Making of the Moon【Epilogue】
あの時、流れ星は散ったのかと思っていた
何度も何度も喜怒哀楽を繰り返し、駄目になりそうな時も何度かあった
君には、もう会えないかもしれないと思った事もあった
だけど・・・・・・・・・・・・・・・彼は、あたしのもとへ帰ってきた
ザワザワザワザワ
朱雀駅西口
夕方のラッシュという事もあり、たくさんの人が押し寄せている
そんな中、動きを止めているのは・・・ただ二人
相手の腕の中で、猫はいとおしそうに喉を鳴らしている
「・・・・・・・・・た・・・・・・・すき・・・・・・・・・?」
名を呼ぶ
「本当に・・・・・・・・・・・本当に・・・翼宿・・・なの・・・?」
そっと近寄る
少しずつ・・・その距離の近さを確かめるように
傍まで近寄った時、相手は・・・優しく微笑んだ
そして、その頬を撫でた
「・・・・・・・・・・・悪かったな」
「たすきっ・・・!!!!」
その胸に、柳宿は飛び込んだ
翼宿は、よしよしとその頭を撫でた
3年前・・・彼は、アメリカに残った
「空翔宿星」というバンドで3年間活動していた翼宿、柳宿、鬼宿
彼らの人気はうなぎのぼり。国内にも国外にもファンはたくさんいた
その中でも、ひときわ目立っていたのが、ベースボーカルの翼宿
ボーカル力、ベースの腕共に抜群であり、数々の会社が彼に関心を寄せていた
ある時の海外ツアーで、翼宿は大手音楽会社「GROBAL MUSIC」から声をかけられた
翼宿の長年の夢・・・もっと色々な人と音楽を通して、触れ合いたい
最初は戸惑っていた鬼宿も柳宿も、彼の夢を応援し、背中を押してあげた
そして・・・柳宿は、この翼宿を愛していた
同じメンバーとして報われない想いを抱え、気持ちを伝えられた翼宿もきちんと柳宿と向き合えずにいた
しかし、様々な事態を乗り越え、今気づいた本当の翼宿の想い
二人は、3年間国際恋愛を続け・・・そして、今再会を果たした
『まぢか!?それ、本当か!?柳宿!!』
「本当だよぉv敢えて、声は聞かせないでおくよ!!今夜のお楽しみv」
『そっかぁ~vvvあいつ、帰ってきたか!!久々に美味い酒がのめるぞぉ!!』
「また、そればっかり~・・・。じゃあ、今夜11時、奎宿さんと昴宿さんの居酒屋で待ってるね!!」
『おう!!すぐに仕事終わらせて行くから!!』
ピッ
「もう~・・・。たまってば、大はしゃぎvよっぽど、翼宿に会いたかったんだね!!」
「やめぇや。気色悪い」
再会を果たした二人は、場所を喫茶店に移動していた
「・・・・・・・・・・・・・・やっと、会えたんだ・・・。また、こうして・・・」
柳宿も、まだ涙が止まらないようで、笑いながら涙を拭う
「・・・泣きすぎや。阿呆」
「だって!!あんた、全然帰ってきてくれないんだもの!!そりゃ、やっとメディアにも顔出してくれるようになったけどさ、それまでの期間、あんたとまともにコンタクト取れたの電話だけだったんだからねぇ?」
「意外に面倒なもんやったなぁ。海外」
「そんな事言って・・・変わった。翼宿」
翼宿の橙色の髪の毛には、少し赤っぽいメッシュが入っていた
アクセサリーも、以前より少し高級なものに変わっている
でも・・・笑顔だけは変わらなくて
「ねぇ!?あたしは!?あたしは、変わった!?」
「さあ~?どこもかしこも変わっとらんわ」
「え~!?ひっど~い!!これでも、努力したのに・・・」
翼宿は、煙草を吹かしながらくっくっと笑う
ニャ?
