
どうして、いつから・・・みんなバラバラに。
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