Making of the Moon【鬼宿side】
『通帳をお受け取りください』
「はぁ・・・」
鬼宿は、自分の通帳を預金機から取り出し、溜息をついた
その通帳の残高の欄には
「2008/08/15 キャッシュカード 3000,000」
という目眩がする額が表示されていた
季節は秋
「バイト・・・しなきゃなぁ」
「げっ!!300・・・万なんて何に使ったの!?」
「ちゅ・・・忠栄!!お前、どうしたんだ。こんな早くに!!」
突然横から顔を出してきた弟・忠栄に鬼宿は驚いた
「今日は始業式だから、午前中で終わりだよ!!言ってなかった?」
「あ・・・そうだったか」
「兄ちゃんも明日から学校でしょ?ねぇ~どうしたの?それ~」
「いっ!!いいか!?忠栄!!親父には絶対黙っててくれよ!!頼む!!」
「ん~じゃあ」
忠栄は、横のクレープ屋と鬼宿を交互に見る
「・・・・・・・・・・・・・・・何て兄殺しの弟なんだ」
「鬼宿先輩!!おはようございます!!」
翌日、専門学校に行った鬼宿に梨香が声をかける
「梨香ちゃん・・・先輩はやめようよ。一応同級生なんだからさ」
「いいんです!!憧れですからv先輩、新学期からも私にドラム教えてくれるんですよね!?」
「えっ・・・夏休みだけじゃないのか!?」
「まだですよ~私、12月にライブ控えてるんです!!せめてそれまで、お願いしますvvv」
「勘弁してくれよ~」
「先輩・・・最近、彼女と会ってないんですか?」
「え・・・何で?」
「何か顔色が悪い~男性ホルモンが足りてないんじゃないですかぁ~?先輩の彼女って、あれですよね?昔、週刊誌で騒がれてた女の子。年下でしたっけ?まだ、付き合ってるんですか?いい加減乗り換えればいいのに~」
「い・・・いや。それは、君には関係ない事だよ」
目を逸らした鬼宿は、幸樹を見つけた
「幸樹!!」
「鬼宿・・・」
「返済・・・出来たのか?」
「何とか・・・借金取りは来なくなったよ」
「よかったな・・・」
「ごめんな?鬼宿。金・・・すぐにバイトして今年中には絶対に返すよ」
「いいよ。大変な額だろ?分割でもいいしさ」
「ありがとな・・・」
人がいい鬼宿は、すぐに許してしまう癖があった
そして、もうひとつ気がかりな事
美朱との次のデートの約束もあったが
「柳宿・・・」
そう。あれから未だおさまっていないストーカー騒動
もう、本人も限界だ
「翼宿・・・早く帰って来いよ」
事務所から、来週には一旦帰れるという連絡は受けた
せめて、あいつの方が自分よりも柳宿にとって励みになる存在なのだが
何もできない自分が悔しくなった
しかし・・・唯一自分に出来る事は、騒動がおさまるまで、送り迎えをしてやれるのみだ
しかし、その日、鬼宿は実習の説明会で帰りが遅くなってしまった
「やべ・・・柳宿、怒ってるだろうな」
鬼宿は、車を走らせる
校門に着いて、携帯を鳴らそうとする
「あれ~?鬼宿先輩。どうしたんですかぁ?」
そこに聞き覚えのある声
確か、柳宿の友人の薫と鏡花
「あ・・・柳宿見なかった?今日、ちょっと遅れちゃってさ」
「あれ~?柳宿なら、ついさっき帰りましたよ~?てーか、教授に買い物頼まれて、また戻ってくるみたいな事は言ってましたけど」
「えっ!?」
今、一人で外に出ては危ない
「ありがとう!!ごめんね!!」
鬼宿は、アクセルを思い切り踏んだ
「やっぱり・・・あの二人付き合ってるんだね」
薫がにやけた
「その内、大きな騒ぎがありそうだわ・・・」
鏡花がぼそっとこう呟いた
Pllllllllllllllllllll
カチャ
「柳宿か!?おい。お前、今どこだ!?」
『たま・・・助けて・・・!!』
「柳宿・・・!!」
『つけられてる・・・こっち来る・・・』
「おい!!落ち着け!!今、どこだ!?」
『朱雀マーケットのすぐ裏の路地・・・』
「待ってろ!!すぐ行くから!!」
携帯を切ると、警察にも通報した
キキッ
すぐさま、車から飛び降りる
「たまっ!!!」
柳宿の悲鳴
路地を曲がると、覆面を被った男が柳宿に襲いかかっている
「このやろっ!!!!」
鬼宿は、すぐさまその男をねじ伏せた
「何やってんだ!!言え!!誰に言われたんだよ!?」
「ぐっ!!鏡花って奴に・・・言われたんだよ。柳宿・・・ムカつくからつけてやれって・・・!!」
柳宿はブルブル震えている
「警察だ!!動くな!!」
その後ろから、警官も駆けつけ、事態は御用
「柳宿・・・平気か!?」
駆け寄るが、友人の仕業という事を知りながら今の事態
柳宿の震えは止まらなかった
「たま・・・ごめ・・・あたし・・・」
鬼宿は、柳宿を静かに抱き寄せた
「大丈夫・・・もう大丈夫だから・・・な?」
カシャッ