タマが、そんな二人を見て鳴く
「大変やったやろ。こいつのお守り」
「ぜ~んぜん!!寂しくなかったわ!!この子がいてくれたから!!」
今や、家族の一員であるタマ
「仕事、どうや?」
「うん・・・まぁまぁかな!!子供たち可愛いしねv」
「ま、よかったやん。昔、音楽しとった事が、今でも役に立っとるようで」
「本当ねぇ~・・・こんな事になるとは思わなかった!!」
そこで、会話が途切れる
「本当・・・色んな事あったよね・・・。お互い・・・この3年間」
「・・・ああ」
「たまも・・・色々、大変だったし」
「せやな」
「だけどさ、あたしもたまも、この日を待ってた。この日のために、どんな辛い事も乗り越えてこれたの」
「そっか」
大事な仲間
誰が欠けても成立しない「空翔宿星」
その絆は、今も切れる事はない
ブルルルルルルル
居酒屋に向かう途中に、横断歩道で止まる
柳宿は、翼宿の荷物を半分持ってやった
ふと、翼宿の小指を見るとまだ変わらず光るリングがあった
3年前、自分がふとした拍子に買ってあげた
そして、今は翼宿の返事としてもらった指輪が、自分の小指にも光っている
「どないした?」
「うっ、ううん!!何でも・・・」
前と変わらない翼宿
それがよかったのかもしれない
隣にいられる事だけで十分
翼宿の手が、柳宿の肩にかかった
「・・・・・・・!!」
「・・・・・・・・・・・寂しい思い・・・・・・・・・・させたな」
それは、明らかに前と違う翼宿
見上げると、どこか寂しげな翼宿の横顔
「・・・・・・・・・・・・・・・・ずっと・・・・・・・・・・・・会いたかったよ」
翼宿は、こちらを見て微笑んだ
そっと
唇が重なった
車のクラクションだけが遠くで響いていた
「なにっ!?翼宿、帰ってきたのか!?」
「そそv前に話したメンバー!!」
「そっかぁ~お前、楽しみにしてたもんなぁ!!」
「そりゃあ、唯一の親友ですからv」
鬼宿もシフトを切り上げ、仲間と会話しながら帰り支度を始めていた
そう。あたしたちは、この3年間一回りも二回りも・・・
それぞれ、別の場所で成長した
だけど、やっぱり帰るべき場所は・・・ここだった
過去があるから現在がある
そう思い知らされた過酷な3年間を・・・きっとあたしたちは笑いながら語り合うのだろう。
何度も何度も喜怒哀楽を繰り返し、駄目になりそうな時も何度かあった
君には、もう会えないかもしれないと思った事もあった
だけど・・・・・・・・・・・・・・・彼は、あたしのもとへ帰ってきた
ザワザワザワザワ
朱雀駅西口
夕方のラッシュという事もあり、たくさんの人が押し寄せている
そんな中、動きを止めているのは・・・ただ二人
相手の腕の中で、猫はいとおしそうに喉を鳴らしている
「・・・・・・・・・た・・・・・・・すき・・・・・・・・・?」
名を呼ぶ
「本当に・・・・・・・・・・・本当に・・・翼宿・・・なの・・・?」
そっと近寄る
少しずつ・・・その距離の近さを確かめるように
傍まで近寄った時、相手は・・・優しく微笑んだ
そして、その頬を撫でた
「・・・・・・・・・・・悪かったな」
「たすきっ・・・!!!!」
その胸に、柳宿は飛び込んだ
翼宿は、よしよしとその頭を撫でた
3年前・・・彼は、アメリカに残った
「空翔宿星」というバンドで3年間活動していた翼宿、柳宿、鬼宿
彼らの人気はうなぎのぼり。国内にも国外にもファンはたくさんいた
その中でも、ひときわ目立っていたのが、ベースボーカルの翼宿
ボーカル力、ベースの腕共に抜群であり、数々の会社が彼に関心を寄せていた
ある時の海外ツアーで、翼宿は大手音楽会社「GROBAL MUSIC」から声をかけられた
翼宿の長年の夢・・・もっと色々な人と音楽を通して、触れ合いたい
最初は戸惑っていた鬼宿も柳宿も、彼の夢を応援し、背中を押してあげた
そして・・・柳宿は、この翼宿を愛していた
同じメンバーとして報われない想いを抱え、気持ちを伝えられた翼宿もきちんと柳宿と向き合えずにいた
しかし、様々な事態を乗り越え、今気づいた本当の翼宿の想い