静かに茂みの中からシャッター音が聞こえた
「はぁ・・・」
鬼宿は、自分の通帳を預金機から取り出し、溜息をついた
その通帳の残高の欄には
「2008/08/15 キャッシュカード 3000,000」
という目眩がする額が表示されていた
季節は秋
「バイト・・・しなきゃなぁ」
「げっ!!300・・・万なんて何に使ったの!?」
「ちゅ・・・忠栄!!お前、どうしたんだ。こんな早くに!!」
突然横から顔を出してきた弟・忠栄に鬼宿は驚いた
「今日は始業式だから、午前中で終わりだよ!!言ってなかった?」
「あ・・・そうだったか」
「兄ちゃんも明日から学校でしょ?ねぇ~どうしたの?それ~」
「いっ!!いいか!?忠栄!!親父には絶対黙っててくれよ!!頼む!!」
「ん~じゃあ」
忠栄は、横のクレープ屋と鬼宿を交互に見る
「・・・・・・・・・・・・・・・何て兄殺しの弟なんだ」
「鬼宿先輩!!おはようございます!!」
翌日、専門学校に行った鬼宿に梨香が声をかける
「梨香ちゃん・・・先輩はやめようよ。一応同級生なんだからさ」
「いいんです!!憧れですからv先輩、新学期からも私にドラム教えてくれるんですよね!?」
「えっ・・・夏休みだけじゃないのか!?」
「まだですよ~私、12月にライブ控えてるんです!!せめてそれまで、お願いしますvvv」
「勘弁してくれよ~」
「先輩・・・最近、彼女と会ってないんですか?」
「え・・・何で?」
「何か顔色が悪い~男性ホルモンが足りてないんじゃないですかぁ~?先輩の彼女って、あれですよね?昔、週刊誌で騒がれてた女の子。年下でしたっけ?まだ、付き合ってるんですか?いい加減乗り換えればいいのに~」
「い・・・いや。それは、君には関係ない事だよ」
目を逸らした鬼宿は、幸樹を見つけた
「幸樹!!」
「鬼宿・・・」
「返済・・・出来たのか?」
「何とか・・・借金取りは来なくなったよ」
「よかったな・・・」
「ごめんな?鬼宿。金・・・すぐにバイトして今年中には絶対に返すよ」
「いいよ。大変な額だろ?分割でもいいしさ」
「ありがとな・・・」
人がいい鬼宿は、すぐに許してしまう癖があった
そして、もうひとつ気がかりな事
美朱との次のデートの約束もあったが
「柳宿・・・」
そう。あれから未だおさまっていないストーカー騒動
もう、本人も限界だ
「翼宿・・・早く帰って来いよ」
事務所から、来週には一旦帰れるという連絡は受けた
せめて、あいつの方が自分よりも柳宿にとって励みになる存在なのだが
何もできない自分が悔しくなった
しかし・・・唯一自分に出来る事は、騒動がおさまるまで、送り迎えをしてやれるのみだ
しかし、その日、鬼宿は実習の説明会で帰りが遅くなってしまった
「やべ・・・柳宿、怒ってるだろうな」
鬼宿は、車を走らせる
校門に着いて、携帯を鳴らそうとする
「あれ~?鬼宿先輩。どうしたんですかぁ?」
そこに聞き覚えのある声
確か、柳宿の友人の薫と鏡花
「あ・・・柳宿見なかった?今日、ちょっと遅れちゃってさ」
「あれ~?柳宿なら、ついさっき帰りましたよ~?てーか、教授に買い物頼まれて、また戻ってくるみたいな事は言ってましたけど」
「えっ!?」
今、一人で外に出ては危ない
「ありがとう!!ごめんね!!」
鬼宿は、アクセルを思い切り踏んだ
「やっぱり・・・あの二人付き合ってるんだね」
薫がにやけた
「その内、大きな騒ぎがありそうだわ・・・」
鏡花がぼそっとこう呟いた
Pllllllllllllllllllll
カチャ
「柳宿か!?おい。お前、今どこだ!?」
『たま・・・助けて・・・!!』
「柳宿・・・!!」
『つけられてる・・・こっち来る・・・』
「おい!!落ち着け!!今、どこだ!?」
『朱雀マーケットのすぐ裏の路地・・・』
「待ってろ!!すぐ行くから!!」
携帯を切ると、警察にも通報した
キキッ
すぐさま、車から飛び降りる
「たまっ!!!」
柳宿の悲鳴
路地を曲がると、覆面を被った男が柳宿に襲いかかっている
「このやろっ!!!!」
鬼宿は、すぐさまその男をねじ伏せた
「何やってんだ!!言え!!誰に言われたんだよ!?」
「ぐっ!!鏡花って奴に・・・言われたんだよ。柳宿・・・ムカつくからつけてやれって・・・!!」
柳宿はブルブル震えている
「警察だ!!動くな!!」
その後ろから、警官も駆けつけ、事態は御用
「柳宿・・・平気か!?」
駆け寄るが、友人の仕業という事を知りながら今の事態
柳宿の震えは止まらなかった
「たま・・・ごめ・・・あたし・・・」
鬼宿は、柳宿を静かに抱き寄せた
「大丈夫・・・もう大丈夫だから・・・な?」
カシャッ
静かに茂みの中からシャッター音が聞こえた