二人は、3年間国際恋愛を続け・・・そして、今再会を果たした
『まぢか!?それ、本当か!?柳宿!!』
「本当だよぉv敢えて、声は聞かせないでおくよ!!今夜のお楽しみv」
『そっかぁ~vvvあいつ、帰ってきたか!!久々に美味い酒がのめるぞぉ!!』
「また、そればっかり~・・・。じゃあ、今夜11時、奎宿さんと昴宿さんの居酒屋で待ってるね!!」
『おう!!すぐに仕事終わらせて行くから!!』
ピッ
「もう~・・・。たまってば、大はしゃぎvよっぽど、翼宿に会いたかったんだね!!」
「やめぇや。気色悪い」
再会を果たした二人は、場所を喫茶店に移動していた
「・・・・・・・・・・・・・・やっと、会えたんだ・・・。また、こうして・・・」
柳宿も、まだ涙が止まらないようで、笑いながら涙を拭う
「・・・泣きすぎや。阿呆」
「だって!!あんた、全然帰ってきてくれないんだもの!!そりゃ、やっとメディアにも顔出してくれるようになったけどさ、それまでの期間、あんたとまともにコンタクト取れたの電話だけだったんだからねぇ?」
「意外に面倒なもんやったなぁ。海外」
「そんな事言って・・・変わった。翼宿」
翼宿の橙色の髪の毛には、少し赤っぽいメッシュが入っていた
アクセサリーも、以前より少し高級なものに変わっている
でも・・・笑顔だけは変わらなくて
「ねぇ!?あたしは!?あたしは、変わった!?」
「さあ~?どこもかしこも変わっとらんわ」
「え~!?ひっど~い!!これでも、努力したのに・・・」
翼宿は、煙草を吹かしながらくっくっと笑う
ニャ?
タマが、そんな二人を見て鳴く
「大変やったやろ。こいつのお守り」
「ぜ~んぜん!!寂しくなかったわ!!この子がいてくれたから!!」
今や、家族の一員であるタマ
「仕事、どうや?」
「うん・・・まぁまぁかな!!子供たち可愛いしねv」
「ま、よかったやん。昔、音楽しとった事が、今でも役に立っとるようで」
「本当ねぇ~・・・こんな事になるとは思わなかった!!」
そこで、会話が途切れる
「本当・・・色んな事あったよね・・・。お互い・・・この3年間」
「・・・ああ」
「たまも・・・色々、大変だったし」
「せやな」
「だけどさ、あたしもたまも、この日を待ってた。この日のために、どんな辛い事も乗り越えてこれたの」
「そっか」
大事な仲間
誰が欠けても成立しない「空翔宿星」
その絆は、今も切れる事はない
ブルルルルルルル
居酒屋に向かう途中に、横断歩道で止まる
柳宿は、翼宿の荷物を半分持ってやった
ふと、翼宿の小指を見るとまだ変わらず光るリングがあった
3年前、自分がふとした拍子に買ってあげた
そして、今は翼宿の返事としてもらった指輪が、自分の小指にも光っている
「どないした?」
「うっ、ううん!!何でも・・・」
前と変わらない翼宿
それがよかったのかもしれない
隣にいられる事だけで十分
翼宿の手が、柳宿の肩にかかった
「・・・・・・・!!」
「・・・・・・・・・・・寂しい思い・・・・・・・・・・させたな」
それは、明らかに前と違う翼宿
見上げると、どこか寂しげな翼宿の横顔
「・・・・・・・・・・・・・・・・ずっと・・・・・・・・・・・・会いたかったよ」
翼宿は、こちらを見て微笑んだ
そっと
唇が重なった
車のクラクションだけが遠くで響いていた
「なにっ!?翼宿、帰ってきたのか!?」
「そそv前に話したメンバー!!」
「そっかぁ~お前、楽しみにしてたもんなぁ!!」
「そりゃあ、唯一の親友ですからv」
鬼宿もシフトを切り上げ、仲間と会話しながら帰り支度を始めていた
そう。あたしたちは、この3年間一回りも二回りも・・・
それぞれ、別の場所で成長した
だけど、やっぱり帰るべき場所は・・・ここだった
過去があるから現在がある
そう思い知らされた過酷な3年間を・・・きっとあたしたちは笑いながら語り合うのだろう。
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